影と副頭領
「帝国の…!!何しに来た!?アタイを笑いに来たのかい!?」
「いえいえ、滅相もない。……カラドボルグ隊長、ダグダ・ツイストさん。中に入れて頂いてもよろしいですか?」
「……副頭領。」
イードルスを見据えたままランスロットに問うツイスト。
「この状況で危害を加えてはこないだろう。ツイスト、通してくれ。」
ランスロットの言葉を聞き、イードルスを入れるツイスト。
「おぉ、ありがとうございます。では失礼しますよ。」
中に入りランスロットに歩み寄るイードルス。
「お、おいランスロット!」
「イードルスでしたね。何の用でしょう?」
「早速ですが…ギルドランドは今、あまりよろしくない状況かと存じております。」
「…武闘大会の事か?」
「えぇ。現在負ける訳には行かない状況で次はヴァンドラ様…。念には念をという事で私は魔法道具の商人として営業に来たのです。」
「営業だと?」
「単純明快、コノギフグの毒魔鉱ですね。刃に沿わせるように使うだけで剣に毒を付与出来ますよ。」
「毒ぅ!?アンタ…ランスロットを貶すつもりかい?」
「いえいえ、そんなつもりはありません。しかしながら相手は他国の王。それも実力は未知数のヴァンドラ様…。確実に勝てるようにするべきかと存じます。」
「だが毒を使うというのは…。」
顎に手を当て顔をしかめるランスロット。
「念の為…です。使うべきですよ、ランスロットさん。…使いましょう。」
「いい加減にしろよ…帝国「そうだな。頂こう。」
アロンダイトの声を遮るランスロット。
ぽかんとするアロンダイト。
「ど…毒だぞ!?勝つためとはいえ、武闘大会に持ち込むのかい!?実力で勝つんじゃないのかい!?」
「いいんだ。ありがとうイードルス。値段は?」
「もちろん差し上げますよ。」
先程と違い笑顔で話し始めるランスロット。
…やはり、副頭領は…。
その様子を見て、声をかけることなくツイストはその場から去った。
―闘技場―
「さぁ、ついに初戦を勝ち抜いた猛者達がぶつかり合うぞ!心の準備はいいか!!」
オオオオォォーー!!
スイングに煽られ観客席が沸き立つ。
「さぁ、更に白熱する勝者同士のぶつかり合い。その開幕を飾るのは我らが副頭領、トール・ランスロット様VSヴァンドラ国王ヴァンドラ・フューゼ様!!いきなりの好カードだぁ!!」
入場する2人。互いを見合う。
「クイーンハートの御恩がありますが、手は抜きません。」
剣を抜くランスロット。
「こちらも負けられないからな。副頭領だろうと倒して進む。」
「第9試合…開始です!!」




