猪牙
「オレを殺す…?」
ふっ、と笑うエテロ。
首を傾げるモナ。
「面白いじゃないか。口だけじゃないことを期待するよ」
曲刀を逆手に持ち腕をだらりと垂らすと駆け出すエテロ。
「エテロ!勢いよくモナに向け駆け出した!!」
…つっこんできた…。
とりあえず剣がこわいから近付けないようにしよう。
「愚かなる者を遮断せよ!地獄炎壁!」
モナが右手を下から上に掲げる。
炎壁が2人を遮る。
「これは…!火力の高そうな炎属性の魔法だぁ!このままではエテロは丸焦げか!?」
ワァァァーー!歓声があがる。
ブォッ!
炎壁をエテロが体勢を変えず突き破って出てくる。
「…っ!地獄鞭!」
咄嗟に簡易詠唱を済ませ地獄鞭を握るモナ。
「やぁっ!」
すぐに地獄鞭を振るう。
バチィン!
痛々しい音を上げ地獄鞭はエテロの頬を打った。
衝撃の瞬間一瞬顔が逸れるもすぐに視線を戻すエテロ。
突進の勢いも衰えていなかった。
「猪牙」
腕を胸の前で交差させ剣先を向けるエテロ。
近付かれた…!それに速い…!
「地獄炎壁!」
咄嗟に地獄炎壁を展開するモナ。
ブワッ!
先程と同じく炎壁を突き破るエテロ。
身体は少し燃えていたが動じず突っ込む。
「エ…エテロ!燃えながらもモナに突っ込む!!」
「何で…!?」
モナとエテロの距離は約3メートル程。
エテロは速度を落とさず距離を詰める。
斬ってくる…!こわい…!!
左の剣…!?右の剣…!?
額に汗を垂らすモナ。
エテロとの距離は残り2メートル。
どうしよう……!!
斬ってくるなら今…!
身構えるモナ。
しかし速度を緩めないエテロ。
残り1メートル。
まだ斬ってこない…!?
どっち……!?
いや…これ…!
咄嗟に横に飛ぶモナ。
ギリギリまで身構えていた為反応が遅れ
曲刀が身体を掠める。
「いたい…」
エテロを見るモナ。
モナの居た場所を大きく過ぎ止まるエテロ。
「地獄炎壁と地獄鞭だっけ…。中々強いね。身体が少し焼けたよ」
モナの方へ振り返るエテロ。
「まぁ、関係ないけど。猪牙」
そしてまたも同じ構えを取りモナに向け走り出す。
今度はどうくるの…!?
地獄鞭を握りエテロに打ち込むがエテロの勢いは殺せない。
「また…!!」
再度そのまま突っ込んできたエテロを間一髪躱すモナ。
エテロは大きく旋回しまたモナに向け走り出す。
「エテロ…!ずっとこれしてくるの…!?」




