テントの主
……何が起こったんだ…。
女の子が2人奥から現れて…
話しかけたら急に内臓を吐き出した……。
何がどうなってるんだ……?
困惑するフューゼ。
辺りには少女が吐き出した内臓が散らばり
お腹がへこんでしまった少女が座りこんでいる異様な光景。
「ヴァンドラ様…何をされたのですか?」
「何もしてない……と思うんだが……。」
「フュゼ様!そんな事よりこの子達は大丈夫なの!?」
「…………ぁぅぅ」
2人でくっ付き合う少女達。
「息はしているが大丈夫なのかはわからない……。何となく今すぐ死んでしまうような状態では無さそうだが……。」
フューゼを見上げる黒髪の少女。
「ごめ、ごめんなさい……。食べないで…」
「食べたりしないよ。安心してくれ。それより大丈夫なのか?」
無言でこくこくと頷く少女。
「シルビア、これは何という種族なんだ?」
「全くわかりません……。見た目は少し獣人族に似てる気はしてますが…」
「すごいね。正解だよ。」
テントの奥から急に男の声。
「誰かいるのか!?すまない!ここにいた子達が!」
「検体AとBが腸でもぶちまけたかい?というより今日は来客予定ないんだけど…。」
スタスタとテントの奥から足音。
そして目元にくまのある猫背の男が現れた。
「初めまして。僕はここの管理者の“クタール”だ。周りからはキメラ博士だとかクタール博士と呼ばれているよ。以後よろしく。」
キメラ……?そんなことよりなんでこんなに
落ち着いてるんだこの人は!
「クタール博士……挨拶はありがたいんだがこの子達は大丈夫なのか!?」
座り込む少女達を指さすフューゼ。
「あぁ、大丈夫だよ。数分待てば元気になるさ。それよりキミ!」
シルビアを指さすクタール。
「え、わ、私ですか?」
「そう、キミだよ!あの子のどこに獣人族を感じた?」
「え?会話をした時に口元を見たら歯が尖っていたので…」
「すごい!この薄暗さで一瞬でそこまで観察するなんてやるじゃないか!君達を歓迎するよ。」
「クタール博士……突然押しかけておいて悪いんだが説明をしてくれるか?」
「あぁ。もちろん!ここではなんだ、奥に来たまえ。」
「あの子達は……?」
「大丈夫だよ。本当に。では行くぞ。」
奥へ歩き出すクタール。
「フュゼ様。私はここでこの子達見ておくから行ってきていいよ」
「ありがとうアリス。何かあったらすぐに呼んでくれ。」
「私はヴァンドラ様に付いていきます。アリス、任せたわよ。その子達」
こうしてアリスは少女2人の元へ残り
フューゼとシルビアは奥に進んだクタールを追いかけた。




