第2試合
「速かったな。ランスロットのあの技。」
顎に手を当て考えるフューゼ。
「詠唱していたので魔法でしょうが…。解説が様々な攻撃に派生すると言ってたのが気になりますね」
「派生かぁ…どんな技があるんだろうなぁ。移動も含め魔法なのかスキルも使ってるのか……にしてもかっこいいなぁあれ。」
電気の魔法かぁ。
ゲームとかではメジャーだけどすっかり忘れてたなぁ。
「ヴァンドラ様、ギルドランドの雷属性まで使いこなすおつもりですか?」
「あれ雷属性って言うんだな。使えるなら使いたいな。」
「歴代のヴァンドラ様では使えた事例は無いですが…。当代ヴァンドラ様…フューゼ様なら可能かもしれませんね」
「おっ、フューゼって呼んでくれたな!」
笑顔になるフューゼ。
「も、申し訳ございません!」
「何で謝るんだよ!これからも呼んでいいぞ!」
「ぜ…善処します」
顔を紅くするシルビア。
「ヴァンドラ様、ヴァンドラ・フューゼ様。」
名無しが現れフューゼを呼ぶ。
「おぉ、どうした?」
「出場のお時間でございます。」
「そうか。よし、行ってくるな!」
シルビアとモナに拳を突き出すフューゼ。
真似する2人。
「合図をしましたらご入場下さい。」
礼をする名無し。
「あぁ、わかった。」
「さぁ、2回戦の準備が整ったようです!!」
スイングの声が響き歓声があがる。
「2回戦…忌み嫌われし国ヴァンドラを統べる夜王…ヴァンドラ・フューゼ様の入場です!!」
名無しが頭を下げ入場を促す。
入場するフューゼ。
―観戦席―
「姐さん達!!ヴァンドラの兄さんが出たッスよ!」
「なんと!…リヴィアちゃあん!フュゼ様出たって!!」
硝子に手を付くアリス。
「初戦はよくわからん獣人族じゃろ?相手にならんわ」
座ったまま戦神気付けを飲むリヴィア。
「じゃあ見なくていいの〜?」
すっと立ち上がり歩み寄るリヴィア。
「そんなわけ無いじゃろ。私様のヴァンドラが試合にでるんじゃ」
「最初から素直に来ればいいのに〜!めんどくさいんだからぁ!」
笑うアリス。
「なんじゃと!私様はめんどくさくないわ!」
「あはは〜リヴィアちゃん怒った〜!」
兄さん…。
この2人ガルルグルの何倍も大変ッスよ…。
―闘技場―
「ヴァンドラ国といえば戦闘をして無事に帰ることが出来ない国として有名です!ギルドランドでも戦闘の報告が殆ど上がっておらず、戦いを直接見ることが出来るこの機会に興奮しているのは私だけでは無いでしょう!!」
大きく盛り上がる闘技場。
闘技場の真ん中へ辿り着くフューゼ。
…盛り上がるのは嬉しいんだが今までのヴァンドラの所業が気になりすぎる…。
「続いて入場しますはグロウルの使者プロン!!」
笑顔で跳ねながら入場するプロン。
「みんなーー!盛り上がってるぴょーん?」
うおぉぉぉぉ!!
さらに盛り上がる闘技場。
「プロンの戦う姿は見た事ありませんがグロウルの代表になっている事から間違い無く実力者!!夜王ヴァンドラ様を討つ事は出来るのか!!」
プロン様ーー!!やっちまえー!!
「うふふ、頑張るぴょーん!!」
「…完全にアウェーだな。」
「お初にお目にかかりますぴょん夜王様!」
ぴょこんと頭を下げるプロン。
「夜王様相手でも負けないぴょん!本気でいくぴょん!」
ぴょんぴょんと跳ね拳を構えるプロン。
「悪いが、俺も負けられないからな。」
拳に炎を宿すフューゼ。
「両者構えました!第2試合開始です!」
ドゴォン!
空砲が鳴り、フューゼの初戦が始まった。




