爪撃にて顕現する風龍
カイルの発言により加速する矢。
「グゥァ!?」
矢に貫かれ吹き飛ばされるティラコ。
「決まりましたか…?」
カイルが確認をしていると
スっと消える飛ばされていたティラコ。
「っ!」
あれも残像…!!
あの状況から射抜かれたような残像を作ったのか…!!
ならば後ろに…!
くるりと振り返るカイル。
眼前に迫る爪。
「間に合え…!!」
風を纏わせた矢を使い爪を防ごうとするカイル。
スッ………
空を切る矢。
消えゆくティラコ。
目を丸くし、時が止まったかのようなカイル。
「残念だったな。私の勝ちだ」
ザシュ!
カイルの背に熱が走る。
「がっ…!!」
背中を爪で切られ、
血を流しながら仰け反るカイル。
「ティラコの一撃がついに決まったー!!全体を見渡すことの出来る私ですら残像がどれなのかわからない素晴らしい攻撃!!」
キャァァアア!!カイル様がーー!!
オオオオォォオオ!!
悲鳴や歓声が響く。
顔を歪ませつつも口を開くカイル。
「“顕現し吹き荒れろ!風龍”!!」
カイルが詠唱を済ませると背中の傷から
風魔法で作られた龍が飛び出した。
反動で飛び倒れるカイル。
「なっ!?」
横に飛び避けるティラコ。
ゴオオォと音を立て風龍が
通り過ぎていく。
「とっておきのカウンターですよ…。」
ぐっと力を込め立ち上がるカイル。
「厄介な事になる前に終わらせる!」
またも消えるティラコ。
「風龍!!」
カイルが叫ぶとカイルに向け突進する風龍。
カイルの周りをぐるりと囲むと
ザシュリと音がした。
「くっ…!」
姿を現すティラコ。
僅かに怪我をしている。
「龍の鱗に触れれば怪我をしますよ。」
「すでに厄介な状況だったか…!」
ギリっと歯を鳴らすティラコ。
「行け!」
手をかざすカイル。
風龍がティラコに襲いかかる。
躱すティラコ。
しかししつこく追い続ける風龍。
「早く術者を倒さないと…!」
カイルに目を向けるティラコ。
気付けば両腕に手まで覆う
何かを装着しているカイル。
「まさか初戦で使う事になるとは思いませんでしたよ。」
腕を前に突き出し拳と拳を合わせるカイル。
「いきますよ!」
魔力を込めるカイル。
一瞬緑に発光する腕の機械。
ドドドドドドドドドドドド!!
物凄い勢いで矢の射出を始めた機械。
「!!」
素早く動くティラコ。
風龍と矢をかいくぐる。
「腕利きの職人に頼み込んで作ったこの逸品…。矢を短くしたことによりバラつきはでますがほぼ反動なく矢を撃ち続けられる代物です!」
「近付けない…!」
「これで終わりじゃありませんよ!!」
ティラコに向けていた照準を
風龍に向けるカイル。
そのまま風龍に撃ち込む。
「何を…?」
風龍の中に取り込まれていく矢。
「さぁ…決着をつけましょう!」




