襲いかかる魔法道具
「追い回して串刺しにしろ!」
シルビアを指差すアニル。
拳を鋭く尖らせて、
シルビアを追うスクラップハンド。
躱しながら様子を見るシルビア。
カバンの中にあった時は
かなり近付かないと反応しなかった…。
今はどうやって私を感知してる…?
ブン!
目の前をスクラップハンドが掠める。
「……とりあえず本体を叩くしかないですね」
再度襲いかかるスクラップハンドを
避けると同時にアニルへ接近するシルビア。
「きやがったな…!近づくんじゃねぇ!!」
バサりと黒い粉をまくアニル。
「何を…?」
「仕上げだ!」
胸からビンを取り出すと蓋を開け、
中の液体をばら撒く。
…得体が知れない液体…避けた方がいいですね
後ろにステップするシルビア。
さらに後方から迫るスクラップハンドを
バク宙で避ける。
「なっ!さがりやがったか!」
シルビアが前方に目線を向けると
アニルの投げた粉が変質し、
武器の雨となり元いた場所に降り注いでいた。
「避けられはしたが、面白ぇだろ?ウチのウェポンダストは!」
自信満々のアニル。
「ウェポンダスト…?」
「まぁ凡人にもわかるよう簡単にいえば魔力で圧縮した武器だな。魔素水で本来の姿に戻るんだぜ?すごいだろ!」
「あれは魔素水でしたか…。なるほど、便利な品ですね」
「だろぉ?ウチの魔法道具は最高だろ?」
ニヤけるアニル。
「えぇ。ですが戦闘中にネタばらしをするべきでは無かったですね」
再度駆けだすシルビア。
「ハッ!近付かせねぇよ!」
先と同じように黒い粉と魔素水をまくアニル。
「原理がわかれば恐れる必要はない」
降り注ぐ武器を避け、ナイフで弾くシルビア。
「あの量を処理するなんてバケモノかよ!…でもなぁ」
ナイフで斬り掛かるシルビアに小さな筒を向けるアニル。
パァン!
アニルが紐を引くと網が飛び出した。
「っ!!」
即座に反応するも避けきれず、
左足首当たりに巻き付かれ倒れるシルビア。
「この感触…クルネヴァ!!」
「よぉくわかったなぁ?そいつはクルネヴァネット!クルネヴァの糸をちょちょいと改造した魔法道具だ!」




