第2話 聖なる学園
学園は巨大な城だった。ルーイズとアレックスはきょろきょろと辺りを見渡した。
「えぇっと・・他に何もないし、案内もこっちだったから・・ここで合ってるんだよな・・?」
アレックスがそう呟くと、先ほど話題になった少女がこちらに話しかけて来た。
「不安だよね。私、こんなトコ来るの初めてでさ」
サミュエルは内心、「皆同じだろ」と思った。アレックスが少し嬉しそうに返事をする。
「そうだよなー。あぁよかった。俺もちょうど不安でさ」
「あ、私自己紹介してないね。私、クラリッサっていうの。クララって呼んでね。で、彼が・・何だっけ?」
かわいらしい動作で短髪の少年に話しかける。
「俺はジョーンズ。ジョンって呼んでくれ」
一人一人自己紹介を終えたのと同じタイミングで、大きな扉が開いた。
<名を名乗って、お入りください>
慣れている様子でジョーンズが前に出る。
「神の息子、ジョーンズ。聖アミリトスに入学する」
<・・認証しました>
そう言われると、ジョーンズは中に入っていった。続いて、クラリッサが入っていった。
「お先にどうぞ、サム」
アレックスがそう言った。
「えぇっと・・何の息子かわかってないんだけど・・大丈夫なのかな?サミュエル。聖アミリトスに入学する」
<・・何の息子か、分かっていない・・・・・・?>
「あ、はい。手紙に分かってないって書かれてて・・・・」
<・・・ふむ。力の覚醒がまだなのか・・・。・・認証しました>
誰もが苦笑した。丁寧な口調が崩れてたよ。今。
全員中に入っていくと、眼鏡をした背の高い女性が待っていた。
「初めまして。私が貴方達5人の担任のアナです。貴方達は素晴らしい価値があるけれど・・・私達のいう事はきくように。いいわね?」
はい、と全員が返事したのを確認すると、アナはパンと手を叩いて言った。
「わかったら寮へ行きなさい。男子は貴方達から見て左、女子は右よ。荷物を置いたらすぐに戻ってきて。わかったわね」
ルーイズは寮に入った。ベッドが5つ並んでいる。クラリッサが「ねえ、横にしようよ。こんないっぱいあったら怖いもん」と言ってきたので仕方なく横に並んだ。
「ねえ、ジョーンズって格好いいよね」
唐突にクラリッサが話し出す。
「そう?」
「うん。そう。アレックス顔はいいけど何か・・好いてるっていうの?滅茶苦茶伝わってくるもん。無理無理」
ルーイズは荷物を収納し終わって顔を上げた。
「サミュエルは?」
「イケメン。でも何考えてるかわかんない。でも、そんな危なそうなトコも格好いいけど」
クラリッサも荷物を収納し終わったようで顔を上げて言った。
「ただアレックスはない。超ロン毛。ルー、行こう。遅れちゃうよ」
あ、あたしちょっとトイレ、と言ってクラリッサを先に行かす。ピ、ボイスレコーダーを止めた。自分で作った最新機能つきだ。
「ねえ、ジョーンズって格好いいよね」とレコーダーが話し出す。よし。アルの負け、と思いながら、ルーイズはクラリッサの後を追った。