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サポートキャラがいく《連載版》  作者: ラズベリル
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最近ヒロインのキャラが一定していない。

本当にヒロイン?っていう悪役のような時もあれば、ゲームの時そのままの頑張り屋さんで健気な部分が見え隠れする時がある。


どういうことだろう?

排除方向に向かって進んでいるのをいち早くキャッチして改心したって見せているのだろうか…それとも…。

そんな風にヒロインの状態が掴めず悶々としていた時に決定的な物を見てしまった。

それを見て、私は今までヒロインのことを監視だけで特に情報収集はしていなかったことを後悔した。

攻略対象者やその婚約者とは顔見知りであり、その人となりは実際触れ合うことがあったから把握出来ていた。でもヒロインとは会う機会もないため貴也に調べてもらっても人づてだと見誤る可能性があったため実際会ってから判断しようと思っていた。

でも…今から遅くない。まだ最期の審判までには時間がある。彼女の過去を調べて、もしそうなら私はサポートキャラとして相応しい対応をしなくてはならない。この世界はゲームではないのだから。

ゲームのように進んでいく状態に不安だった私に、この世界が現実であると教えてくれた人がいた。だから今は現実だと確信できる。もしもヒロインがゲームだと思っていたら大変なことになる…。

私は貴也に彼女の過去を調べるように命じた。

貴也は私の対応に戸惑ったみたいだった。


「沙耶お嬢様。今まで監視対象であった者の過去を調べよとのことでしたが…。あの者は沙耶様のご友人に敵対している者。そのような者に肩入れされる理由をお聞かせ頂けませんか?排除される者に対する憐憫でしょうか?差し出がましいことを申しました。お許し下さい」

深々と頭をさげる貴也。

疑問に思うのは不思議ではないわよ。

前世ゲームをしてた時は理不尽すぎる悪役達の末路に憤慨して助けられるものなら助けたいって思ったもの。主役だから贔屓されるのはしかたないと思うわよ。でもね。どうして嫉妬して、ちょっとした意地悪が、仕返しとして学園追放とか会社を潰されて一家離散とか、挙げ句の果てには死亡とか…それ可笑しすぎない?

どんだけ返してる?倍返しどころじゃないよね?

ゲームだからか勧善懲悪なんだろう。

悪役の末路に嬉々としていた人もいたけれど私はその結末に納得出来なかった。

悪役達が可哀想だった。ヒロインも優しいって設定だったのに止めに入ることもしなかった。

ヒロインが悪役達からの嫌がらせで命の危機があるゲームもあったけれど、ヒロインのはなかったのにね。

悪役がやられる度に一人ツッコミをいれていた。だからこの世界に転生して、婚約者達と関わる立場になって、『助けたい』って思った。


前世で好きだったものにゲームの他にゲーム世界に転生するっていう小説も好んで呼んでいた。

ヒロイン、悪役、攻略対象者に転生するっていう設定。

で、不思議に思っていたのが主人公が悪役転生してヒロインがビッチでやられちゃうんだけど…サポートキャラは何してんの?だった。

恋のサポートだけじゃなく、サポートするなら嫌な子になっていってるヒロインを更生させたり、ヒロインザマァになっちゃっても、サポートしてやれよって思ってしまった。

『サポートするなら最後まで面倒みろよ』

一度思ってしまったら、もうだめだった。

本当はヒロインザマァですっきりなんだろう。だけど私には後味が悪いという思いしか残らなかった。

もちろん、どうしようもないヒロインはいると思うけれどね。それはそれとして、更生のチャンスはあげるべきじゃない?偽善者っていう人もいるだろう。サポートキャラにそこまで求める私が可笑しいんだとは自覚はある。


「彼女の人となりって一年以上の付き合いでわかってたつもりだったけれど…最近彼女の印象がちぐはぐすぎるの。何かあったのではないかと思ったからよ」


「しかし…もう彼らを含め排除の流れになっています。もう猶予はあまりないのではないでしょうか?」


「そうね。多分今年の学園祭に仕掛けてくるでしょうね。どちらも…」


深刻な口調の貴也に重々しい口調で答える。

そう、すべては学園祭の後の保護者同伴のパーティー。

ゲームでも攻略対象者達が婚約破棄を告げていた場。

攻略対象者達も婚約破棄とヒロインとのことを公にしようと画策しているようだが、彼らを排除しようとしている勢力もその場を舞台にしようとしている。

排除しようとしている勢力とは彼らと家柄、能力、容姿ともに引けを取らないが惜しくも生徒会入りが出来なかったため虎視眈々とその地位を狙っている人達のことだ。

私としては、こちらの人達の方が人間性も問題ないと思うのだが…。「そうね。だから急いで調べて頂戴」


「わかりました。失礼します」

一礼して部屋を出て行く貴也。

もし、彼女がそうならちゃんとサポートしなくてはね。


もうそんなに猶予はない。


断罪という舞台の幕があがるまえに絵里花様のサポートをしなくてわね。

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