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I to sb.

x 4 u

作者: kanoon

抜け出せない、

抜け出さなくていい。


ずっとここにいろ。


貴方は私のもの。



[toxic xxx is real luv……?]



始まりなんて知らない、要らない。

今があるから関係ない。

何もないかのような殺伐した空気だけど、燃える匂いが漂う。

互いに互いを挑発する目つきに捕らわれ、どちらともなく唇を寄せる。

「堕ちな」

女っぽさを棄てた私は吐き出した。

煙草のような苦さはない、貴方の甘い苺飴の味が舌にねっとりとつく。

気持ち悪い。

いっそ性別が逆転したらいいのに。ぴったりハマるはずのピースもこれだから不協和音。

貴方は女性的すぎる。

誘惑するのは貴方の役目、それを受け入れて押し倒すのは私の役目。

だけど噛みつくようなキスをさり気なくリードするのは貴方だ。

私だって溺れてる、貴方と同じように。それがとてつもなく気味悪い。

さいあく。声に出さずに口パクで伝えると、貴方は笑った。

勝ち誇ったような余裕のある目。

それが腹立たしくて、私はすんなりと上からどいた。

そして貴方の鞄から零れた苺飴を口にいれる。

萎えた、そう告げれば、わざと作った残念そうな顔で苦笑する。

「やだ、寸止め?生殺し?」

そう言って押し倒される。立場逆転。

「ムードの欠片もない」

鼻で笑って体を退かす。始めから貴方は本気じゃない、だから簡単に身を引いた。

貴方が喉の奥で笑う表情に苛ついて、喉元に噛みついた。

勝ったと思うなよ。そういう意味を込めて睨み付ける。

そんな私を引き離し、荒々しく口付けた貴方は眉を潜めた。

「甘っ」

「アンタの飴」

「そっか、でも好きだよ」

似てるでしょ?なんて、言われなくてもわかってる。

貴方の香水の甘ったるい匂いに似ているんだ。

高いシャツに顔をうずめれば、貴方の匂いに包まれる。

良い匂い、とはお世辞にも言い難いけれど、それに慣れてしまって許せるのは溺れてる証拠。

「じゃあ私もアンタの匂いだ」

「既にね」

それなら私は何で貴方を繋ぎ留めよう。

安っぽいアクセサリーや、情事の痕なんて女らしいことしたくない。

私だけの檻に閉じ込める。

アンタと私は同じ目だ。

そう口角を上げると、貴方はすっと目を細めた。

「そう、既にね」

その言葉に安堵する。ちゃんと貴方は私に繋がれてる。逃げ出すことは出来ない、と。

だけどそんな表情見せたら、相手が調子に乗るから余裕なように見せる。

もう一度噛みつくようなキスをする。そこから綺麗な首筋に舌を這わせれば、細やかに震えた。

吐き出された色めいた息に、私はニヤリと笑う。

「堕ちてるよ、アンタは既に」

「知ってる」

羽根をもぎ取られて、首を綺麗な首輪で繋がれた哀れな鳥みたいに。

「限界?」

「限界」

即答するから可笑しくて。そんなに余裕の無い人だっただろうか。

「じゃ、やめようか」

薄ら笑いに薄ら笑いで返す貴方。

「お前も、だろ?」

「ふうん、良く分かってんじゃん」

まあね。得意気な表情に、少しだけ嬉しくなって。

鎖骨に歯を立てて、合図。

やっぱりそこらの女みたいに、爪の痕と鬱血の痕を残す。

だけどやっぱり違うのは、始終余裕な目、挑発的な目。私も貴方も。遊んでいるような表情。



私はアンタのもの、

じゃなくて

アンタは私のもの。


「うん、俺はお前のもの」

貴方は嬉しそうに笑うんだ。



(u r my psychological ciggy)


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― 新着の感想 ―
[一言] 雰囲気小説というのでしょうか。 とても甘くて恋愛ムード満点の描写が勉強になりました。 素敵な時間をありがとうございました。
2012/01/10 21:45 退会済み
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