戦神
「トール・アーサー!?戦神アーサーか!?」
驚くシルビア。
「その名で呼ばれるのは久しいねェ。」
にやりと笑うアーサー。
「何となく聞いた事あるような…」
考えるアリス。
「…先代のギルドランド王よ」
「あー!だから聞いたことあるのかー」
納得するアリス。
「幾分か前に事件を起こして以降国を追われたと聞いていたが…」
アーサーを見るシルビア。
「事件…か。」
悲しげな表情を一瞬見せたアーサー。
「詳細は知らないが…先程の大男が言っていたことが事件なのか?」
「まァ…そうだな。詳しくは…話す気にならねェ。」
「…そうか」
「他国の女…。名持ちか?」
「イグニ・シルビアだ」
「私はアリスだよー!」
「そうか。イグニ、アリス。此度は世話になった。この礼はいずれ必ず。」
「帰るのか?」
「あァ。我輩は目的が済んだからな。次の目的の為動かねェと。」
「そうか。」
「カカカッ!戦神を前にその態度。やはり我輩はヴァンドラが好きだ!」
「なっ!我等がヴァンドラだと知っていたのか!?」
「いやァ?知らねェよ。」
「ならば何故…!?スキルか!?」
シルビアの反応をみてひときわ大きく笑うアーサー。
「貴女らの種族…そして何よりその服装。ヴァンドラだと一目でわかる!」
ハッとするシルビア。
「ヴァンドラ国について知ってる人ならすぐわかっちゃうよね」
一緒に笑うアリス。
「くぅ…!」
「まァ世話になった事は忘れねェ。また会おう。」
そう言い立ち去るアーサー。
連れと呼ばれていた女はシルビア達に一礼しアーサーを追いかけて行く。
「…とりあえずはすごい人だったってことだよね?」
「そうね…。月光牡丹に戻ってヴァンドラ様に報告した方がいいわね」
「他言無用じゃなかった?」
「ギルドランドの民には知らせない。ただ、ヴァンドラ様にはお伝えするべきよ」
「なるほどねぇ。魔鉱石は残念だけど…戻ろっか!」
シルビア達も戦神との出会いを報告する為ヴェグル洞窟を後にした。




