出場条件
フューゼとモナは月光牡丹に戻ってきていた。
「俺達が戻ってからどのくらい経ったかわかるか?」
「1時間くらい…だとおもう」
月光牡丹のフューゼたちの部屋には誰もおらずモナとフューゼは2人きり。
「そうか。…今のうちに確認しておくが武闘大会に本当にでるつもりか?モナ。」
モナを真っ直ぐ見つめ問うフューゼ。
「何回聞かれてもモナは本気だよ。フューゼ」
モナも真っ直ぐフューゼを見つめ答える。
「…そうか。それならもう止めない。勝つことを考えるしかないな。」
ニコリと笑むフューゼ。
その表情を見て安堵するモナ。
「ただ今回の大会は説明によれば死者が出ることもある危険なものだ。」
真剣な顔付きで話すフューゼ。
「俺の目的の終着点はここじゃない。だからここで死ぬ事は許さない。」
無言でフューゼの目を見続けるモナ。
「死ぬな。負けるのはいい。本当に俺達の力になりたいなら勝っても負けても成長するんだ。そしてそれを生かすために必ず生きろ。」
数秒の沈黙…。それを破ったのはモナ。
「わかった。約束する」
「よし。大会までに魔力を制御出来るようにならないとな。」
頭をくしゃりと撫でるフューゼ。
「魔力に関してはリヴィアが詳しいからな。リヴィアには特に頼るといい。」
「うん…わかった」
「褒美があるなら考えてやる」
「リヴィア!?」
声の方に振り返るとニヤニヤしているリヴィアがいた。
「い…いつからそこに?」
「初めからじゃ」
「えぇ!?いなかったじゃないか!」
「いたぞ?ヴァンドラとちびモナが気づかなかっただけじゃ」
「部屋中見回したつもりだったが…。」
「水の魔力は便利じゃからな」
「何かしてたのか…。全く気が付かなかった…。」
1時間も気づかれないように見てたのか…?
「まぁ気にするな。ちびモナ、ヴァンドラの話しは理解したか?」
モナに目線を移すリヴィア。
頷くモナ。
「よし、なら明日からも気合を入れて魔力を制御せねばな。特別に私様が稽古をつけてやろう。ただし火属性の魔法自体の扱いについては小娘かヴァンドラに聞くんじゃ」
「ありがとうリヴィア…!」
笑顔になるモナ。
「ただし、移動する間はヴァンドラの肩車じゃ。小娘にも文句は言わせんぞ?」
「……わかったよ。俺がシルビアには説明しておく。モナのこと頼むぞリヴィア。」
苦笑するフューゼ。
「ククッ!安心しろ。私様は契約遵守じゃ!」
「フューゼ…モナもシルビアにお願いする…」
心配そうにフューゼを見上げるモナ。
「ありがとな、モナ。」
「さてちびモナ、魔力について座学も必要じゃぞ」
親指で机を指差すリヴィア。
「俺にも聞かせてくれ。魔力を扱うの上手くなりたいからな。」
こうして武闘大会への心構えをしっかりと考えるモナ。
フューゼとともにリヴィアの魔力講座を受けつつシルビアとアリスの帰還を待った。




