リズム、混沌、そして裏切り者の猫
日本の読者の皆様、こんにちは。第14話をお届けします。
今回は主人公アリスが、魔力を持たない者としての「新しい戦い方」に目覚める重要な回です。
私は海外の作者ですので、日本語の表現や、格闘技の描写などで不自然な点があるかもしれません。
もし「この動きはこう表現した方がかっこいい」「この言葉は変だ」という点があれば、ぜひ感想欄で教えてください!
皆様のフィバイスを参考に、アリスをもっと強く、物語をもっと熱くしていきたいです。
昼食後、俺はいつものように訓練のために中庭へ向かった。
エリガクがその後ろをついてくる。
「今度は何だ、この悪魔め。俺のメシを奪うだけじゃ満足できないのか?」
少しばかり気分を害したまま、俺は言った。
定位置に着くと、俺は訓練を開始した。
呼吸を整える。
立ち姿を固める。
エリガクは、ちょうどその真ん中に居座った。
俺を見つめている。
じっと。
これから何が起きるか、正確に理解しているかのように。
「言っておくがな……」構えを調整しながら、俺は呟いた。「今は遊びに付き合ってる暇はないんだ」
猫は瞬きをした。
ゆっくりと。
そして動く代わりに……そこに留まった。
俺が動き出そうとする、その場所に。
「……ああ、そうか。最高だな」
最初の一歩を踏み出す。
短い移動。体重移動。腰の回転。
流れるように。
精密に。
すべては順調だった……。
空気がわずかに震えるのを感じるまでは。
それは猫からではなかった。
背後からだ。
わずかに振り返る――。
遅すぎた。
鈍い衝撃が俺のガードを叩き、半歩後退させられる。
「まだ隙があるわね」
シズカの落ち着いた声が響いた。
俺は舌打ちをした。
「いつからそこにいたんだ?」
「あなたが猫の前で格好をつけ始める前からよ」
「格好なんてつけてない」
「……そうかしら」
彼女は静かな足取りで近づいてきた。音も立てずに。
いつものように。
まるで地面が彼女の存在を隠したがっているかのように。
その時だった。
エリガクが動いた。
跳躍。
だが、俺に向かってではない。
シズカの方へ。
エリガクはシズカの肩に正確に着地し、まるでそこが自分の定位置であるかのように平然と収まった。
一度瞬きをし……。
そして俺を見た。
沈黙。
「……裏切りだ」俺は呟いた。
シズカはその重みに対して、眉一つ動かさなかった。
「今日はあなたが不利なようね」と彼女は言った。
エリガクが短く鳴いた。
完全に同意しているかのように。
「本気か?」俺は首を振って息を吐いた。「今度はチームを組むってのか?」
答えはなかった。その必要もなかった。
シズカが一歩前へ踏み出す。
今度は予兆さえなかった。
素早い動き。
直線的。
無駄のない攻撃。
俺はガードを上げる――。
衝撃。
後ろへ弾かれる。
「また遅いわ」彼女は言った。
俺は眉をひそめ、構えを直した。
「遅いんじゃない……ウォーミングアップ中だ」
エリガクがわずかに首を傾げた。
審判を下しているかのように。
「ええ、そうね」シズカが応じる。「なら、もっと早く温まりなさい」
彼女が俺の視界から消えた。
魔法ではない。
身のこなし。
精密さ。
そして、本能。
翻る――。
防御。
だが半分だけだ。
衝撃が腕を揺さぶる。
ジャレッドとは違い、シズカは絶え間ない剛腕に頼ることはない。彼女のスタイルはより精密……だが、それゆえに危険だ。彼女は魔法で打撃を強化し、衝撃を一点に集中させている。必要ならば拳だけで岩を砕くほどに。
「クソ……」俺は呟いた。
これはもう、ただの訓練じゃない。
「これはもはや虐待だぞ」俺は付け加えた。
「これが『現実』よ」シズカが訂正した。
エリガクは動かなかった。
だが、そこにいた。
観察し。
注視している。
介入すべき完璧な瞬間を選んでいるかのように。
俺は肺の空気を吐き出した。
微かに笑みを浮かべる。
「いいだろう……」
腰を落とし、構えを整える。
より低く。
より軽く。
「また二対一か」
そして今度は……。
俺の方が先に踏み込んだ。
先制。
ショートステップ。
リズムを変える。
直線的な攻撃は捨てろ。
二人を相手にするなら……。
一人として考えるのをやめる必要がある。
シズカはすぐには動かなかった。
観察し。
待ち。
分析している。
彼女の肩の上で、エリガクが首を傾げた……。あいつもまた、品定めをしているかのように。
「じっとしてるなよ」俺は呟いた。「監視されてる気分だ」
返答はない。
だから、俺は加速した。
左へのフェイント。
体重移動。
低い入り込み――。
シズカが反応した。
速い。
あまりにも淀みがない。
防御。
そしてカウンター。
俺は完全に打ち込まれる前に後退し、慣性を使って体を捻り、側面に抜けた。
適応し始めている。
だが、彼女も……。
同じだった。
「良くなったわ」彼女が言った。
感心している響きではない。
「合格点」といった響きだ。
そっちの方が、質が悪い。
再び踏み込む。
今度はより攻撃的に。
動きを連ねる。旋回、上段の牽制、下段への払い――。
そして、その時――。
(ザッ!)
