ヴェグル洞窟踏破
「やっとヴェグル洞窟の入口まで来たな。」
「うん…シルビアとアリス大丈夫かな」
フューゼを見上げるモナ。
「クルネヴァは倒したからな。あいつらなら大丈夫だろ。それに…」
モナの後方をちらりとみるフューゼ。
そこにはモナを慕うガルルグルの群れ。
その数約20。
「入口でガルルグルが待ってたとはな…。それにしても…凄いことになったなモナ。」
「みんななついてきちゃって…連れ帰ってもいい?」
不安そうな顔つきのモナ。
「スペース的には問題ないだろうけど…。船に乗せても問題ないかシルビア達に相談してOKがでればいいぞ。」
それを聞いてパァと明るくなるモナ。
「ありがとう…!フューゼ……!」
その時声が響く。
「あ、やっと追いついたよー!フュゼ様ー!モナちゃんー!」
フューゼ達が振り返ると手を振りながら走ってくるアリスと小走りのシルビアがいた。
「おぉ!お疲れ様!2人とも怪我はないか?」
「大丈夫だよ!ありがとうフュゼ様ー!それに見て見て!」
そう言うとバックから魔鉱石を取り出すアリス。
「おぉ、綺麗だな。これはどんな魔鉱石なんだ?」
「今見せてるのは実はよくわかんなくて…。でも純度の高い魔力を感じたから採ってきたんだ!」
「使用用途がわからないのか。シルビアもわからないのか?」
「…はい。後でアリスと解析してみようかと思います。そんな事より…」
ツカツカとフューゼに歩み寄るシルビア。
「な、なんだ?」
焦るフューゼを気にせず少し通り過ぎるシルビア。
そしてくるりと振り返る。
「何してるんですか貴方は!」
そう言ってフューゼに肩車をしてもらったまま寝ているリヴィアのお尻を思い切りはたくシルビア。
バシィィン!と良い音が洞窟内にこだまし、その直後にリヴィアの声も反響した。
「ったぁぁぁぁ!!!」
お尻をおさえ落ちそうになるリヴィア。
慌ててフューゼにしがみつく。
「ばっ…!!何をするんじゃ小娘!!」
「何故貴方はまたヴァンドラ様の上にいるのですか!しかも寝て御迷惑をおかけした上涎でべちゃべちゃにしてるじゃないですか!!」
「私様は疲れたんじゃ!フューゼとちびモナをクルネヴァの群れから救うために魔力を使ったからな!」
「そんなの理由になりません!」
リヴィアを睨むシルビアの服を引っ張るモナ。
「モナ…?どうしましたか?」
「モナのせいなの…。モナがまた暴走しちゃって…。リヴィアがみんなを助けてくれたの。」
「そうじゃ!言ってやれちびモナ!」
「くっ…!本当なのですか?ヴァンドラ様」
フューゼに目線を移すシルビア。
「あ、あぁ…。リヴィアが助けてくれた。」
「だ…だからといって…!」
またもくいくいと服を引っ張るモナ。
「シルビア…。モナが悪いの。ごめんなさい。」
ぺこりと頭をさげるモナ。
「モ…モナ……」
「シルビー今回はもういいんじゃない?」
「アリスまで…」
「またネモーネされちゃうよ?…それともまさかネモーネされるの待ってるの?」
ジッと怪しみながらシルビアを見つめるアリス。
「は、はぁ!?そんなわけないでしょ!何言ってるのよ!」
慌てるシルビア。
「こ、今回はヴァンドラ様とモナを守ってくれたみたいですからいいですけど今後は控えて下さいね!」
「ふん、嫉妬が見苦しいぞ。フューゼが嫌がってなければいいのじゃ」
わなわなするシルビア。
「そ、そのくらいにしとけ2人とも。それよりモナ、シルビアに聞きたいことがあるんだろ?」
「あ、うん。シルビア…あのね……」
「……もしかしてですが…」
ちらりとガルルグルの群れに目線を向けるシルビア。
「みんな付いてきたの…。船乗れる?」
シルビアを見上げるモナ。
「船は広いので乗るとは思いますが…。」
「全員乗れる?」
「全員ですか…。その、暴れたりはしないですか?」
「みんないい子にできるよ…!……ね?」
モナがガルルグルに振り向くとガルルグルが雄叫びをあげた。
「おぉ…すごいな。」
「モナちゃんすごーい!ガルルグルも可愛い!」
「流石ちびモナ!やればできるじゃないか!」
「えへへ…///」
照れるモナ。
…ヴァンドラ様も気に入っている様子ですね…。
アリスもモナもついでにリヴィアも…。
「…危害をくわえてこないのであれば…。戦力になる可能性も高いですしね…」
「や、やった!」
ぴょんと跳ねるモナ。
「そのかわりちゃんと躾とお世話するんですよ?」
「うん!」
「…ギルドスライム達が怯えきって不憫ですのでギルドランドへ向かいましょうか」
こうしてヴァンドラ一行はガルルグルを迎え入れギルドランドへ戻り始めた。




