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白銀の翼  作者: 烏丸
17/30

第17話 修行開始

シバから衝撃の事実を知らされたロイは呆気に取られた表情をしていた。

しかし次第に瞳が輝きだし 満面の笑みを浮かべる。



「じゃあ俺はもっと強くなれるんだな!?」



「それは君次第だね。

けどかなり伸びると思うよ。」



ロイの剰りの満面の笑みに シバも笑みを溢しながら答えた。



「……けど そのストッパーってどうやって外すんだ?」



「そうだねぇ…

じゃあまず魔力のコントロールの修行から入ろうか。」



「おうっ!!!」



俄然やる気になったロイは力強く返事を返す。

あれほど嫌がっていた弟子になるという話しは既に忘れてしまっているようだ。



「とりあえず今日はもう休みな。

明日から開始しよう。

小屋にソファがあるからそこで休むといい。」



「了解!師匠!!」



ロイの単純ぶりには もう何も言葉は出ない。


ご機嫌なロイが小屋の中に入っていくが 銀狼シュバルツはじっと留まり シバに視線を向けていた。



「ん?君も休んだらどうだい?」



シュバルツの視線に気付いたシバが声をかけるが それでもシュバルツはじっと動かないままであった。



「…シバ殿。

何故 突然ノ要求ヲ受ケル気ニナッタノダ?」



用心深い銀狼は その黄金の眼差しをシバに向け 口を開いた。


その言葉を聞いたシバは困った表情を浮かべながら頭を掻きむしる。



「やれやれ…信用ないな。

ぶっちゃけ退屈だからという理由もあるよ。

ここで静かに暮らすのはいいんだけど一人だと結構退屈でね。

…それと あのロイって子から不思議な力を感じたんだ。

少しあの子を見てみたくなった…そんな感じかな?」



そのシバの答えにシュバルツは笑みを浮かべた。



「成ル程ナ。

ソレナラバ納得ダ。我モアノ小僧ニハ注目シテイル。

奴ノ潜在能力ニハ計リ知レヌ物ガアルカラナ。」



「あぁ。不思議な青年だよ。

これで疑いも晴れて休む気になったかい?」



「アァ。休マセテ頂コウ。」



律義な銀狼は深く頭を下げてから小屋へと入っていった。


辺りは既に暗くなり 静かな夜が更けてゆく。



―☆―

翌日…


まだ日が登り始めた早朝に何者かの話し声で目を覚ますロイ。


小屋の中は簡単な調理場とテーブルと椅子 ベッド1つにソファが1つ置かれているだけの質素な狭い空間だが 辺りを見回してもシバの姿は無く 傍らにシュバルツが眠っているだけであった。


しかし 確かに話し声が聞こえる。

シュバルツは相当疲労していたのか 声には気付かず眠り続けていた。



「…外か?」



よく聞くと その話し声が外から聞こえてくることに気付いたロイは 扉に近づき 耳をすませた。



『フンッ!まさか 面倒臭がりの貴様が弟子を取るとはな。』



「俺も年取っちゃったのかなぁ…

あの子の成長が凄く楽しみなんだよね。」



聞こえてきた声は片方はシバのものだが もう一方は異様な声をしていた。

邪悪さを感じるが一方でどこか神秘的な雰囲気も感じられる。

頭に直接響く様な声で 明らかに人間の声帯とは別なものだ。



『…しかし あの小僧。

育て方を間違えれば危険な存在に成りかねんぞ。

その辺は分かっているんだろうな?』



「勿論だよ。

俺が教えるんだから そんな間違いは決して犯さない。

彼は立派な戦士になるはずさ。」



『フッ…

何を根拠にそんな自信が出てくるんだか。

まぁ精々気をつけるんだな。』



「御忠告有り難うよ。」



会話が終わったのを見計らい ロイはゆっくりと扉を開けた。


しかし そこにはシバの姿しかなく 異様な声の主の姿と気配は微塵も感じられなかった。



「あれ?もう起きたの?」



「…今 誰かと話してなかったか?」



ロイの存在に気付いたシバに問い詰めるが シバは特に気にする様子もなく口を開いた。



「あぁ…

ちょっと古くからの友人と話してたんだ。

もう行っちゃったけどね。またいずれ紹介するよ。

それより 折角起きたんだから朝食前に少し修行するかい?」



「あぁ!さっさと強くなって早くギルドに戻りたい!

