獄落
「極楽ぅ…?今の技の何処が極楽何じゃ。死んで楽になれという意味か?」
「いや、まぁその極楽と言葉遊びはしたつもりだが地獄に落とす…で獄落。今回のはいいだろ!?」
自信満々のフューゼ。
「……ぷっ」
笑うリヴィア。
「んなっ!?渾身の出来だと思ったのに…!」
「ヴァンドラよ…ヴァンドラらしさ…いやいやフューゼらしさの光るいい技名じゃなぁ?地獄に落とすで獄落とは私様には到底出てこない技名じゃ」
口元に手を当てククッと笑うリヴィア。
「自信あったんだけどなぁ。」
顎に手を当て考えるフューゼ。
「クイーンがそんなに憎かったのか?」
笑いながら問うリヴィア。
「そういう訳じゃないんだが…。あの威力とヴァンドラらしさで考えたら地獄の火炎というかだな…」
肩をぽんぽんと叩くアリス。
「フュゼ様!フュゼ様オリジナルの払腰なんでしょ?フュゼ様腰の方が覚えやすいよ!」
笑顔のアリス。
「くはははっ!こらアリス!からかうのもその辺にしとけ」
堪えきれず大笑いするリヴィア。
「えぇー?覚えやすくない?」
「…なに?」
「あっ、必殺!フュゼ様腰は?かっこよくなったよ!」
「アリス、その技名はどうかと思うわ」
ずいと前に出るシルビア。
「ヴァンドラ様、これまでの魔法やスキルを参考にし僭越ながら地獄蹴投を御提案させて頂きます」
真剣な顔のシルビア。
笑顔が徐々に消えるリヴィア。
「………本気か?」
「えぇもちろん。この技名には…」
語り出すシルビア。
「シルビーのも覚えやすいけど私のフュゼ様腰だって覚えやすくて可愛いし…」
負けじと語り出すアリス。
「じゃあ…モナは…」
混ざり楽しそうなモナ。
「なぁ…。ヴァンドラよ。小娘らはふざけておるのか?」
「……いや、本気だと思うよ。俺が初めてアリスに会った時は“サキュゾク君”って名付けられそうだったからな。」
「………」
無言でフューゼの横に並ぶリヴィア。
「ヴァンドラ…」
「どうした?リヴィア。」
「獄落……。いい技名じゃな。私様はそれでいいと思うぞ」
「…ありがとう。」
「それに炎剣焔剣よりは好きじゃぞ」
ククッと笑うリヴィア。
「からかうなよ。」
釣られて笑うフューゼ。
「さぁ小娘共。先程のヴァンドラの技名は獄落じゃ。不毛な論争はやめるんじゃ」
「……ヴァンドラ様の判断であるならば」
「フュゼ様腰可愛いのにー!」
「………たのしかった」
反応を示す一同。
「さて、どうするヴァンドラ」
フューゼに振り返るリヴィア。
「今日はもう充分だろう。ある事をしたら今日は帰ろうと思う。」
「ある事?」
首を傾げるアリス。
「シルビア、戦闘で倒したスグロナック、そしてクイーンの命玉採取できるか?」
「できます!!」
命玉と聞いたとん姿勢を正すシルビア。
「よし、俺達も出来ることがあれば手伝うが採取を頼みたい。」
「いえ、私にお任せ下さい」
意気揚々とナイフを取りだしクイーンに向かうシルビア。
「なんじゃヴァンドラ、小娘の食欲がうつったのか?」
「まぁ俺が食べたいって気持ちもあるが見ろあのシルビアを。」
言われてシルビアを見る一同。
笑顔で解体を始めているシルビア。
「食に関しては幸せそうだろ?それにシルビア含めたみんなにまた命玉味わってもらいたいしな。ついでに月光牡丹にもいい土産ができる。」
「フュゼ様優しいー!」
抱きつくアリス。
「まぁ…小娘が幸せそうなのは事実じゃな」
「モナも…またあのハム食べたい」
こうしてクイーンを降したフューゼ達は複数の命玉とクイーンの命玉を採取し帰路についた。




