ボクの日々
僕は常に平凡を望んでいる。
深い事情なんてない
濃い情緒があるわけでもない
なのに
「どうしてこうなった」
僕は今、危機に瀕しているのだろうか
否、その表現は不適用であるといえるだろう。
なぜなら
……なぜなら?
「どうしてもこうしてもないわ。桂樹アオト、私と付き合いなさい!」
と、まぁ、僕はスタンダードとも言えるような告白をされたわけである。
眉目秀麗、才色兼備、容姿端麗という似たり寄ったりな四字熟語が羅列しているのがピッタリカッチリと似合う、同級生の少女・西条麗奈に。
全校生徒の目の前で。
その時の全校生徒と言ったら、見物ではあった。
呆然とするもの
僕を何度も見るもの
目を血走らせるもの
隣の者と囁き合うもの
赤面するもの
興味のなさそうなもの
未だこの喧噪の中にあっても寝ているもの
注意するもの
泣くもの
喚くもの。
…と、まぁバリエーションには随分と富んだものだ。
ちょっとした現実逃避をしてみる。
結果は変わらない。まぁ、これも当たり前だ。
ぼくはと言えば
平凡を絵にかいたような、というか現実に記したかのような平凡な顔立ちにルックス。
たいして高くも低くもない平均的な身長。
別段捻くれているわけでもすましているわけでもなく
クラスメートとしてしか認識されていない人間もおり
それなりに友達も幼なじみも存在し
勉強も中くらいにおさまり
ただただ部活をしたくないという理由で帰宅部に在籍している。
閑話休題
ま、総じて言えば
僕はこの地球という概念の中の日本という国の中で比較的非凡とはほど遠いであろう人間である。
だが、今彼女が行っているものの行為じたいが非凡であるから
僕も感化されて非凡な人間になり下がってしまうのだろう
それは是せないことである。
初めに言ったとおり
僕は平凡を望んでいる。
間違っても全校集会の場で無理やり壇上に引きずられ、学校中の人気者から告白され、すでに断っても断らなくても面倒なことになりそうになっているというこの状態は僕にとってたいへん好ましくない。
そう、好ましくないのだ。
「保留で」
うん、失敗したらしい。
僕には賞品として悪口の嵐が舞い上がった。