進むか引くか
「モナ!目が覚めたのか!」
「うん……。心配かけて…ごめんなさい」
うつむくモナ。
「心配はしたがよくやった。凄かったぞモナ。」
そう言いながら頭を撫でるフューゼ。
「あぅ……。でもどうやったのかあまり覚えてなくて……」
「そうなのか?でもいずれは使いこなせるさ。モナなら。」
「ありがとうフューゼ……」
「あぁ……。身体はもう大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ」
「わかった。…みんな集まってくれ!」
招集をかけるフューゼ。
「よし、集まったな。ヴェグル洞窟探索についてだが…リヴィアによると洞窟の様子がおかしいらしい。さっきのクルネヴァみたいに突然危険な大型生物に会ったりする可能性が高いみたいだ。」
全員の顔を見渡すフューゼ。
「そこでだ、このまま進むか引き返すか皆の意見を聞かせてくれ。シルビアから頼む。」
「かしこまりましたヴァンドラ様。私としては進む方がよろしいかと。」
「ちなみに理由はあるのか?」
「経験値も多く得ることが出来ますし奥の魔鉱石を発掘出来れば便利なものがあるかもしれません。本来生物が群れていて進む事が困難なヴェグル洞窟においてこのような機会は奇跡に近いと思われます。なので危険ではありますが進むべきかと思いますね」
「……なるほどな。アリスはどうだ?」
「まだ薬も沢山あるからみんなに合わせるよ!」
「わかった。リヴィアの意見を聞かせてくれ。」
「私様は……モナが大丈夫なら進んでもいいとは思うが……」
「どうしたんだ?」
「起きてからは元気に見えるから黙っとったがモナは戦闘中に臓物を吐いていた…。クルネヴァの毒にやられたのかもしれん……。いつどうなるかわからんぞ」
「臓物を吐いていた……?そうなのか?モナ。」
「ちょっと……吐いちゃったかも」
「そうだったのか。今は大丈夫か?」
「うん。大丈夫」
「問題無いみたいだ。リヴィア。」
驚いた表情のリヴィア。
「大丈夫なわけあるか!臓物を吐いた……理解しておるのか!?」
「え……うん。わかってはいるけど……。」
何がそこまで心配なんだ……?
「わかっていて何故そのような態度なんじゃ……!!」
「……間に入って申し訳無いですがリヴィア、モナの種族はわかっていますか?」
「見ればわかる。獣人だろう?」
「……正確には合成生物です」
「……合成生物?まぁそんなこと言っておったな。本気で言ってたのか?」
「はい。モナは合成生物です」
「ま、待て。合成生物と言えば禁忌で生まれる生物だぞ?お前ら禁忌に手を出したのか!?」
「いや、俺達じゃない。元々モナと居たやつが禁忌に手を出していたんだ。」
「……まぁ深くは聞かん。それで何の関係があるんじゃ?」
「モナは獣人属とモリナマコの合成生物です」
「何じゃと……?モリナマコ……!?」
「はい。だから臓物を吐くのは特段おかしな事では無いのです」
「……なんじゃそれは!聞いとらんぞ!」
「説明してなかったな。悪かった。」
「……無駄に勘違いして心配してしまったわ……」
リヴィアに近寄るモナ。
「リヴィア……」
「なんじゃちびモナ。笑いに来たのか?」
「ううん……心配してくれて…ありがとう」
リヴィアにぎゅうとくっつくモナ。
「なっ………!わ、わかったから!離れぃ!モナ!」
モナを引き剥がそうとするがくっついたままのモナ。
「……それでリヴィア、どうする?」
「あぁ?何がじゃ?」
「ヴェグル洞窟探索だよ。」
「……モナが大丈夫なら進むべきじゃないか?小娘の言う通りこんなに進みやすい機会は無いぞ」
「わかった。モナも奥に進みたいか?」
リヴィアに抱きついたまま
顔だけフューゼに向けるモナ。
「うん。いきたい」
「よし、なら決定だ。奥に進むぞ!」
フューゼ一行はヴェグル洞窟のさらなる奥へと
歩を進めだした。




