進路
「大変お見苦しい醜態をさらし申し訳ございませんでした……」
「いや、大丈夫だよ!それより10分くらいビクビクしてたけどシルビアこそ大丈夫?」
「だ……大丈夫です!もう忘れてください」
「あんなシルビアを忘れられるわけがない。というより首、大丈夫か?変な印みたいなのも出来てるし……。」
「大丈夫ですよ。ヴァンドラ様の牙からはその……痛みを感じにくくする成分が出ますから。あと眷属契約された際のヴァンドラ様への忠誠の証として眷属にはこの紋章が出るのです」
「そうなのか?アリス」
「うーん紋章はよくわかんないけど痛みの事については前シルビーがヴァンドラ様の牙からは強いサイイン効果?みたいなのがでるって話してたよー」
「ちょ、ちょっとアリス!!」
ほほぅ。凄くいいことを聞いたな。
それが本当ならシルビアの言動が理解が出来る。
俺にとってはこれこそメインスキルじゃないか?
「……何をにやけているんですかヴァンドラ様」
「いや…何でもない。それより本題に入ろうと思うんだが、これからの進路だ。俺はこの世界の事全くわからないから今回は2人に頼るしかないんだがどこに向かえばいい?」
「はいはーい!私ね、“グリーディア”がいいと思う!」
「グリーディア?国の名前か?それでなんでそこがいいんだ?」
「ここから森を抜けたらすぐの国だよ!1番近いから!」
「うーん1番近いからかぁ。まぁいきなり遠くに行くよりいいかもなぁ。シルビアは?」
「私もグリーディアが宜しいかと思います。理由としては3点。1、アリスの言う通り1番近く、この世界について詳しくないヴァンドラ様にとっては遠出は推奨出来かねます。そして2つめ、グリーディアは独立派。何か手を出さない限りはこちらにも危害は加えてこないかと。最後に3つめ、ヴァンドラ様の覇道を支える手足を得るためです」
「2つめまではわかるんだが3つめはどういう意味だ?」
「失礼致しました。グリーディアは奴隷商により成り立つ都市。そこで有能そうな者を買い取れば役に立つかと。」
「奴隷商!?奴隷が売ってるのか?」
「えぇ。基本名無しばかりですがヴァンドラ様のお力を使えば使い物になるでしょう」
この世界には奴隷商なんかがあるのか……
すごいな。俺の中で奴隷と言えば“エルフ”って
感じなんだがこの世界にエルフっているのかな?
「なぁエルフとかってここにはいるのかな?」
「えぇ。存在しますよ。奴隷の多くはエルフですし。というよりグリーディアはエルフの国ですよ」
「え!?エルフの国なのにエルフを奴隷商品にしてるってこと?」
「そうなりますね。まずは近いので行ってみる方が早いです。この城から北にまっすぐ進むと“ムニモニの森”があります。そこを抜ければグリーディアに着きますよ」
「……そうか。じゃあ決定だ!そのムニモニの森ってのをまず目指してそこからグリーディアに行こう。」
「城の外は久々だから楽しみだなー!」
「アリス、調子にのってヴァンドラ様の足を引っ張らないでね」
「ははっ、俺も初めての城の外…というよりこの世界への第1歩で何だか楽しみだよ。色々ここの事を教えてくれ!頼りにしてるぞ!それじゃあ出発だ!」
そうして3人は城から北へと足を進め始めた。
主人公
名前…ヴァンドラ・フューゼ
所属…古城ヴァンドラ(独立派)
種族…ヴァンパイア
魔力…未測定
スキル…言語理解、名付け、魔力防壁、眷属契約、夜王解析、詠唱破棄