ムニモニの森の先
“食事”を済ませ歩き出した一行。
「いやー驚いたな、アリス。」
「うん……食べさせたのは私達だったけど……まさかシルビーがあんなにモリナマコにハマるなんて…」
「そうだよなー。最初は泣き目だったからやり過ぎたと思ったけど1口食べてからは凄かったよなぁ。」
「しょ、しょうがないじゃないですか!あんなに気持ち悪いものがあそこまで美味しいなんて思いもよらないでしょう!」
「先祖返りで味とかわからなかったのか?今まで食べて来た先祖いないの?」
「モリナマコの内臓を食べようとした記憶なんて一切ありませんよ…気持ち悪いですし」
「でもその気持ち悪いものをうまいうまいと頬張った挙句にそこら中のモリナマコを脅して回って内臓集めてたのは誰だっけ?」
「あ、あれは非常食を確保してたのです!この森にはモリナマコくらいしかすぐには見つからないので!あくまでも仕方なくですね!」
「じゃあシルビーは無理しなくていいよ!私のバックに果物とかいっぱい詰めてきたから!」
「うっ……!アリスまで……!!……ごめんなさい。私も食べたいです」
「ははっ、あのシルビアをここまで素直にさせるなんてモリナマコが1番強いんじゃないか?」
「もう……からかわないで下さい……。ほら、ムニモニの森ももう抜けますよ」
気付けば鬱蒼とした景色は見えなくなり
当たりには日光が降り注ぐ。
そして目の前には大きな門を携えた街が見えた。
「ずっと暗かったから眩しいな…!そういえば俺達は夜の種族なんだろう?太陽って大丈夫なのか?」
「ご心配には及びません。夜が得意ではありますが昼や日光が弱点という訳ではありません。まぁ私はあまり好きでは無いですが」
「そうなのか、ありがとう。それであれが?」
「そうだよ!あれがグリーディア!久々に来たよー」
「とりあえず入る事にしましょう」
門に近づいていく3人。門を開けようとしたその時
「待ちな。」
門の横で腕を組んでいた男に呼び止められる。
「ここは幻想都市グリーディア。世界一の奴隷都市だぜ?テメェら何の用だ?」
なんだコイツガラ悪いな…。ここの門番か何かか?
「俺達は…「おおっとみなまで言うな!わかってんだぜ?」」
被せてきやがった…。話聞く気ないのか?
「大方そこの性奴隷2匹を売りに来たってとこだろ?だが残念。奴隷商は既に溢れかえってる。見たことのない珍しい種族とはいえ2匹しか商品がない奴を通すわけには行かねぇ。」
「なに……?」
ナイフを取り出そうとするシルビア。
フューゼが手を前に出し制止する。
「おおっと怖いねぇ。俺とやる気かい?奴隷ちゃん。でもな止めたほうがいいぜ?」
男が腕をかざすと緑の風が男の腕を包む。
「俺様は二等魔力持ちにてグリーディアが門番。そして名持ち!“メル・シルフ”様だぞ?」
「…………だから何だ?」
「んなっ… !!テメェ!魔力や名持ちの価値についてすらわからないのか!これだから性奴隷は……。」
お、おいやめてくれよシルフさん。
シルビア抑えるの大変なんだぞ!
「だがテメェら運が良かったな。俺様は今機嫌がいいんだ。」
「え?通してくれるの?」
ニコニコするフューゼ。
「まぁな。ただし条件がある。」
「条件?」
「貴様の性奴隷のうち1人を俺様によこ「それは無理だ。」」
笑顔のままで即答するフューゼ。
「この野郎被せやがって……交渉決裂 だな。」
「あぁ、そのようだな。シルビア、アリス。ここはやめとくか?」
「このまま帰れると思ってんのか?この俺様との交渉を受けなかったテメェは殺して奴隷はもらうぞ。」
フォン!一気にシルフの周囲の風の勢いが増す。
シルビアの耳元で囁くフューゼ。
「……シルビア、あれは強いのか?」
「私で十分です。やりましょうか?」
「いや、大丈夫だよ。というかこいつ倒していいのか?」
「まぁ正当防衛になるでしょう。ならなかったらもう国ごと落しましょう。この馬鹿が悪いのです。」
怖ぇよシルビア。絶対怒ってるな。
「遺言はすんだか?じゃあ殺してやるよ。」
「アリス、シルビア、下がってて。」
「けっ、最期に男を見せるたァやるじゃねぇか。まぁ殺すがな。いくぞ……!」
「餌の時間だ!“喉元を食い破れ!風狼!!”」
緑の風が狼のような形になりフューゼに襲いかかる。
「……速い!」




