動く影
「お疲れ様、シルビア。」
片手をあげ笑顔で迎えるフューゼ。
「ありがとうございます。フューゼ様」
パンとハイタッチするシルビア。
「おぉ?」
少し驚いた表情をみせるフューゼ。
「え!?ち…違いましたか!?申し訳ございません!」
顔を赤くしあわあわするシルビアをみて
フューゼは笑みをこぼす。
「いや、いいんだよ!次勝った時もこれでいこう!」
「モナも…!」
精一杯手を伸ばすモナ。
「ありがとうございます、モナ」
パンと手を合わせる2人。
「ふふふ」
満足そうに顔をゆるませるモナ。
「そういえばシルビア、何で最後アニルを撫でてたんだ?」
「あれは…。撫でてくれ…と言われたので」
「え!?そんな理由だったのか!?斬り殺す勢いだったのに撫でてたから何があったのかと思ってたんだが…」
「詳細は省きますがあの状況でフューゼ様なら斬るのではなく撫でるのだろうと思い、あのように振る舞いました」
「そうか…。うん、ありがとうシルビア。俺はその行動を誇らしく思うよ」
フューゼが頭に手をポンとおき、シルビアの顔が赤くなっていく。
「ありがとうございます…フューゼ様、続けて報告したい事が…」
―ギルドランド陣営―
「どうなっているんだ…!!くそっ!!」
ガァン!
壁を殴りつけるアロンダイト。
「物に当たるのは感心せんな。」
「黙りなツイスト!!武闘派のギルドランドがほぼ全滅だよ!?わかってんのかい!?」
「某も負けた身。よく染みている」
「じゃあ何落ち着いてんだい!?」
「今喚こうとも結果は変わらん。ティルフルグ隊を纏める隊長なら結果を受け止め、己が武を磨くしかなかろう。」
「アタイはあんなクソ生意気な小娘に…!!」
ギリリと歯を鳴らすアロンダイト。
「生意気だろうがなんだろうがあの武は認めねばなるまい。ギルドランドの隊長を降参させる程の実力だ。」
「…アンタ妙に突っかかるじゃないかい。アタイに喧嘩売ってんのかい?」
ツイストを睨むアロンダイト。
「……頭を冷やせ。アロンダイト」
「あぁ!?ツイスト!アタイに説教かい!?」
掴みかかろうとするアロンダイト。
「落ち着け、アロンダイト。」
その手を掴んだのはランスロット。
「チッ!」
アロンダイトは顔を逸らし離れる。
「開催国であり、武を尊ぶギルドランドの闘士…。それもカラドボルグ、ティルフルグの両隊長を含めた4名が初戦敗北…。正直予想していなかった。」
顔を歪めるランスロット。
「だが、結果は結果だ。他国は強い。それが答えだ。…だが私が優勝し、ギルドランドの威厳を取り戻す。」
「アンタ次はヴァンドラの大将だろ。勝てんのかい?」
「正直未知数だ。1度話したことはあるが…。」
「…申し訳ないが1度某は失礼する。」
「あぁ?ランスロットの試合前にどこ行くってんだい?」
「すまないが伝えられない。」
2人に背を向け去ろうとするツイスト。
扉に手をかけ開ける。
「おや、お出かけですか?」
「!?」
目の前に仮面を付けた男が立っていた。




