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灰塵
収縮していく地獄箱。
握りこんだ手に力が入るモナ。
その時
バァン!
地獄箱が弾ける。
「…っ!」
額に汗を垂らすモナ。
地獄箱…破られた?
これでもダメなの…?
炎の中からゆらりと揺れる影。
「あぁ…なんと……濃厚で苛…烈な魔力…。見て…ください。この私の…体を…。」
現れたのは燃え盛るイードルス。
ゴトリと腕が落ちる。
落ちた腕はすぐさまに灰と化した。
「よかった…効いてた……うっ!」
おなか…痛い…!
切られてたんだった…!
安堵から解けた緊張。
それはモナに痛みを思い出させた。
「素晴…らしい、魔力でした…よ。」
がしゃりと音を立て崩れるイードルス。
仮面は灰にならず光っている。
「申し訳…ございませんが…最後に…お願いが…あるの…ですが……。」
仮面から響く声。
顔を歪ませたモナが仮面へと目を向ける。
どうやって…喋って…
…そんなことはどうでもいいか…
「こ…の…仮面を…アニ…ルへ…」
仮面に歩みよるモナ。
「渡…してくだ」
バギィ!!
地獄鞭が仮面を破壊する。
炎鞭に打たれ砕けると同時に灰になる仮面。
「あなたのお願いは…何もきかない。さようならイードルス」




