証拠隠滅
「なっ…!?」
驚くシルビア。
「シルビー!大丈夫!?」
駆け寄るアリス。
「私は平気。危ないから後ろにいなさい」
ナイフを構え直しアリスを自分の後ろに隠すシルビア。
「命の価値を貴様が決めるな…か。痺れたぜェ…!」
にやりと口を歪ませる大剣を携えた男。
「…何者だ」
ナイフを構えたまま問うシルビア。
「その女の連れだ。そいつが世話になったな。」
歩き出し倒れた女に近づく男。
「…立てるか?」
「えぇ…ごめんなさい」
女を立たせる男。
「ぴよまるも無事か?」
トリモドキに目を配る男。
ギュィェェ…!
トリモドキも反応し男の肩に止まる。
「名付けしているのか…?」
だとすればこいつは一体…!?
「いい名だろう?礼が遅くなったな。我が名は…「何でてめぇがこんな所に…!」」
大剣を携えた男の言葉を遮る大男。
何とか立ち上がる。
「よく立てるもんだな。腐ってもギルドランドの住民ということか。」
冷めた目の大剣を携えた男。
「黙れっ…!!国を裏切り副頭領に斬りかかった腐れ野郎が…!!見下してんじゃねぇぞ…!」
「連れの恩人に怪我でもさせたら我が名が廃る。」
拳を握り込む男。
そして反対の手に持った大剣を容易く片手で持ち上げ大男に向ける。
「ぐっ…!?くそがぁ!!」
倒れた仲間を置いて慌てて走り逃げ出す大男。
「…こんなクズが蔓延る国になっちまったのかギルドランドはよォ…。」
ギリッと噛み締める男。
「一振滅殺。我に仇なす者世に痕跡残さず討ち滅ぼさん。神雷爆零!」
詠唱を終えた瞬間握った手に電気が走る。
そのまま両手で大剣を斜めに構える男。
流れるような動きで剣を振り下ろす。
カッッッ!!
その瞬間空気が震え大剣から大きな雷光が放たれる。
遅れて破裂音が聞こえ眩い光が包み込んだ。
「ぐっ…!!!」
なんて強い光…!そして魔力…!!
「きゃぁぁ…!眩しいよシルビー!」
シルビアに必死にしがみつくアリス。
焦げた臭いが包む中しばらくたち目が見えるようになったシルビア、アリス。
前方にいた大男と仲間達の姿は無くなっていた。
「すまねェ!眩しかっただろ。怪我はないか?」
「あ、あぁ…」
呆気に取られるシルビア。
「これで我輩の存在が知れ渡ることも無い。証拠がねェからな。」
カカカッ!と笑う男。
「我が名はトール・アーサー。連れを助けてくれて恩に着る。まだギルドランドの民に気づかれる訳にはいかないんでな。我輩の事は他言無用で頼む。」




