第27話 クリムゾン襲撃
護衛部隊は全員 城門前に停められた3台の車の前へと集合していた。
大きめの黒の高級車が1台。
その前後に頑丈そうな装甲車両が1台ずつ配置されている。
「なんだよコレェ~。
ダセェなぁ。俺もあっちの高級車に乗りたいもんだ。」
リンレイが装甲車両を見て残念そうに項垂れていた。
そんな彼を部隊長のハインリッヒが物凄い形相で睨んでいた。
「生意気言うな!我々の役目は姫様の護衛。
嫌なら貴様は留守番でもしていろ!!」
「へいへ~い。申し訳ありませ~ん。」
どうやらハインリッヒは先程の事をまだ根に持っているようだ。
しつこい男である。
そうこうしている内に姫 二人が城門から従者を4名引き連れ 颯爽と現れた。
「皆さん 護衛宜しくお願いします。」
サラがわざわざ護衛部隊の前で立ち止まり 軽く会釈をする。
これに護衛部隊の面々は驚き 体を硬直させてしまう。
一国の姫ともあろう者が一介の護衛部隊に頭を下げてくれるなどと誰が思うだろうか。
その優しさ 高貴さに唖然とするしかなかった。
「任せとけ!アンタらは俺が守るよ。」
空気を読まず ロイが堂々と名乗り出る。
それを見たサラは一瞬目を丸くした後 クスリと微笑んだ。
「頼もしいですね。ロイ。」
「おぅよ!任せとけ!」
従者達の冷たい視線には気付かず ロイは満面の笑みで答えたのだった。
サラと話しをしていると 彼女の背後に不気味な影の存在があることにロイは気付く。
「コラ 変人!サラに気安く話し掛けてんじゃないわよ!」
その正体はサラの妹 リーシャ姫であった。
ロイの表情が笑顔から しかめっ面に変わる。
「出やがったな!じゃじゃ馬娘!」
「はぁ!?誰がじゃじゃ馬よ!
大体アンタみたいな騎士でもない部外者に護衛が勤まるの!?」
再び始まったロイとリーシャの言い争い。
場の空気が一気に悪くなる。
「なんだと!?こちとら好きでお前の護衛をする訳じゃ…」
「貴様何をしている!!
すみません姫様。」
怒り狂うロイを慌ててハインリッヒが止めに入った。
押さえられたロイは子供の様にジタバタと暴れている。
その光景を見たリーシャは勝ち誇った様に鼻で笑って ロイに見下した視線を送った。
「そのバカのしつけはちゃんとしておいてね。」
「はっ!御意でございます。」
「もが!…もごご…」
言い返したかったロイだったが ハインリッヒによって口を押さえられ 喋ることが出来なかった。
そんなロイを尻目に サラとリーシャ。従者達は黒の高級車へと乗り込んでいったのだった。
「姫様に対してなんと無礼な態度だ。
貴様は少し大人しくしていろ!」
ハインリッヒに突き飛ばされたロイは無様に地面を転がった。
「あんにゃろう…一発ブン殴ってやろうか。」
『止せ ロイ。
これ以上問題を起こせば任務から外されるぞ。この戯けが!』
今にもハインリッヒに飛び掛かりそうだったロイをレムナントが制止する。
レムナントの言葉に落ち着きを取り戻したロイは渋々立ち上がったのだった。
姫達が車に乗り終えたのを確認すると 護衛部隊が続々と装甲車両に乗り込んでいく。
旋風騎士団とロイが先頭の車両。
姫達の乗る車両を挟んで 後方の車両に鉄鍵騎士団が乗り込んだ。
そして一向は フィンデル王国行きの船が停泊する ローべリック港へと向かって出発したのだった。
ー☆ー
出発から約1時間…
先頭車両 車内
「なんだ…なにも起きないじゃねぇか。
退屈だな。」
問題なく移動中の車内で 後部座席に座るロイは暇をもて余していた。
「なにも起きないのがいいんですよ。
僕達の任務は姫様達を無事にフィンデル王国に送り 帝都まで戻ること。
闘うことが仕事じゃないですよ?」
助手席に座るトーマが呆れた表情で口を開く。
その言葉にロイは頭を掻きむしった。
「そりゃ分かってるけどさ。
退屈なもんは退屈なんだよ。」
「そんな縁起でもないことばかり言っていたら本当に何か起こってしまいますよ?」
「何か…来る!」
「え!?」
ロイの隣に座っていたヒスカが急に何かに反応を示し 辺りを警戒し始める。
どうやらトーマの言葉は真実となってしまいそうである。
「んん!?前方2時と10時の方向に人影だ!」
ハンドルを握る リンレイが叫ぶ。
と同時にハンドブレーキを引き ハンドルを左へ急回転させる。
キキィィィ!!!
