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かなりのご無沙汰です。お待たせしました。
今日はお茶のお稽古。
そこで同じ流派であり同じ師匠に師事している宮脇会長の婚約者の神宮寺綾乃様と一緒になる。
色々なお稽古は私の趣味である。
前世資格マニアと言っても良かったくらいの資格を持っていた。
綾乃様と一緒になったからどう思っているか聞いてみようと思う。
頭の良い方だから、当然宮脇会長のことは耳に入っていると思う。
「ごきげんよう綾乃様。私よくない噂を耳にしてしまったのですが…どう思われます?」
さすが綾乃様。表情ひとつ変えない。それどころか口元には柔らかな微笑みを讃えている。
こういう所が財閥系総帥夫人にぴったりだと思うんだけどな。
「まぁ、ごきげんよう沙耶様。そうですね…私からは康孝様は『そこまで愚かでないことを祈る』っていう感じかしら?うふふ」
綾乃様かっこいい~惚れてしまうわ。私が男だったらほっとかないんだけど、女だからほっとく(笑)
「殿方はロマンチストですからね、のめり込んでしまうかもしれませんわ」
少し突っ込んでみる。
「私としましても別に康孝様に執着しているわけではありませんもの。結婚してから少しずつ情を深めていけばよいと思っております」
実に淡々と話される。ゲームとの違いがこの言葉に如実に現れていると思う。
ゲームの彼女達は乙女ゲームだから当たり前のように愛だの恋だの大騒ぎだった。でもこの世界では愛だの恋だのに現を抜かすよりもっと広い視野を持つべきであるみたいな考え方を彼女達婚約者はしている。
ゲームと同じような考え方は攻略対象者達なのだ。
彼女達は現実がしっかり見えている超がつくくらいのリアリストなのである。
上流階級の出来たお嬢様なのだ。
小さい頃の私よく頑張った。
綾乃様の話を聞き、いざと言うときも動揺はないとわかった。
「綾乃様?私はいつでも綾乃様の味方ですからね」
そう満面の笑みで告げる。
「わかっておりますわ。いつでも沙耶様は私の…私たちの味方でしたもの。その信頼は揺るぎないものですわ」
二人でニヤリという言葉がぴったりな笑いを浮かべる…。この信頼関係は今まで築いてきたもの。
愛だの恋だのに浮かれるあなた方では築くことは出来ないもの。
さぁ、康孝様あなたの未来は明るいのかしらね?
婚約者は男前です(笑)