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白銀の翼  作者: 烏丸
22/30

第22話 修行の成果

連合軍VS豪魔邪霊衆の闘いは最終局面へと突入していた。


群がる魔物と魔人の軍勢の中を上手く攻撃をかわし続けながら走るレオ。



「よし!とりあえず数を減らしますか。」



レオは胸の前で両手に魔力を込めると そのまま振り返り 魔物が密集している位置に向け その両手を突き出した。



『ライトニング・ボルト』



轟音を唸らせながら レオの雷魔法が上空から魔物と魔人の軍勢へ落とされる。

雷に触れた魔物共は一瞬で黒ずみに変えられていく。


今の攻撃で敵の半数は倒されたであろう。

しかし まだ30体程の敵が残されていた。



―☆―

一方でバルボアとエリックの一戦は予想外の展開が起こっていた。


拮抗する実力ある者同士の長期戦になると思われたが そこには満身創痍でよろめくエリックと 堂々と立っているバルボアの姿があったのだ。



「ハァハァ…

バカな!?この俺が一方的に打たれるだと?」



「大層な二つ名の割には その程度かい?幹部さんよ!」



バルボアの顔には余裕の笑みが浮かんでいる。



「貴様…一体何者なんだ?」



「また同じ質問かよ。

さっきも言っただろ!俺は白銀の翼ギルドマスターのバルボアだ…」



「そんなことは聞いていない!

これ程の実力を持った男が只の傭兵ギルドのマスターである筈がない。

元は名のある武人か何かか?」



バルボアの言葉を遮り エリックは鋭い眼光を向けて口を開いた。

その言葉にバルボアはニヤリと笑みを浮かべる。



「…まぁ 減るもんでもねぇし 冥土の土産に教えてやるよ。

俺はこの人間界では それ程有名って訳でもねぇ。

お前等 魔界の奴等なら聞いたことあるだろ?

(龍殺し)って名をな。」



「!!!…龍殺しだ…と…!!!?」



バルボアの言葉にエリックは目を見開く。


ドラゴン…


それは古より最強とされてきた 伝説級の魔物である。

凄まじい攻撃力。

ダイヤモンドより硬いとされる皮膚による防御力。

人間には太刀打ち出来ないとされてきた魔物なのだ。


地域によっては神として崇められる程の存在である。

人間界は勿論 魔界でもドラゴンの価値観は伝説級とされていたのだ。



「過去に この人間界にドラゴンが4体現れたことがある。

人知れず行動したことだから事実を知る者は一部しかいないが その内の2体を俺が倒した。」



「魔界では有名な話しだ。

人間がドラゴンを単独で討伐したという事実。

しかも 1度ならマグレと済ませた話しだが 2度となると その実力は本物という証。

その男を魔界では龍殺しと呼び 要注意人物として扱われてきた。

…まさか その男が目の前にいるとはな。」



エリックは笑みを浮かべながら俯く。


伝説級の魔物を倒した伝説の人間。

普通の魔人程度なら戦意を失う程の脅威であろう。


普通の魔人程度ならば…


「ハハハっ!!

俺はついてる様だな!まさか こんな所で伝説の男を始末出来るとは!!」



エリックが高笑いを始める。

その様はまるで勝利を確信したかの様な余裕を見せていた。



「何が可笑しい…

……っっ!!!?」



バルボアが歩き出そうとしたその時 ある異変に気付く。


体が動かないのだ。



「馬鹿な!?

能力を発動させる隙は与えなかった筈!」



「ククク…

自分の体をよく見てみろ。」



バルボアはエリックの言葉通り 視線だけを落として体を確認してみる。

しかし 返り血を浴びているぐらいで自らの外傷は見られない。



「…!!

そうか…この血か…」



「そういうことだ。

俺は自分の血液にも魔力を流している。

つまり 俺の血を浴びれば能力の餌食となる訳だ。

まぁ俺が直接魔力を放出している訳ではないから効果が出る迄に時間が掛かるし あまり使い勝手のいいものではないがな。」



エリックは懐から短刀を取り出し 止めを刺す為にバルボアへ歩み寄る。


しかしバルボアに動揺は見られない。



「ふぅ…

一応保険をかけておいて正解だった。」



バルボアのその言葉にエリックはピタリと足を止め 睨み付ける。



「保険?なんの話しだ?」



「今戦ってる俺の仲間達をよく見てみろよ。」



バルボアの笑みに 怪訝な表情をしながら戦場に目をやるエリック。



「…なっ!?