頼むぜ!」



「…わかった。始めようか。」



ロイの決意の眼差しを受けたシバは微笑みで返した。



「それじゃあ 先ずは魔力のコントロールからだ。」



「昨日言ってた魔力のストッパーってやつだな。

でもどうやって外すんだ?」



ロイの質問にシバは真剣な顔つきになりながら ロイの胸に手を押し当てる。



「俺は剣術専門なんでね。正直言って魔力のコントロールは専門外さ。

だからとりあえず俺の魔力を君に流し込み 無理矢理ストッパーを外す。

手荒い方法だが 君はぶっつけ本番で力を発揮するタイプの様だからね。

後は君次第だ。精神を集中させて魔力を上手くコントロールさせるんだ。」



シバの眼差しから緊張感が伝わってくる。

危険な賭けであることはロイにも理解が出来た。

膨大な魔力を抑え切れずに暴走すれば肉体が朽ち果てる可能性も考えられる。



「…頼む!!」



ロイの決意に満ちた返答にシバは頷くと 胸に押し当てた手から一気に魔力を流し込んでいく。



「ぐっ…!!」



シバの魔力がストッパーを外し ロイの中に眠る膨大な魔力を呼び覚ます。


凄まじい勢いでロイの体から膨大な魔力が噴出していく。

その魔力に反応してか ロイの意識とは別に黒いオーラが発動する。


放たれた膨大な魔力と黒いオーラはミシミシと音をたて ロイの体を蝕んでいく。

このままではロイの体が朽ちるのは時間の問題である。



「ロイ!落ち着いて!

精神を集中させるんだ!」



身の危険を感じ ロイから離れたシバが声をかける。


ロイは精神を集中させるが魔力は一向に収まる気配を見せず どんどん放出されていく。



「何事ダ!?一体何ヲシテイル!!?」



強大な魔力を感じ シュバルツが勢いよく小屋から飛び出して来た。

その目に写ったのは膨大な魔力に焼かれ 皮膚がボロボロになり 身体中から血が吹き出しているロイの姿だった。



「シバ殿!コレハドウイウコトダ!?」



シュバルツは怒りを露に喉を鳴らしながらシバを睨み付ける。


しかしシバは気に止める様子もなく ただロイを見つめ続けていた。



「手荒い方法だが 彼には理屈で説明するより体で覚えた方が早いだろう。」



「シカシ!コノママデハ魔力ニ飲マレ 肉体ガ崩壊シテシマウゾ!!」



「君はロイの表情が見えないのか?あの決意に満ちた表情を!必死にコントロールしようとしている顔を!!

