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サポートキャラがいく《連載版》  作者: ラズベリル
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九重朋樹の兄の名前が間違っていました。ご指摘ありがとうごさいました。修正しました。正しくは九重基宏です。


ヒロインはどうしたのだろう。

あの暗い表情がずっと引っかかってた。

初めの頃は、これがヒロイン?ってくらいドヤ顔だった。ゲームでは可憐なヒロインだったのに…って思うことが多々あった。まるっきり悪役ではないかっていう顔をよくみた。

でも、さっきの表情は…。

ヒロインよりも千代美様のフォローをしなくては…私はヒロインとの話を終わらせ千代美様のあとを追った。中等部の校舎へと向う。優希には私の荷物を取ってきてもらうよう頼んだ。

このまま千代美様と一緒にお茶しに行こうと思っている。

中等部の千代美様のクラスに着き、入口付近にいた男子生徒に千代美様を呼んでもらう。

男子生徒に呼ばれ千代美様が此方に気付いたようだ。

「沙耶お姉様。中等部までお見えになるなんて、どうなさったの?」


少し赤い目をしてるわね。暗い表情をしているわ。泣いていたのね?

「千代美様と一緒に帰ろうと思いまして…。久しぶりですからTホテルでアフタヌーンティーでもしませんか?あそこのスコーンお好きだったでしょ?」


飛びっきりの笑顔でお誘いします。

千代美様も笑顔になって頷いてくれました。

そのまま私の家の車でTホテルに向かいます。

千代美様の家の車は送るからと帰って頂きました。


まだ千代美様は動揺しているようだったから、あえて私からは何も話さなかったので、暫くは沈黙が続きました。


「沙耶お姉様、先ほどは間に入って頂きありがとうごさいました。この年齢ですから、許されることではありませんでした」


大人ねぇ…彼らに爪のアカでものんで見習ってほしいわ。

聞く耳もたないって態度ですもの。

「いいえ。わかって頂けたのなら良かったわ。貴女の評判を落とさなくてすんで…。貴女が中等部だったから情報が遅れてしまったのね?それに最近まで高等部全体で彼らの状態が洩れないようにしていたから…」


「それは何故ですの?」

「ついたわね。詳しい話は個室を予約したからそちらで話しましょう。松野さん帰る時は電話しますから」

運転手の松野さんにそうお願いしてTホテルへ入った。

個室に案内されアフタヌーンティーを二人分頼む。


ふたりきりの部屋で不思議そうに千代美様は聞いてきた。


「沙耶お姉様。いつ予約されましたの?」


ふふふ。さすが我が円城寺家諜報部貴也直属ですわ。優希仕事がはやいわ。

「千代美様から返事をもらったあとですわ。私付きの者が予約しましたの」


「そうでしたの。さすがですわ。 ところでさっきの話ですが…」


「何故洩れないようにしていたのかでしたよね?

最初は一時的なものと皆思っていたのです。彼らは優秀ですから婚約の意味もよくわかっていていずれ熱も冷めるものと思われていました。現に九重朋樹様のお兄様である基宏様は戻られましたもの」


「基宏お兄様もですか…」

凄い暗い表情なんですが…。

「千代美様はお二人と幼なじみでもあられましたね?基宏様のことはご存知ではなかったのですね?そんなにショックを受けられているんですもの」


「ち、違います。私は真崎家として九重家の嫡男である基宏お兄様が道を外しそうになられたから心配していただけです。只でさえ私の従姉妹とのことで迷惑をおかけしているんですから…」


必死に弁解する姿がとても微笑ましいわ。

これは…朋樹様より基宏様が好きと言っているようなものだわ。



「千代美様の従姉妹というと基宏様の元婚約者の方ですわね?たしか家庭教師の方と駆け落ちされた…」


あれは社交界の久々の醜聞だったせいかかなり広まった。もちろん家の力を尽くして二人は連れ戻されたが…その頃もう産み月も近くかなりお腹が大きくなっていたそうである。二人は確信犯だね。

こっそり出産して何食わぬ顔して嫁ぐって方法もあるけど…。そこのところを聞いてみる。

「九重家と真崎家はかなり昔から婚姻によって繋がってきました。だから正直に伝えて誠意をみせたという形を取ったんです。当主同士が親友ということもあって騙したくなかったと父は言っていました」



事業も長年の協力関係みたいだからね。

それなら直系同士でも良かったんじゃない?

「年が近いもので選ばれたんです。その頃は私は一人娘ですたから朋樹様に婿に入ってもらわなくてはならないので」


ん?ちょっと待って。


「たしか千代美様は弟さんがいらっしゃいましたわよね?

あぁ、数年前にお生まれになったんでしたね?」


「はい。弟は2歳になります」


「でしたら千代美様が嫁ぐことになっても問題ありませんよね?」

そう言ったとたんに千代美様は耳まで赤くなって俯いてしまった。



さて千代美様弄りはこのくらいにして…

「話を戻しますけど、

憧れの優秀な彼らですから目が醒めた時に彼らに汚点とならないように高等部全体で洩れないようにしていました。しかし彼らは忠告にも耳を傾けることなく、寧ろ悪意あるように受け取ってしまうんです。そんなことをされたら、大体わかりますわよね?彼らのことを庇うどころか徐々に醜聞が漏れるようにしていったんです。

彼らのことは学園はおろか実家も見放している状態になっているんです。ですから千代美様が悪役になって諭してももう手遅れですわ」


「そんな…私…朋樹様のことを基宏様が心配されていたから…」

最後は消え入るような声になって俯いてしまう。

基宏様のためにね…。「基宏様がお好きなのね」



私の指摘に観念したように話し出す千代美様。

「小さい頃から基宏お兄様が大好きでした。こんな優しいお兄様が欲しいって思っていました。

婚約者が決まった時、私は凄くショックを受けて、そのとき初めてお兄様としてではなく男性として自覚しました。でも私は一人娘でしたから諦めていたんです。弟の朋樹様と結婚して基宏様を支えていこうと決心していました。でも従姉妹のことで婚約が破棄になり、心を痛めている基宏様を見たのに喜んでいる私がいるんです。なんて私は醜いんでしょうか」


若いわね…潔癖さが若さだわ。


「私は醜いとは思いませんわ。人間ですから皆持っている感情ですわ。



従姉妹の方にとっては好きな人と結婚できたんですし、基宏様は他に好きな人がいる方と結婚しなくてお幸せだと思いますわ」

好きな人と引き裂かれて他の方と結婚…。不幸の予感しかしません。


「ほんとにそうなんでしょうか?だからって朋樹様から基宏様へって慎みがないようで…」


まぁ、この世界ではよくあることだと思いますわ。家の思惑もありますしね。


「九重家では朋樹様に対してうごかれているようですわよ。もちろん他のお家もですが…千代美様の感情はともかく、九重家の嫡男と真崎家の長女の結婚はお互いの家にとってベストであることですものもうとっくに動き出していますわよ」




「そうなんですね。私は知りませんでした。基宏様はどう思われているんでしょうか?」


「そんなこと…私に聞かず本人にお聞きされたらよろしいわ。さぁ、アフタヌーンティーを堪能したので私は帰りますわ。後はよくお話なさってね?」


「えっ?沙耶お姉様なにを…」


困惑した顔の千代美様。するとノックの音がして私が返事をすると九重基宏様が入ってくる。

未だに困惑顔の千代美様と笑顔の基宏様を残し、私は部屋をあとにする。


「あとはお若いお二人で…」

そう二人には聞こえない声でつぶやく。

気分は遣り手のお見合いババアです。


そこには機嫌よくクスクス笑いながら歩く私がいた。

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