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#1

フランス領ポリネシア、上空8000m




機内は異常なほど静寂に包まれていた。降下用のマスクが重い。警戒色に照らされた両用スーツが鈍い光を放つ。最低限の椅子、人間を運ぶのはあくまでサイドビジネスだ。少し肩を動かせばスーツの繊維が肌に密着しつつも全く音を発しない。一体どこの装備だ。思い出すのは40分ほど前のこと――――




「じゃ、ギニー今回の任務について改めて説明するよ」




前髪を真ん中で分けた黒縁メガネ、中肉中背いかにも普通そうな小綺麗な男。こいつの名前はプレス。俺の所属している、PMC「スクラッチ」の情報分析官だ。




「今回の任務は、ニュージランドから5000Kmにある。孤島『ロサグリス』ここで核兵器開発が行われてるらしい。その調査というのが目的だ。お、詳しいことは彼に聞くといい」




 薄暗い石灰色の作戦室、無機質に重くある黒色の扉が開かれた。




「おっと、もう始まっていたか」


 


 きちりと整えられたオールバック、首元にレジメンタルタイをとめたスーツ姿の男。彼の名はテスター、今回依頼主より与えられた条件の一つで、参謀としてこちらへ送り込まれた。




「どこまで話した。あぁそこまで。では私からも詳細を話そう。そのロサグリスは今、オジマ・ギデオンを中心とする傭兵たちによって不法占拠され、ある筋から核兵器開発が行われているという情報が入った。この事実が本当ならば国際情勢は急速に悪化し、全面核戦争への火蓋が切られることになる。とまではいかないが、恐ろしい脅威が生まれるというのは間違いない。そこで君たちにはこの調査に協力してもらうこととなったのだ」




 説明が終わるのを目で確認すると、プレスが続けた


 


 「それじゃ、具体的な作戦に移ろうか。早速だけどギニー、君をこのままロサグリスに下ろすことはできない。だからまず、奴らの探査網に引っかからないギリギリまで近づいて、そっから降りて海路で島まで向かってもらう。別に泳いでもらうわけじゃない、水中スクーターも用意してある」




 サイレンとともにカーゴが開く、8000mの冷気が機内へと広がる。はためく帯の音、プロペラ音、ぶつかり合う風の中で、西日が海面を赤く照らしていた。

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