激しい音と共に装甲車両が横滑りを始める。
すると 車両の右側面に無数の矢が接触した。
「おわっ!ビビった!」
防弾ガラスとはいえ間近で矢の接触を見たロイは叫び声をあげる。
「襲撃だ!全員 車から降りるんだ!」
リンレイの指示が飛び 全員が素早く降車する。
外に出ると 後続の車両2台も停車していた。
「襲撃だ!鉄鍵騎士団!
姫様の乗る車両の四方を囲め!」
最後尾の車両に乗っていた鉄鍵騎士団の面々はハインリッヒの号令のもと 車を降りるや否や一目散に姫達の乗る車両を取り囲み 巨大な盾で四方を守りに入る。
前方に見える人影は2時の方向に1人。10時の方向に2人が配置されている。
しかし距離が かなりある為に此処から攻撃することは難しい。
「ヒスカ先輩!」
「了解…だ。」
ヒスカが背中の弓を取り出しながら前に出る。
「おいおい!
こっちみたいに車とかデカイ的じゃねぇんだ!
此処から人間射抜くのは無理があるだろ!!」
「問題…ない。」
ロイの心配を他所にヒスカは背中から3本の矢を取り出し 3本同時に弓を引き絞った。
「鷹の目 発動!」
ヒスカの綺麗な黒い瞳が 鷹の様な瞳に変化する。
「うわ!恐っっ!!」
ヒスカはなんの迷いもなく3本の矢を射ち放った。
放たれた矢はピューという高音の風切り音を奏でながら 真っ直ぐに刺客達へと伸びる。
そして まさかの全矢命中という結末を迎えた。
しかも全てが相手の頭部に突き刺さっていたのだ。
「おぉー。やるなぁ。
ゼクスといい勝負だ。」
ロイはヒスカの見事な腕前を賞賛した。
この距離で3本同時に放って 全て頭部に命中させるとは人間業を超えている。
「驚いただろ?俺も最初にあの目を見た時はマジでビビったからなぁ。」
リンレイがロイに歩み寄り 口を開く。
「ヒスカちゃんは北の地方にあるジャヤ族っつう 弓の扱いに長けた戦闘民族の出身なんだ。
ジャヤ族には特殊な能力があってな。
それが今の鷹の目だ。眼球に血液を供給して鷹と同じ視力を得ることが出来る技だよ。」
鷹の目は 網膜の光を感じ取る部分に150万個もの視細胞を持っている。
人間の視細胞は20万個なので 鷹の目は人間の目の約8倍もの視力があるということになる訳だ。
もっとも視力が優れているとはいえ 矢を全て命中させたのはヒスカの腕前であるが。
「油断…駄目。
まだ…いる!」
ヒスカの言葉で全員に緊張が走る。
ロイも百鬼爪刃を抜き放ち 辺りを警戒し始めた。
道の両端は生い茂った茂みが広がっていた。
視界の悪いこちらにとっては かなり不利な状況である。
ロイが魔力探知を開始させると 辺りに無数の魔力反応が示される。
数はおよそ30前後。
「思ったより多いな。
30人近くはいるぞ。」
ロイは舌打ちをするが 表情はどこか楽しげであった。
丁度退屈をしていた時の突然の襲撃。
ロイのアドレナリンは一気に高まっていた。
その時 姫達が乗る車両の両サイドの茂みから 暗殺者達が飛び出してくる。
「両側面だ!迎え撃て!」