一人足りない…あのガンマンか!?」



ドンッ!!



エリックが叫んだ瞬間 銃声が響き渡る。



「気付くのが遅ぇよ。

テメェの能力は厄介だから マスターに言われて俺が身を潜めて対応する作戦だったんだ。

卑怯だなんて言わねぇよな?数ではテメェ等のほうが圧倒的優位だったんだ。

まぁテメェは戦う前からマスターに負けてたってことだな。」



エリックの背後の岩影からゼクスがゆっくり姿を現した。


その姿を胸の中心部を撃ち抜かれ 大量の出血をしているエリックが睨み付ける。



「く…くそぉ…

この…俺が…人間如きに…」



エリックはそのまま ゆっくりと倒れて絶命していく。



「危ねぇ危ねぇ。

助かったぞ ゼクス。」



エリックが倒れたことにより 体の自由を取り戻したバルボアが首を鳴らしながら口を開いた。



「アンタが隙を作ってくれたから 簡単に成功したんだよ。

しかし さっきの話しは驚いたぜ。

アンタの過去の経歴は聞いたことなかったからな。

本当…何者だよ?」



ゼクスの問いにバルボアは鼻で笑いながら顔を俯かせた。



「まぁ その話しは追々する…

それより…」



バルボアは話を切り上げ レオとレオナルドのいる戦場の方に目を配る。

そこには 相変わらず走り回っているレオと 満身創痍になりながらも 1体ずつ確実に敵を倒しているレオナルドの姿があった。


バルボアはレオを視界に捉えると 大きく息を吸い込んだ。



「くぉらぁぁぁ!!

いつまで遊んでんだ!レオ!!

あの新しい魔法で一掃しちまえぇぇ!!!!」



バルボアの馬鹿デカイ声が戦場に響き渡る。

一部の魔物達は攻撃と勘違いして 辺りを警戒している程だ。



「あれはもしもの時の為に残しておきたかったんですが…

魔力の消費がかなりのものなので1発しか撃てませんよ?」



「つべこべ言うな!

後はロイを信じるんだ!!

さっさと終わらせちまえ!!」



納得がいかないレオを他所にバルボアはマスターとして命令を下す。



「…了解です。

レオナルド殿!すぐに退避してください!一気に片付けます!!」



渋々 承諾したレオは魔力を溜めながらレオナルドに指示を飛ばした。


状況を理解したレオナルドは前方の魔物を蹴り飛ばすと 直ぐ様レオの方へ駆け出す。


魔物共はレオナルドを逃がすまいと追撃を試みようとしたが辺りの一変した空気に その足を止める。

その空気はレオの魔力の強大さによるものであった。


溜められた魔力が空気を振動させ 大地を揺るがす。

レオは残りの魔力を全て注ぎ込んでいるのだ。



「なんと膨大な力だ…!」



魔力を使った戦闘法を持ち合わさないレオナルドでも分かる程の強大な魔力。

レオの両手の間には今にも弾け飛びそうな程にバチバチと音をたてて雷属性の魔力が集合していた。


レオはレオナルドが射程から外れたのを確認すると 上空へ向け その雷属性の魔力の集合体を解き放った。



『ライトニング・ヘヴン』



魔物の軍勢は位置がバラけていたが そんなことはお構い無しに 軍勢を全て射程に収め 上空から無数の雷が降り注ぐ。

そして止めとばかりに1筋の太すぎる雷が砲弾の如く飛来する。



ズドォォォォォォォンンン!!!!!!



