八雷
「“我が魂に力を、我が剣に鋭さを百雷の力を宿せ…始雷”!」
バチィ!
音を立て雷がアロンダイトの剣を走る。
「おおっとアロンダイト隊長!いきなり始雷を発動だぁ!!」
「アタイが弱いかどうかその身体に刻め」
シュン!
一瞬で消えるアロンダイト。
遅れてドカンと雷鳴が響く。
手を掲げ大剣を呼び出すロングソード。
「始雷、八雷古の剣。」
突如目の前に現れたアロンダイトが
頭を狙いロングソードを斬り抜ける。
ロングソードは咄嗟に腕で頭を防いだ。
腕からは鮮血が吹き出す。
「よく防いだね。だけどこの技はまだ終わらないよ」
またも雷鳴と共に消えるアロンダイト。
胸、腹、下腹部、両手両足を
順に高速で斬りつけた。
全身から血を出しながら
がくりとするロングソード。
「少しは楽しめたかい?お嬢ちゃん」
「…まだ足りないかな」
「アタイは全く楽しめてないけどねぇ。それに仕上げがまださ」
ロングソードに向かい剣を振るうアロンダイト。
その瞬間
バチバチッ!
電気がロングソードの斬り傷を光らせた。
「……!!」
片膝をつきアロンダイトを見るロングソード。
「おや、まだ息があるのかい。耐久性はハンパじゃないようだねぇ」
アロンダイト隊長ーー!!いいぞー!!
盛りがっていく闘技場。
「一瞬で全身を斬り、斬り口を雷が走る八雷が決まったぁぁ!!しかしロングソード脅威のタフネス!まだまだやる気のようです!!」
「今謝れば楽に終わらせてやるよ?」
「謝る…?何を?」
「アタイを舐めきってたことさ。事もあろうに観衆の前でね」
「この程度で勝ったつもりでいるならつまらないよ」
ガァン!
ロングソードの返事を聞いた途端
剣を地面に叩きつけたアロンダイト。
「よくわかったわ。死ぬといい」
構えを取るアロンダイト。
「始雷、八雷日本の剣。」
またも連続で斬つけるアロンダイト。
先程と異なり首や背、尻なども斬りつける。
「止まらない!!アロンダイト隊長の連撃が止まらないー!!」
首や頭への攻撃は剣で防いでいるものの
斬り傷が増えていくロングソード。
バチリバチリと電気も身体を駆け巡る。
「何も出来ないまま終わりそうなのによく大口叩けたもんだよ」
「…うん。もうこれはいらないかな」
がらぁん!
大剣を捨て身一つになるロングソード。
「なんのつもりだい?」
「あれはもういらないってだけだよ」
「…ハッ!死ぬ覚悟が出来たってことだね!」
怒りを浮かべ突っ込むアロンダイト。
「死にな!!」
首を狙った一閃。
ガギィィン!!
鋼同士が勢いよくぶつかった音が響いた。