ハインリッヒの指示が飛ぶ。
鉄鍵騎士団達が統率の取れた動きで両サイドに2名ずつ展開し 巨大な盾を構えた。
強烈な鉄の衝突音。
盾が暗殺者達の攻撃を遮る。
「今だ!!」
ハインリッヒの号令と同時に 鉄鍵騎士団の面々が武器を振るう。
次々と斬り伏せられる暗殺者達。
「黒い覆面…
間違いない。クリムゾンの下級戦闘員だな。」
リンレイが呟く。
暗殺ギルド クリムゾンの第一陣は6名。
残るはおよそ25名前後。
ここで今度は前方からクリムゾンの第二陣が押し寄せてくる。
数は10名。
「よぉし 今度は俺達の出番だね。」
リンレイが首と拳の骨を鳴らしながら前へと出る。
威風堂々たる その姿は強者の証。
それを見たロイも負けじと百鬼爪刃を軽々と回しながら前へ出る。
「あらら?ロイっちも やる気全開だね。」
「言っただろ?退屈してたってな。」
「そうだったな。
よぉし いっちょ暴れますか!」
リンレイは量腕を下方向に振り下ろす。
すると彼が両手に着けていたゴツい手甲の先端から 鋭い鉤爪が飛び出した。
1つの手甲に長めの太い鉤爪が2本ずつ。
彼の武器はこの鉤爪だったのだ。
そして そのまま凄まじいスピードで前方へ駆け出していく。
「はぁっ!!」
リンレイは踊る様にして 華麗に両手の鉤爪を振り回す。
次々と引き裂かれていく暗殺者達。
「あっ!俺の分も残しとけっつーの!!」
慌てたロイは百鬼爪刃を構え 疾走する。
黒き閃光となったロイのスピードはリンレイのそれを遥かに上回っていた。
「速い…」
護衛部隊の面々は ロイのそのスピードに唖然としていた。
一瞬でリンレイに追い付いた ロイは更にスピードを上げて 縦横無尽に百鬼爪刃を振り回す。
赤い鮮血が まるで花火の様に飛び散り 暗殺者達は一瞬で動かぬ屍と化していくのだった。
「よし!終了!
準備運動にもなりゃしねぇな。」
ロイは百鬼爪刃で肩をトントン叩きながらスッキリした表情をしていた。
「ヒュー♪やるねぇ。」
リンレイは口笛を吹きながら ロイに拍手を送っていた。
残るクリムゾンの戦力は15名前後。
「ヒャハハハハ!!!!
思ったより やるようだなぁ!!」
突如 辺りに響き渡る不気味な声。
敵の位置を特定できない護衛部隊の面々は辺りを見回すことしかできないでいた。
「卑怯者め!姿を見せろ!!」
業を煮やした鉄鍵騎士団の一人が 姿の見えない敵に叫ぶ。
すると 辺りが一瞬静寂に包まれる。
その後 叫んだ騎士の首から大量の血が吹き出した。
「イワンー!!!何が起こった!?」
突然の出来事。
護衛部隊に一気に緊張が走る。
「誰が卑怯者だって?誰が?
殺すぞ この野郎。あぁ…もう死んでるか。
ヒャハハハハ!!!!」
いつの間にか 黒いローブを身に纏った 黒の編み込み頭の凶悪そうな容姿をした男が 姫達の乗る車両の天井に立っていた。
素早く迎撃態勢を取る 鉄鍵騎士団。
「こいつ!いつの間に!?」
ハインリッヒは歯を食い縛りながら 男を睨み付けた。
「気付かねぇ お前等が悪いんだろ?