耳鳴りを起こす程の凄まじい轟音が轟き 魔物の軍勢の姿は跡形も無く消し飛んでいった。

残されたものは地面にある 焦げた巨大な穴だけであった。



―☆―

バルボア&レオ&ゼクス&レオナルドVSエリック&魔物の軍勢

勝者 バルボア&レオ&ゼクス&レオナルド



―☆―

ロイVSゲオルグ


対峙する二人の間に激しく火花が散るかの如く睨み合う両者。



「いくぜ!クソ魔人!」



「さっさと来い!クソ人間!」



攻撃を開始したのは ほぼ同時。


ロイは百鬼爪刃を ガルハイトは腰に下げていた剣を互いに振り下ろし 刃と刃が激しく衝突する。


その衝突音は鼓膜を刺激し 軽い耳鳴りが発生していく。



「うおぉぉぉぉ!!!」



「シャアァァァァ!!!」



両者は耳鳴り等全く気にする様子もなく 連続で激しく剣をぶつけ合う。


刃と刃の衝突によって 火花が大量に飛び散り この戦闘の激しさを物語る。


拮抗した闘いだが 両者はそれぞれ隠し玉を所持している。

ロイは魔剣レムナント。

ゲオルグは魔導教典。

この隠し玉の投入タイミング。使用法が戦局を左右することであろう。



「なにっ!!?」



長く続いた剣のぶつけ合いから 先に仕掛けたのはロイ。

ゲオルグの振り下ろしを 百鬼爪刃で受け流し 態勢を崩したのだ。


柔よく剛を制す。


ロイは修行の成果を惜しみなく披露した。



「もらったぁ!」



前のめりに態勢を崩したゲオルグの背中に 百鬼爪刃を振り下ろす。


しかし刃が体に触れると思われた刹那 何か見えない衝撃の力で百鬼爪刃が弾かれる。



「なんだ!?」



「バカがっ!!」



百鬼爪刃を弾き上げられて がら空きになったロイの腹に ゲオルグは強烈な蹴りを放つ。


苦悶の表情を浮かべ ロイの体はくの字に折れ曲がりながら後方へ吹き飛ばされ 背後の岩に激しく衝突した。



「今のが俺の特殊能力。

見えない衝撃波。エア・インパクトだ。」



ゲオルグは笑みを浮かべながら ロイが衝突して粉々に砕けた岩の方に視線を移した。


洗練された剣術。

特殊能力 エア・インパクト。

魔導教典。


この多彩で驚異的な戦術を持ったゲオルグを相手にするのは一筋縄ではいかないであろう。



「くっそぉ…

油断した。けど次はそうはいかねぇぞ。」



砕かれた岩を押し退けながらロイがゆっくりと立ち上がる。

厄介な能力を見せられたロイだが その瞳の闘志は更に燃え上がっていた。



「フン!見えない力を相手に どう対処するつもりだ?」



「うるせぇっ!

そんなもん勘でなんとかなる!勘だ!勘!!」



ロイのその知恵の無さと無鉄砲さにゲオルグの表情が変わる。



「愚かな…

何故 貴様の様な馬鹿なガキにガルハイトが興味を持ったのか理解出来ぬ。」



「苦戦シテイルヨウダナ。

手ヲ貸スカ?」



いつの間にか ロイの背後には巨駆の銀狼の姿があった。



「いらねぇよ。

シュバルツはそこで観戦でもしててくれ!」



そう言い放つと同時に ロイは黒いオーラを放出し 黒き閃光となって疾走する。


格段に上がったロイのスピードにゲオルグは目を見開いた。


しかし そう簡単になんとかなる相手でもない。

ロイのスピードに乗った一撃をいとも簡単に剣で防いで見せた。



「特攻か?馬鹿が考えそうなことだな。」



「馬鹿はテメェだ!」



黒いオーラが形を変形させ ガルハイトへと伸びる。



「ぐっ…!!」



伸びた黒いオーラは衝撃波となってゲオルグの顔面を襲った。


ロイの一撃を防いだ為 両手を塞がれていたゲオルグは その衝撃波をまともに喰らったのだ。



「俺のは見える衝撃波だったのに 防げなかったか?」



ロイはニヒルな笑みを浮かべる。


修行の成果によって 黒いオーラも多少は自由に扱うことが出来る様になっていたのだ。



「…もういい。

貴様は一瞬で塵に変えてくれる!!」


怒りで額に血管を浮き上がらせながら ゲオルグは魔導教典を取り出す。


魔導教典からはドス黒い光が放たれていた。



『おい小僧!我を出せ!

あの力は危険だ。手を貸してやろう。』



ロイの脳裏に声が響く。


魔剣レムナントだ。



「…よし!頼むぞ!

来い!レムナント!!」



ロイは叫びながら手を掲げる。

すると 魔方陣が現れ 黒い光を放つ。



『フフフ…

久方ぶりの戦闘だ。

腕が鳴るわ。』



「お前腕無いじゃん。」



『やかましい!!!』



ロイの魔剣レムナント。

ゲオルグの魔導教典。


両者の隠し玉 最大の力同士が激突する。

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