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白銀の翼  作者: 烏丸
19/30

第19話 奇襲

白銀の翼 帝都親衛騎士団の連合軍と豪魔邪霊衆の戦いは長く続き 既に一夜が明けていた。



「レオナルド殿。

負傷者の治療は済みましたか?」



レオが騎士達に指示を出していたレオナルドに話しかける。

連合軍はかなりの疲労とダメージを負って 休息に入っていたのだ。



「あぁ。なんとか治療は済んだが戦線に復帰することは叶いそうにないな。」



「そうですか…

すみません。手助けしてもらったうえに大きな被害まで出させてしまって…

しっかり休ませてあげて下さい。」



「いいんだよ!俺達は進んで この戦に参加したんだ。

それより敵はまだ動きそうにないのか?」



レオナルドの問いかけにレオは視線を敵の軍勢が構える方へと向ける。



「えぇ。

向こうも準備しているのか 余裕を見せているのかはわかりませんが 今のところ動く気配はないです。」



それを聞いたレオナルドは少し安心した表情を見せた。



「そうか…

…あの青年がいれば戦局は変わっていたかもしれんがなぁ。」



「あの青年?ロイのことですか?」



「そうだ。

彼は修行中らしいな。

襲撃がもう少し遅ければ…」



それを聞いたレオの表情が緩む。



「…そうですね。

彼には不思議な力がありますから。」



「ギャアァァァ!!」



一人の騎士の断末魔の叫びが静寂を破る。



「何事だ!?」



「あ あれは!?」



レオナルドとレオが振り向いた先には 忘れたくても忘れられない見覚えのある憎き魔人の姿があった。



「次元のヨハン…」



腕で騎士の体を貫いているヨハンを睨み付けるレオ。



「む?あぁ貴様か…

また会えて嬉しいぞ。」



ヨハンは不気味な笑みを浮かべながら貫いた騎士を放り投げた。


異変に気付いた連合軍のメンバーが続々と集まり ヨハンを取り囲む。



「ほぅ。

歓迎されとるようじゃな。」



「逆だよジジィ。

迷惑だからさっさとくたばれ。」



余裕を見せるヨハンに向け ゼクスが2丁の拳銃を構えた。



「ゼクス!気をつけてください!

おそらく 奴の能力は闇の空間を作り出し そこから自在に移動する能力です!」



レオがヨハンの能力を想定し ゼクスに伝えるが ヨハンは不敵に笑みを浮かべていた。



「フフ…それは違う。

闇の空間を作り出し 移動する能力は上位の魔人なら大抵扱える只の移動術じゃ。

ワシのは特別でな。

どれ 見せてやろう。」



そう言い残すとヨハンは闇の空間を作り出し そこへ姿を消していく。



「いかん!!」


素早く反応したジャガンが走りだし レオを突き飛ばす。


その刹那 ジャガンの背後に出現した闇の空間からヨハンの腕が伸び ジャガンを闇の空間へと引き摺り込んでいった。


それと同時にヨハンがその闇の空間から姿を現し 闇の空間は消え去っていく。



「ジャガンさん!!」



レオの叫びも虚しく ジャガンの姿はその場から消え去っていた。



「これがワシの能力。

異次元を作り出し そこに相手を閉じ込める能力じゃ。

次元のヨハンたる由縁。」



ヨハンは得意気に両手を広げて見せる。


ジャガンの戦線離脱は連合軍にとって致命的な痛手と言っても過言ではない。



「さぁ 次は誰が異次元へ飛ばされたい?」



ヨハンの不気味な笑みに 騎士達は後退る。

ヨハン一人によって 連合軍の士気は大きく下げられてしまったのだ。



「フハハハハハ…ハァッ!!!」



勝ち誇った様に笑うヨハンが突然 苦痛の叫び声をあげる。


その胸からは剣の刃が突き出していた。



「な なんじゃ…!?」



ヨハンは振り返り 剣の出所を確認する。


そこには空間に黒いヒビが入り そのヒビから剣が突き出ているのが見える。


漆黒の刀身。

これは紛れもなくジャガンの持つ魔剣ダーク・エンペラーであった。



「馬鹿な!?」



ヨハンの叫びと同時に 黒いヒビが更に広がり 空間がガラスの様に砕けると 闇の空間が出現し そこから剣を握るジャガンが姿を現した。



「この程度の能力で 俺を捕らえたとでも思ったか?