俺様は卑怯者じゃねぇ。」
「下りやがれ!この野郎!!」
鉄鍵騎士団の騎士が男に向けて剣を振るう。
しかし 男はそれを跳躍して軽々と避けたのだった。
圧倒的な威圧感。見事な身のこなし。
この男が只者ではないことは明白であった。
「はずれ~。
俺様はクリムゾンのヒドラ様だ。
姫達の命はもらっていくぜぇ。」
ヒドラに続いて 戦闘員が続々と姿を現した。
数は16人。これで全員であろう。
「まずい!ロイっち!
あいつは多分幹部クラスだ!急ぐぞ!」
ロイとリンレイは姫達の車両の方へ疾走する。
「さぁーて そろそろ死んでもらおうか?」
「させません!!」
一瞬でヒドラの間合いに飛び込んだトーマが2本の剣を振り下ろした。
トーマは二刀流の剣士だったのだ。
対するヒドラは細身の長剣を1本。
トーマの一撃をそれで軽々と防いでみせた。
「なんだぁ?ガキんちょめ。
生意気なんだよ…」
「はぁっ!!」
浮遊した状態のまま蹴りを放つトーマ。
しかしそれもヒドラは左腕1本でガードしたのだった。
そのままトーマは蹴りの反動を利用して 後方宙返りで離脱する。
「トーマ…伏せる!」
ヒスカの声に反応して 着地と同時にしゃがみ込んだ。
するとトーマの頭スレスレを通って 1本の矢が凄いスピードで通過する。
「あぁ 鬱陶しい。」
ヒドラは近くにいた戦闘員を引っ張って 自分の前へと移動させた。
矢はその戦闘員へ深々と突き刺さる。
自分の部下を盾にしたのだ。
「なんて卑劣な…」
トーマはヒドラの行動に怒りを覚えた。
一方のヒドラは盾にして息絶えた部下を まるでゴミのように投げ捨てる。
「この…」
「この野郎ぉぉぉ!!!」
飛び出そうとしたトーマより先に何者かが凄まじいスピードで飛び込んでいく。
ロイだ。
ヒドラに飛び掛かったロイは 強烈な連撃を繰り出していく。
しかし怒り任せの攻撃等 腕の立つヒドラにとっては
子供を相手にするようなもの。
ロイの連撃をことごとく避けていく。
「死んでろ。」
ヒドラは百鬼爪刃を打ち払い ロイの首目掛けて突きを放った。
しかし次の瞬間 驚愕したのはヒドラの方。
ロイは上体だけを反らし 見事に突きをかわしたのだ。
「テメェが死んでろぉ!!!」
そのまま左の拳でヒドラの右頬を殴り付ける。
「ぐふぅっ!!!」
ヒドラの顔が激しく歪む。
そして そのまま後方へと殴り飛ばされていった。
地面を転がり 仰向けに倒れ込むヒドラ。
ピクリとも動かなくなってしまう。
まさかの指揮官の無様な姿に戦闘員達は慌てふためく。
「なんだよぅ。
こんな面白ぇ奴がいるなんて聞いてねぇぞぉ。」
ヒドラは倒れたまま ボソボソと呟いている。
その光景は不気味以外のなんでもなかった。
そして ボソボソと一人言を呟きながら ゆっくりと起き上がっていく。
「殺す…殺す…
絶対殺ぉす!!お前等!何ボサッとしてやがる!
今から俺様はそいつと遊ぶ!お前等はさっさと姫を殺せっ!!!」
狂気じみた形相でヒドラは部下に指示を送った。
「来るぞ!鉄鍵騎士団!
