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昔話さ、涙をふけよ。

作者: あまね

「今も昔も、涙が武器なのは?」

「女」

「ぶー不正解、正解は鬼でした」

「いやいや、それはおかしいだろう、いや女性も鬼の範疇に入れても良いだろう」

「それのほうがおかしい気がしてくる不思議」

「まぁ冗談だけど、なんで鬼の武器が涙なんだよ」

「鬼の目にも涙」

「武器ですらないな、それはことわざだろ」

「いやいや、話は最後まで聞くものだ」

「話はさっさとするべきだろう」

「別にいそぐ予定もないだろう」

「それはそうだけど、なんで涙が鬼の武器なんだよ」

「いやぁその前に泣いた赤鬼を知っているか?」

「どんな話だっけ?」

「これがまた、鬼が涙をうまく武器にしているんだよ」

「そうだっけか?」

「そうだよ、まず主人公の赤鬼は、村の人と仲良くしたい、そこでお菓子を用意して看板だしても誰も来ない」

「いや、なんで人間と仲良くしたいんだろうなコイツ」

「外国の人と仲良くしたい心境なんじゃない」

「グローバルだな」

「まぁ、顔が怖いし、鬼と言うことで警戒されて、誰も来ないんだよ」

「まぁお菓子あるぞって誘拐の手口だから、知り合いでもない限りもらわないだろう」

「村人賢いな、お菓子で仲良くなろうとか考えている、赤鬼とは大違い」

「そこまでいわないでもいいだろう、何か話題が欲しかったんだろう」

「金銀財宝在り処教えますって書いたら、欲深なおじいさん、おばあさんは釣れそうだけどな」

「そんなヤツと仲良くなりたくないんだろうよ、お菓子ずきな女性や子どもと話したかったんじゃない」

「えーとどこまで話したっけ?」

「赤鬼が看板出したけど誰も来ないところまでだな」

「そうそう、それで悲しみにあけくれて、看板をへしおったり、暴れて泣いて自暴自棄」

「いきなり、挫折した、メンタル弱いぞ」

「個人的には人間社会で上手くいくのか不安になる」

「いや、多分上手くいかないだろうよ。それで引きこもって、泣いていたら誰か人間がきたのか?」

「友人の青鬼が心配で来た」

「引きこもり迎えに行く、先生みたいだな」

「まぁ赤鬼は人間と仲良くなりたいけど、上手くいかなかったって話を青鬼にするわけよ」

「人生相談か」

「青鬼は、じゃあ村人襲おうといいだす」

「いきなり!」

「いやいや、そういう芝居、そこを赤鬼が止めれば、感謝されて仲良くなれるよみたいな」

「あぁ恩を押し売ってそこから優位性を保ち、仲良くしろみたいな感じか」

「そうそう、それで目論見どおり、赤鬼は村人と仲良くなるわけよ」

「昔の人、賢くないな、ちょろいな赤鬼が青鬼とぐるだったら、一網打尽だぞ」

「あまい、あまい、青鬼がそこまで考えてないと思うか」

「どういうことだ?」

「青鬼はそこまで考えていた、赤鬼が村人と仲良くなって日々を暮らしていらい、青鬼は赤鬼に一切あっていない」

「すごいな、そこまで考えていたのか」

「そして赤鬼は、青鬼の住処のところへ行くと、青鬼はおらず、置手紙でそのことを伝える、もう会わないよと一言そえて」

「うわぁ偉いな、友人のためにそこまでやるか」

「赤鬼はその手紙をみて、泣いたのさという話」

「すごいな、此処まで鬼の涙が武器という話なのに、全く涙が武器として機能していない」

「お前、ここで凄いのは主人公の赤鬼の涙だぞ」

「なんでだよ」

「友人をそこまで突き動かした涙、自暴自棄になり、涙ながらに人間と友達になりたいんですと必死で訴える涙があってこそ青鬼を動かしたといえよう」

「確かに、必死さが伝わったんだろうな」

「まぁ涙ながらの訴えで、人間と仲良くなるさいに邪魔な青鬼という不確定要素を消すことにも成功している」

「話が変な方向に言っている気がする」

「考えてもみろ、青鬼は人を襲うとか言い出したぞ」

「芝居だよ、芝居」

「襲う必要性はないだろう、赤鬼はこう考えていたはずだ、人間と仲良くなりたいと、鬼だから信用されない、しかし自分は人間と仲良くなりたいと思っているのに、なんで人間は鬼を怖れるのか、それは自分以外の鬼が悪さをしているからじゃないか、きっとそうだ、自分が上手くいかないのは別の鬼の所為だと」

「まぁ言われてみれば一理はあるけど」

「襲わずとも例えば、あのちょろい村人達のことだ、雨の中ふるえて泣いていれば、勝手に誤解するという方法を青鬼が言い出していれば、赤鬼は青鬼を追い出そうとしなかっただろう」

「いやいや、赤鬼は村人と仲良くなった後、青鬼のところにいって手紙で涙しただろう」

「それすらも赤鬼の仕掛けだとしたら」

「何?」

「村人を襲うという青鬼の行動はリスキーだ、下手したら赤鬼は村人と仲良くなれないどころか、鬼というものは乱暴ものだというイメージが付きまとう可能性がある、仲良くなったあと青鬼との企みがばれたらどうなる」

「不信感いだくやつもいるだろう」

「そして青鬼が自分のところにやってくる可能性をゼロにするには殺すしかなく、そして殺した後に置手紙を用意、村人には青鬼が自主的に去っていったようにみせ、偽りの話で青鬼の株をあげ、さらに鬼にの目にも涙、情けはあるのだと思わせたとしたら」

「そこまで考えていたなら赤鬼おそろしいな、ところでその説だと最後なんで泣いたのさ」

「その手紙に涙しないと、情がないように思われるだろ、手紙に涙の後をつけたのさ」

「あぁまぁ確かに武器になるわ」

「鬼の目にも涙は決して、いい意味じゃない、鬼は涙すら武器にするから恐ろしい生き物なのだと言うことをわかって欲しい」



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― 新着の感想 ―
[一言] こういう流れるような会話のテンポが大好きです。 昔話をリスペクト?した世界観も、元の話を知っているからこそ入り込みやすく馴染み易かったです。 楽しませて頂きました。 ありがとう御座います。
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