この場から異次元が消滅して 暫く経っていたなら脱出は不可能だっただろうが この異次元空間はまだ この場所とうっすら繋がっていた。

せめて 気絶させてから閉じ込めるべきだったな。

異次元だろうが何だろうが俺に斬れない物はないんだよ!」



ジャガンは背中から胸を貫いていたダーク・エンペラーを振り上げ ヨハンの左肩までを斬り裂いた。



「ぐぁぁぁぁ!!!!」



大量のどす黒い血を吹き出しながら ヨハンは悲鳴をあげる。



「今だ!畳み掛けろ!!」



ゼクスが銃を乱射する。


次々にヨハンの体を撃ち抜く銃弾。

反動でヨハンの体はグラリとよろめく。



『サンダー・ボルト』



間髪入れずに放ったレオの魔法がヨハンに直撃する。


勝機を見出だした騎士達が一斉に攻撃を始めようとした瞬間…



「図に乗るな!人間共!!」


『ダーク・ボム』



ヨハンの放った魔法が周囲に黒い爆炎を巻き起こす。


爆風で吹き飛ばされていく連合軍のメンバー達。

ヨハンは致命的なダメージを受けているにも関わらず まだ自分の足で立っていた。



「くっ…

おのれ…おのれぇぇぇ!!!」



傷だらけのヨハンの表情が怒りによって歪む。



「まだ動けるのか!?」



相手は満身創痍の老魔人だが ジャガンは油断することなくダーク・エンペラーを構えた。


ほぼ同時にヨハンが再び異次元を作り出し 姿を消す。



「集中して魔力感知を最大限に働かせろ!

来るぞ!!」



ジャガンの言葉に白銀の翼のメンバーは魔力感知を始める。



「そこだ!!」



ゼクスが真横に銃口を向けると同時に銃弾を放つ。



「ば 馬鹿な!?」



そこには異次元から現れたヨハンの姿があった。

眉間を撃ち抜かれ 驚愕の表情を浮かべている。



「テメェは あの時の俺達しか知らねぇから弱いと思って油断してたんだろ?

あの時は油断と仲間を殺された怒りで本当の実力を出しきれてなかっただけの話だ。

…これが白銀の翼の実力だ!舐めんじゃねぇぞ!!」



「くっ…

申し訳ない 閣下。」



ヨハンはそのまま倒れ 絶命した。


騎士が一名犠牲になったが 少ない被害で幹部を一人倒せたことは連合軍にとってはかなり大きいことだ。



「そろそろ こちらも動いたほうがいい。

何度も奇襲をかけられれば こちらが不利になるだけだ。」



「…そうだな。

負傷者はここで待機!動ける者は進軍開始だ!」



バルボアの提案を承諾し レオナルドは騎士団に号令をかける。


連合軍は最終決戦に向け 進軍を開始したのだった。



―☆―

豪魔邪霊衆 拠点



「ボス。ヨハン爺が殺られちゃったみたいだよ。」



「あぁ。

ヨハンの魔力が消えるのを感じた。

くそ!迂闊だった!ヨハン 一人で奇襲は成功すると思ったが…

まさか奴等にそれ程の力があったとは…!!!」



ゲオルグは悔しさと怒りで顔を歪めながら 傍にあった瓦礫を叩き壊した。



「どうするの?奴等はもう すぐ傍まで近づいてるよ。」



ミカエルは動揺することなく話を続ける。



「もう遊びは終わりだ!

