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サキュバスの眷属になったと思ったら世界統一することになった。  作者: ちょび
第6章〜傭兵国家ギルドランド〜
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クイーンのお味

「フュゼ様ー!月光牡丹の思念鉱石(トランストン)が光ってるよー!」

アリスがぐったりしたシルビアの近くから思念鉱石(トランストン)をもってくる。


「お、ありがとな。」

思念鉱石(トランストン)に魔力を込めるフューゼ。


「なんの連絡だったのー?」

顔を覗き込むアリス。


「ご飯の準備が出来たらしい。1番美味しい状態で食べて欲しいから今回は希望時間ではなく今から持ってきていいか。だとさ。」


「ごはん…!」

目を輝かせるモナ。


「みんな、今持ってきてもらっていいか?」


「いいよー!」

笑顔のアリス。

「クイーンの命玉は食べたことないから楽しみじゃ」

にやりとするリヴィア。


「クイーンの……命玉…!そして……!」

身体を持ち上げ服を整えるシルビア。


「大丈夫そうだな。」

魔力を再度込め思念鉱石(トランストン)を振るフューゼ。


するとすぐに料理の準備が整えられた。



「本日は素材の御提供誠にありがとうございます。料理長に代わりまして感謝申し上げます」

ぺこりと頭を下げる女性。


フューゼ達の目の前には2種類の生ハムと音を立て焼けるステーキ。


「スグロナックとクイーンスグロナック、食べ比べが出来るように致しました」


「今日渡した肉をもうハムに出来たのか…!?」


「当月光牡丹秘伝の燻製法です」

にこりと笑む女性。


「ヴァンドラ、はよぅ!」


「そうだな、じゃあいただきます。」

「いただきます!」

早速生ハムに手を出すフューゼ。


「淡い色がスグロナック、濃い色がクイーンスグロナックとなっております。」


「確かに並べると結構違う気がするな。んむっ…」

…うん、朝のハムも良かったけど生ハムいいな!お酒が欲しくなる味だ…。


続いてクイーンのハムを口に運ぶ。


「んっ!?」

この薄さでこの歯ごたえ…!?ハム…だよな?噛むほど味が出るが…!


「クイーンのお肉噛んでも噛んでも美味しいねー!」

笑顔のアリス。


「…しかし普通のスグロナックの方が食べやすいですね」

口元を抑えるシルビア。


「ククッ、お子ちゃまじゃなぁ?小娘」


「なっ!?」



「スグロナックとクイーンスグロナックは好き嫌いが別れますからね。では、ステーキもどうぞ」

催促されステーキに手を伸ばす一同。


「スグロナックでもこの歯ごたえ…!クイーンはどうなるんだ…!?」


「クイーンスグロナックのステーキはナイフで切らず噛み切って頂きますとより一層楽しめますよ」

女性の言う通りにする一同。


クイーンのステーキを口に運ぶフューゼ。

齧り付くが中々噛みきれない。


かなり顎に力を入れる必要がある…!

ググッと力を込めるとブツンとステーキが噛み切れた。

その瞬間に口内に凄まじい風味が溢れる。


「…!?」


「クイーンスグロナックの命玉…。別名クイーンハートは焼いた時固くなってしまいますが旨味などが内側に凝縮されるのです」


「凄まじく食べづらいが凄まじく美味しいな…!」


「語彙力が…低いぞ…ヴァン……ドラ…!」

必死に噛み切ろうとしているリヴィア。


「全て噛み切って食べるのは顎が疲れてしまいますので残りはナイフとこちらをお使いください」

そう言ってソースを配る女性。


「こちら肉に絡みつきますのでかければ切った時に風味が失われることをある程度抑えることができます。もちろんクイーンスグロナックとの相性も抜群で美味しいですよ」


「ありがたいな…。」

ソースをかけるフューゼ。

どろりと肉に絡むソース。

はっとするシルビア。


「おぉ…いい香りだ…!本当にすごく肉にも絡んでるな」

ナイフで切り口に運ぶフューゼ。


「うん…随分と食べやすいし…このソース美味いな…!!」

その様子を見つめるシルビア。

フューゼの口元にソースが付く。



き…きたっ……!ヴァンドラ様にあの本のテクニックを…!

「ヴァ、ヴァンドラ様…!」

声をかけるシルビア。


「ん?」

振り向くフューゼ。


「お口元失礼致します」

サッとフューゼの口元を布巾で拭う女性。

「え」


はっとし、一瞬しまったというような表情になる女性。


「すまないな、ソースでも付いてたか?」


「え、あ、はい。突然失礼致しました。」

一礼しフューゼの元からすたすたと去る女性。


「申し訳ございません…。つい癖で反応してしまいました…」

すれ違いざまにシルビアに耳打ちする女性。


「シルビア、さっき呼んでたのはどうしたんだ?」


「あっその…ソースが付いてましたので…お伝えしておこうかと…」


「そうか、すまない気をつけるよ。ありがとな」

にこりと笑うフューゼ。


「い、いえ…」

食事に戻るシルビア。



「何やら失敗したみたいじゃな?」

からかうように小声で話しかけるリヴィア。


「う、うるさいです」

ソースが付かないよう意識して食事をしだしたフューゼの口元に2回目のソースがつくことはなく


一同はスグロナックとクイーンを味わい食事を終えた。

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