守り抜け!!」
戦闘員達の猛攻をハインリッヒを筆頭に迎え撃つ 鉄鍵騎士団。
そんな中 遥か後方に殴り飛ばされたヒドラは距離があるにも関わらず 細身の長剣を振り上げていた。
何をしているのか分からず 呆然と眺めているロイに向けて不気味な笑みを浮かべながら 遠くから剣を振り下ろす。
すると 長剣がロイに向け 勢いよく伸び始めた。
中心に鋼の太いワイヤー。
そして刀身は無数に分裂して鞭のように伸びていく。
「うわっ!」
意表を突かれたロイだったが間一髪 不思議な剣の刃を屈んで避けることに成功した。
「まだまだぁ!」
ヒドラは刃を伸ばしたまま 再び剣を振る。
すると 伸びた刃が波打つように蠢き始めた。
刃の根元の部分から切っ先に向けて 急激に動き始める。
避けた筈のロイの頭上にある刃が波打ち 再びロイを急襲する。
今度は避けきれずに ロイは左肩を刃で切り裂かれた。
「く…そっ!」
大量に出血した傷口を押さえながら ワンステップで その場から離れる。
傷は結構な深いものであった。
一方ヒドラは満足気に伸びた刃を戻し 笑みを浮かべている。
「ヒャハハハハ!
顔の一発のお返しだよ。
だが俺様のお返しは万倍返しだ!まだ終わらねぇぞ!!」
ヒドラは元に戻した刃を再びロイ目掛けて伸ばす。
予測不能の奇抜な動きを見せる伸びる刃は かなり厄介である。
ロイは向かいくる刃を舌打ちしながら避けにかかった。
右へ左へ 縦横無尽に襲いかかる刃。
ロイはなんとかギリギリの所で回避に成功していた。
しかし それも時間の問題である。
休みなく襲いくる刃はロイの体力を確実に削っていたのだ。
「どうだぁ?俺の愛剣 蛇攻剣の動きはぁ!?」
ヒドラは楽しげに蛇攻剣の刃を まるで体の一部の様に操っていた。
「ロイっち!こっちだ!!」
その時 駆けつけたリンレイがロイを呼ぶ。
その手には 謎の黒い球体が握られていた。
リンレイに気付いたロイは刃に追われながらも言われた通りに接近していく。
「よっしゃ!
ロイっち!跳べーーー!!!」
急なリンレイの指示に一瞬動揺したロイだったが 他に為す術もないので 言われるがままに大きく跳躍したのだった。
その瞬間 リンレイは黒い球体を伸びる蛇攻剣の刃に向けて投げつける。
ドカァァァァァン!!!
凄まじい爆音と爆風を巻き起こし 黒い球体が破裂する。
今の黒い球体は爆薬だったのだ。
爆風によって 蛇攻剣の刃は明後日の方向へ吹き飛ばされていく。
「はぁん!?爆弾だと!?
小賢しい真似を!!」
ヒドラは怒りを露にしながらも 仕方なく刃を元に戻した。
リンレイの咄嗟の策は 見事に成功したのだ。
「ウザってぇなぁ…
皆殺しにしてやる!!」
「それは無理だな。」
何者かの声がヒドラの殺気を遮る。
その声の主は姫達の乗る車両の方向。
そこには クリムゾンの戦闘員達の屍の上に立つ男が一人。
「こいつらは もう全滅だ。
テメェ一人で俺達全員を相手にするつもりか?」
その男とは 謎の多い騎士 エンリケであった。
どうやらあの数のクリムゾンの戦闘員達を一人で全滅させたようだ。
彼の戦闘力は相当なものらしい。
「あらら?
役立たず共め。まぁいい。
ここは退かせてもらおうか。」
「逃がすとでも思っているのか!?」
撤退しようとしたヒドラをトーマが阻止する。
今の言葉が勘に触ったのか ヒドラは物凄い形相でトーマを睨み付けた。
「ガキが…
あんま調子こいてんじゃねぇぞ。
…そうだなぁ。置き土産をやろうか。」
その瞬間 ヒドラは目にも止まらぬ速さで蛇攻剣を振るった。
凄まじい風圧が護衛部隊を襲う。
「…なんだ あれ?」
風圧によって一瞬視界を奪われた後 目を開けると 上空に謎の物体が舞っていることに気がついた。
「それでは 諸君。
ごきげんようー。」
全員が謎の物体に目を奪われている隙に 姿を消すヒドラ。
「おい…あれって…」
「ぐうぅぅ…!!」
「トーマ!!!!」
その謎の物体の正体は トーマの斬り落とされた右腕だったのだ。