全力で叩き潰すぞ!!」



ゲオルグの言葉に応える様に魔物と魔人の軍勢が雄叫びをあげる。


しかし その雄叫びがすぐに断末魔の叫びへと変わった。



「なんだ!?」



ゲオルグが悲鳴の聞こえた方へ視線を移すと そこには上空から降り注ぐ無数の矢が目に入ってきた。


次々に射ぬかれていく魔物と魔人の軍勢。



「ボス!敵襲です!」



「そんなこと見れば分かる!」



幹部の一人 エリックが報告に現れるが 怒りによって冷静さを欠いてしまっているゲオルグに突き飛ばされる。


仕返しと言わんばかりの連合軍による遠方からの奇襲攻撃により 豪魔邪霊衆の軍勢は混乱に陥っていく。


形勢は一気に逆転しようとしていた。



「あそこか…」



ゲオルグは遠方の連合軍を視界に捉えると魔導教典を開ける。



『ジオ・スタンプ』



激しく光を放つ魔導教典から重力魔法が発動される。



「わぁぁぁぁ!!!」



凄まじい轟音と共に地面ごと押し潰される騎士達。

カイラスが使った魔法と同じ物だが威力は桁違いのものであった。


それにより帝都親衛騎士団は ほぼ壊滅状態に陥ってしまう。


たった一つの魔法で再び不利な状況に戻される連合軍。

もう残された戦力は白銀の翼だけである。



「今だ!!」



バルボアの号令と共に瓦礫の影から白銀の翼のメンバーが飛び出していく。


騎士団による奇襲攻撃の間を縫って 白銀の翼のメンバーが岩影に移動し 追い討ちをかける。

これは二段構えの攻撃だったのだ。


虚を突かれた魔物と魔人の兵士達は次々と白銀の翼のメンバーによって倒されていく。



「えぇい!鬱陶しい!

エリック!!」



「はっ!

タイム・ストップ!!」



エリックが両手を掲げ 魔力を解き放つと 白銀の翼のメンバーは その場で動きを止められてしまった。



「くっ…!

まさか こんな能力を持っていたとは!」



身動き一つ取れない体をなんとか動かそうと試みるレオ。


しかし そんな姿を嘲笑うかの様にエリックが口を開く。



「無駄だ。

俺は時の操者 エリック。

俺の特殊能力は時を自在に操ることが出来る。

よく頑張った方だが ここで終幕だな。

ガンブ!」



肥満体型の大柄の魔人を呼び出すエリック。



「ガハハハ!

俺様は怪力無双 ガンブ!

貴様等は この俺様が叩き潰してくれる!」



この魔人も幹部の一人である。

ガンブが魔力を放出させながら力を込めると 弛んだ体がみるみる内に引き締まっていく。


あっという間にガンブの体は肥満体型から筋肉の塊の様な体へと変貌していた。



「くっ…!

ここまでなのか!?」



流石のジャガンも想定外の能力により 身動き一つ取ることが出来ないでいた。


その間にも迫ってくるガンブ。



「全員纏めて死にやがれーー!!!」



ガンブが 巨大な腕を振り上げた その時…



一閃の黒き閃光がガンブの隣を通り過ぎた。



「ぎゃわわぁっ!!!」



ガンブの体は無惨に真っ二つとなり どす黒い血を撒き散らしながら豪快に地面へ転がった。


瞬き一つの一瞬の早業。

その場にいる誰もが黒き閃光の走った方へ視線を移す。


そこには白銀の翼が待ち望んだ男の姿があった。



「遅くなっちまったな。

今戻ったぜ!!」



修行を終えたロイである。


一瞬にして豪魔邪霊衆の幹部を倒して退けた その力は正に驚異的。


白銀の翼のメンバーは聞かずとも修行の成功を理解したのだった。



「さぁ!力を貸してくれよ!百鬼爪刃!!」



ロイの手には剣聖シバが使っていた妖刀 百鬼爪刃が握られていた。


ロイも戻り 白銀の翼と豪魔邪霊衆の戦いは決着を迎えようとしていた。

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