転生
死亡〜転生
……。
どれほど時間がたったのだろうか?
何だか身体が軽い。
目を開けると広がる青空。
「あれ?俺刺されなかったっけ?」
胸の当たりをさすってみたが
刺された跡はなかった。
……てかあれ?俺バイト途中じゃなかったか?
なんで空が見えてる?
体を起こしてみるか。
ってうお!飛んでる!!やっぱり死んでたのか!
うわートラックも派手にやってくれたなー
品出ししてたのにばらばらだよーw
萌渕が立ち上がり下の様子を伺っていると
少女の声が聞こえてきた。
『あ、あのぅ……。』
「ひっ……誰かいるのか?」
周りを見渡しても誰もいない。
『し、下ですっ……』
「え?」
下を見ると金髪の少女が目の前に正座していた。
そして俺は重大なことに気づいた。
俺……裸だ。
「う、うおお可愛いな!死んだら願いが叶うのか!」
男萌渕。ロリコンである。そして変態である。
腰を左右に振り出した。
『これぷっくりしてて可愛いですねぇ』
少女が俺の息子を指差す。
「しっ失礼な!こいつは少し照れ屋なだけだ!君は誰なんだ?」
『わ、私は神様……のうちの一人です!』
「か、神様?今さら驚かないけど……。神様が何の用なのでしょう?」
『お、怒らないで聞いてほしいんですけど…』
申し訳なさそうに少女がうつ向く。
『実はですね…あの、あなたは死ぬはずじゃなかったんです…。』
予想外すぎて咄嗟に反応が出来ない萌渕。
「えーと……。というと?」
『私、悪い人が嫌いであの強盗を間引いてやろうと思って……それでトラックを操ったんですがまさかこんな事になってしまうなんて……。』
間引いてって……見た目の割に物騒な子だな…。
まぁそれで俺が巻き込まれてしまった形になるのか。
「なるほど…まぁそれはしょうがないですね」
キョトンとする少女。
『怒るなとは言ったのは私ですが落ち着きすぎて怖いです……。』
「あーいや俺人生先も見えてなかったしまぁいいかなって」
『そ、そんなこと言わないでください!私あなたを転生しますから!』
「転生?」
『はい!もう一度生まれて新たな世界を生きるのです!』
「いや……、大丈夫ですよ。俺多分また同じような人生辿る気がするしもう疲れました」
『で、では別の世界はいかがでしょう!こことは違う別の世界!』
別の世界……?
考えてる間に少女は口を開く。
『こことは完全に別世界です!人間だけでなく様々な種族の住まう世界!いかがですか?今なら私が何か一つ願いも叶えてあげますよ!』
「願いを一つ……?」
『はい!圧倒的な力でも特殊な能力でも何でもできます!これでも神様ですから!あ、でも私が生理的に受け付けないものだけはだめです』
うーん。何でもいいのか…。
釘を刺されてしまったから幼女を
召喚する能力は駄目だろうし…。
それなら……
「誰とでも話せる力が欲しい」
『誰とでも話せる……ですか?』
「はい。実は俺人と話すの苦手なんです。神様だから何だか喋れてますがきっと転生しても他人と喋れず一人ぼっち……そんなの嫌なんです。」
クスッと笑う少女。
『珍しいお願いね。でもいいよ!叶えてあげる!』
「ありがとうございます!」
『ちょうど今契約魔法を唱えてる子がいる世界があるからそこに転生させるね?』
契約……?よくわからないけど何とかなるかな?
『少し目を瞑って?そしたら転生させるから!』
ゆっくりと目を瞑る。何だかドキドキしてきたな…。
『さぁいくよ!』
キィィィィン!
耳鳴りのような音が響き体の感覚が失われていく。
『君には私からもう一つ贈り物をあげる!向こうでは頑張ってね!』
その声が聞こえたと思うと完全に感覚を失った。