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今後ヒロインはどうするつもりなのか?
ゲームではラストはよくある高校の卒業式で選んだ攻略対象者からの告白でエンドが決定する。確か卒業式まで好感度を上げたまま誰のルートへも入らなかった場合のみ逆ハーレムルートへと導かれていた。
前世私は逆ハールートは体験していない。
正直面倒だと思ってしまったから。
攻略対象者に合わせて自分の性格を彼好みにしなくてはいけないから相手が一人でも持て余していた。相手が複数になってしまったら多重人格のように、コロコロ替えるのが嫌だったから。自分のままだったら、よくて友情エンドだったから。ゲームなのに自分を偽ってまでって思ってしまったから。つくづく恋愛に向かない性格だと思う。
まぁ相手によく見てもらいたいっていう気持ちはわからなくもないけどね。
前世で結婚した人が自分を偽らなくても居心地がいい人だったからかもしれない。
ヒロインではなく、婚約者側を応援したいと思っていたけれど、ヒロインは自分を偽ってトゥルーエンドを迎えて本当に幸せになれるのだろうか?
「祐輔様…美由さんからお聞きしましたが…どういうことですの?」
翌日、学校で昼休み祐輔様を図書室へと呼び出し詰め寄る。
祐輔様は図書室に来て早々に話しかけられたことに少しムッとしたようであったけれど何を聞いているんだと言わんばかりの表情を浮かべた。
「どうとは?何のことでしょうか?」
心底不思議という顔だった。
「美由さんから祐輔様から告白されたとお聞きしましたが…お母様の反応を見たくてというお話でしたわよね?どういうことなのでしょうか?」
「どうもこうも…そのままですよ。彼女をあの人と同じと思っていた自分を殴ってやりたいですよ。彼女は顔だけではない内面も素晴らしい人です。二人で話してみてよくわかりました。だから自分の想いを伝えただけです。それが何か?」
徐々に興奮してきたようで最後は何かに憑かれたようにヒロインの素晴らしさを熱く語っている。本当に何かにとりつかれてしまっているんだろう。ヒロイン補正という魔力に…。
「あなたの婚約者の天道絵里花様のことはどうなさいますの?」
無駄だと思いつつも、思わず尋ねていた。
あれほど熱に浮かされたようにヒロインについて話していた祐輔様が、絵里花様の名前を私が出した 途端に目が覚めたような顔になった。
「絵里花のことは大切にしたいと思っている…小さい頃から大変な思いをしていて守ってやりたいと思っている…しかし美由も守ってやりたいと思う…」
眉間に皺を寄せて考えこんでいる姿を目にして思う。
まだこの人は間に合う?完全にはヒロインには堕ちてはいない?
完全にヒロインに堕ちる前に目を醒まさなくてはいけない。 私は画策する。
絵里花様あなたのお兄様はまだ可能性はありますわよ。
さぁ祐輔様甘い恋の夢から目を醒ます時間ですよ。