彼がこの方法を選んで後悔しているように見えるかい!?」



シバは急に声を荒げ シュバルツに叫んだ。

まだ出会って間もないシバだが彼は誰よりもロイを理解し ロイの気持ちを汲んでこの方法を実行したのだ。



「危なくなったら俺が止めるよ。

今はロイの好きにさせてやろう。」



「………承知シタ。」



シバは言葉を失っていたシュバルツに声をかけ シュバルツはそれを承諾した。


ロイは未だ魔力をコントロール出来る様子はなく 膨大な魔力に その身を焦がされ続けていた。

苦痛の呻きをあげながら耐えるロイ。


しかし諦めようとはせずに ひたすらに精神を集中させていく。



「……!見ろ!!」



シバが叫ぶ。


先程まで四方八方に暴れ狂うかの様に放出されていた魔力と黒いオーラが 徐々に纏まりを見せ始めていた。

ロイが魔力をコントロールし始めているのだ。



「コノ短時間デ アノ魔力ヲ コントロールシ始メタダト!?」



「あぁ…

正直驚きだよ。」



シバとシュバルツは共に驚愕し ロイに釘付けになっていた。


その間にもロイは凄まじいスピードで魔力をコントロールしていく。


そして遂に…

溢れ出していた魔力を抑え込み ロイは魔力の放出を自らの意思で止めて見せたのだった。



「いやぁ~お見事。

まさかこの1回でコントロール出来るとはね。」



「ハァハァ…

すっげぇ疲れた。

……あれ?あれだけすげぇ魔力出したのに魔力切れになってねぇな。」



「そりゃストッパーを外した訳だからね。

君は元々膨大な魔力を持っていたんだよ。

…ただ 何故ストッパーみたいな物が掛かっていたのかは理解しておくべきだよ。」



見当もつかない言葉にロイは疑問符を浮かべる。

その表情を見て シバは呆れた様に微笑んだ。



「その顔は分かってないようだな。

人間の体の構造ってのは凄くてね…

今は万全の状態だったから なんとか抑え込むことが出来たけど もし体を酷使した状態でストッパーを外せば たちまち膨大な魔力に飲み込まれ 体が崩壊していた筈だよ。

だから君の体は無意識の内にストッパーを掛けていたという訳さ。」



「……てことは無闇に外すのは危険ってことか。」



ロイは生唾を飲み込む。



「そうだね。

強大な力には それ相応の代償が必要だということだ。

さて ちょっと最初からやり過ぎちゃったね。

朝食がてら休憩に入ろうか。」



ロイ シュバルツ シバの3人は小屋へと戻り 暫しの休息へと入った。



―☆―

豪魔邪霊衆の根城


「如何ですかな閣下?」



「ヨハンか…

うむ。魔導教典を使いこなすには もう少し時間が掛かりそうだ。」



老魔人ヨハンの問いかけに 首領のゲオルグが魔導教典をチラつかせながら答える。



「それで?幹部は皆 揃ったのか?」



「はい。幹部4名。

全員集まっております。

いつでも出撃可能ですぞ。」



「よし。

こいつを使いこなせ次第 出撃する。」



「御意で御座います。」



ヨハンは深々と頭を下げながら闇の中へと消えていく。


豪魔邪霊衆と白銀の翼の対決は刻一刻と迫ってきているのだった。



―☆―

暫しの休息を終えたロイ達は再び外に出て 修行を再開しようとしていた。


ロイの魔力に焼かれた傷は 黒いオーラが共に発動したこともあり 種の者特有の異常な治癒能力で ほぼ完治していたのだった。



「さぁ お次は本題の剣術の修行だ。

先ずは剛の剣と柔の剣 両方使いこなせる様にするぞ。」



シバはそう言って 二本の木刀を取り出し 片方をロイに向かって投げた。



「こいつで修行すんのか?」

ロイは木刀を受け取りながら不満そうな表情をしている。



「真剣でやったら 体が幾つあっても足りないでしょうが。」



シバは呆れながら 木刀を正面に構えた。



「ほれ。手本を見せるから打って来い。」



「了解!!」



ロイは素早く移動すると 真正面からシバに向けて 木刀を振り下ろした。



「先ずは受け流す。」



シバは木刀で受け止めると そのまま剣圧には逆らわずに体と木刀を ロイの木刀に合わせて移動し 受け流す。



「そして振り払う!」



更に木刀をロイの木刀の上側にクルッと回すと 素早く振り払う。


剛の剣による 渾身の一撃を放ったロイは 態勢を崩して前のめりになるが なんとか踏ん張り 転倒だけは避けた。



「どうだ?コツは掴んだか?」



シバは意地の悪い笑みを浮かべる。



「う~ん…

何と無く分かった。」



「何っっ!!?」



冗談のつもりで言ったシバは驚くしかなかった。

柔の剣は一度見ただけでコツを掴める様な代物ではないのだ。



「さぁ!今度は俺の番だろ?」



ロイは自信ありげに木刀を構える。



「…よし!いくぞ!」



今度はシバがロイの真正面から木刀を振り下ろす。


ロイはその一撃を木刀で受け止め 同じ様に剣圧に逆らわずに木刀と体を動かし 受け流しにかかる。



「!!!」



しかし ロイの木刀は弾かれ 後方へ弾き飛ばされていく。



「あれ!?

やっぱ駄目か…」



肩を落とし落ち込むロイ。


だが そんなロイをシバは驚きの表情で見つめていた。



「……いや。

形は出来ていた。

まさか本当に あの一回でコツを掴んだとは…」



シバはロイの格闘センスのズバ抜けた高さに驚かされるばかりである。



「よし!もう一息だ!

もう一度やるぞ!」



「おう!!!」



この後 柔の剣の修行は10時間以上も続けられた。


しかし この日は後一歩の所で成功せずに終わりを迎えた。


こうして修行の初日が終了した。

だが 今日一日でロイが学んだ事はかなり大きい。


凄まじい勢いで成長していくロイ。

白銀の翼の強大な戦力として帰還することは まず間違いないであろう。

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