僅かな休息
……何が起こったんだ?
モナが叫んだ瞬間一気に炎が吹き上がって……。
「くぅっ……!!」
フューゼが声の方に振り向くと両手を広げ
顔を歪めるリヴィア。
「リヴィア……!貴方私達を庇って……!?」
「……単にエクシスを展開しただけじゃ」
「ありがとうリヴィアちゃん……!でもモナちゃんは…!?」
はっ、とした様にモナのいた方へ目線を移すフューゼ。
そこには大きく体に穴を開け横たわるクルネヴァ。
周囲は緑の体液等が飛散しその体は
煙を上げぴくぴくと蠢いていた。
「クルネヴァがやられてる……。モナはどこだ?」
辺りを見回すフューゼ。
そして、倒れているモナを見つける。
「モナ!!」
駆け寄るフューゼ。
目を閉じたまま横たわるモナ。
「大丈夫か!?モナ!!」
揺さぶるが反応のないモナ。
「やめぃヴァンドラ。魔力の使いすぎで気を失っとるだけじゃ」
「魔力の使いすぎ……?じゃあさっきの炎はやっぱりモナだったのか?」
「そうじゃな。あれは魔力の暴走じゃ」
「魔力の暴走……?」
「強大な魔力を持つ者が何かしらの理由……特に精神的に追い込まれた時などに魔力が暴走し、凄まじい魔力を放出することがある。今回のはそれじゃろう」
「モナは強大な魔力を持ってたってことなのか?」
「そうなるな。今回は使い果たして倒れてしまったようじゃが潜在能力が高いことはわかったな」
「……モナは大丈夫なのか?」
「魔力が回復すれば目を覚ますじゃろ。…これでも飲ませておけ」
リヴィアが小瓶をフューゼに渡す。
「これは?」
「魔素水じゃ。これを服用すれば魔力回復が早まる」
「ありがとうリヴィア!」
「いいから早く飲ませてやれ」
リヴィアから受け取った魔素水をモナの口にいれる
フューゼ。
「んっ……」
「あまり意識のない時に口に入れて大丈夫だったんだろうか……。」
「やってから不安になるな。じゃが安心せい。高純度の魔素水はすぐ身体に馴染む」
「そうか……。少し安静にしておこう。」
「これ使って!フュゼ様!」
アリスが毛布のようなものを差し出す。
「ありがとうアリス。」
「どういたしましてっ!ガルルグル達にも薬を塗ってくるね!」
とてとてと駆け出すアリス。
「……今の所は襲ってくる生き物はいないみたいだしみんな少し休んでくれ。」
「私が警戒しておくので皆さん休まれて下さい」
スっと洞窟の奥に振り返るシルビア。
「シルビアも休んだ方がいい。」
「お気遣いありがとうございますヴァンドラ様。ですが私に警戒をお任せ下さい。今私はそこまで消耗していませんので」
「……きつくなったらすぐに言えよ?シルビア。」
「はい。ありがとうございます」
こうしてクルネヴァとの戦闘は終了し、
モナの力は少しずつその片鱗を見せ始めていた。