何かが俺の頭の上に落ちてきた。
「なっ……!?」
一瞬、均衡を崩す。
それで十分だった。
シズカの打撃が届く。
鋭く。
制御された。
脇腹への直撃。
「っ……!」
俺は地面を転がり、受身を取って衝撃を逃がした。
即座に立ち上がる。
上を見た。
エリガクだ。
跳んでいた。
シズカの肩から……。
俺に真っ向から。
そして奴は再び地面に降り立ち、極めて平然と尻尾を振っていた。
「……これはサボタージュだぞ」
短く鳴き声が返る。
罪悪感など微塵もない。
シズカは何も言わなかった。
だが、再び攻撃を仕掛けてきた。
より速く。
より直線的に。
防御。
今度はマシだ。
彼女の腕をわずかに逸らし、直撃を避けると同時に、胴体へ短いカウンターを叩き込む。
止められた。
造作もなく。
だが、初めて……。
彼女に「反応」を強いた。
俺は不敵に笑った。
「動いたな」
「あなたが必要としていたからよ」彼女は応じた。
そして――。
エリガクが再び現れた。
今度は頭に跳んできたのではない。
いや。
もっと性質が悪かった。
移動の最中、俺の足元を横切りやがったんだ。
「マジかよ!?」
足がもつれた。
軸がぶれた。
またしても。
その瞬間に、シズカが眼前に現れた。
真っ直ぐな拳。
十分に防ぎきれない。
衝撃。
二歩、後退させられる。
……痛い。
「……これはもう、二対一じゃない」構え直しながら、俺は呟いた。「ただのイカサマだ」
「イカサマなんてないわ」シズカが応じる。「あるのは『変数』だけよ」
俺は猫を見た。
そして、彼女を見た。
溜息を吐く。
「……いいだろう。なら、俺も俺の『変数』を使い始めることにする」
重心を下げる。
肩の力を抜く。
そして、変えた。
ただの構えじゃない。
それは……「リズム」だ。
呼吸が浅くなる。
足運びは直線的な動きを捨てる。
もはや、構造には従わない。
ただ、流れる。
再び、踏み込む。
だが、真っ直ぐではない。
俺の足は不規則な拍子を刻み、左右へと揺れる……まるで躊躇っているかのように。
だが、それは迷いではない。
「欺瞞」だ。
ガードを上げる――。
そして最後の瞬間にそれを落とし、全く別の角度へと変化させる。
フェイント。
さらにもう一回。
リズムの切り替え。
入り込み。
離脱。
再突入。
規則性はない。
明確なシークエンスも存在しない。
シズカが反応した。
だが、今度は……。
先ほどのような淀みのなさはなかった。
彼女の腕が防御のために動く……。
一瞬、遅い。
俺は不敵に笑った。
「そうだ……」
自らの軸を中心に旋回する。
直線的な打撃に見えたものは、腰の回転へと変わり、窮屈な角度からのサイドキックを放つ。
優雅ではない。
「正しい」動きでもない。
だが、効果的だ。
シズカは半歩、後退を余儀なくされた。
彼女の肩の上で、エリガクが身を固くする。
注視している。
今や、奴らも感じているはずだ。
その「違い」を。
俺は子供として戦っているのではない。
剣士としてでもない。
この世界の戦士としてですら、ない。
俺は、この世界には「そぐわない何か」として戦っていた。
再び、前へ。
今度は周囲の環境を利用する。
ベンチを一段、踏み込む。
足場にする。
跳躍の勢い。
それは綺麗なジャンプではなかった。
移動の最中に身体の向きを変えるため、接地面を利用した一連の連鎖運動だ。
空中で角度を変える。
振り下ろしの攻撃――。
だが、そこでは終わらない。
着地。
回転。
流れを止めずに立ち上がる。
追撃。
入り込み。
そして離脱。
ダンスのようだった。
だが、音楽に従わないダンスだ。
シズカが防ぐ。
だが、今は……。
彼女は思考を強いられていた。
適応を強いられていた。
そして、それこそが……。
俺の狙い通りだった。
「さて……」不敵な笑みを浮かべ、俺は呟いた。「……これをどう読み解く?」
シズカは答えなかった。代わりに――。
俺の正面から消えた。
後ろに下がったのではない。
横へ。
側方移動。
流れるように。
淀みなく。
そして今度は……独りではなかった。
シズカが踏み込むその完璧な刹那、エリガクが跳んだ。
偶然ではない。
「同期」だ。
「……リハーサルでもしたのかよ?」俺は一歩下がりながら呟いた。
正面からの連撃。
受け流す。
だが、その同じ瞬間に――。
上空からエリガクが降ってきた。
本能で身体を捻る。
衝突を回避。
だが、半分だけだ。
シズカはすでにそこにいた。
真っ直ぐな拳。
防御するが――。
その衝撃に、再び後退を余儀なくされる。
より強く。
より速く。
より、洗練されていく。
二人は即興で動いているのではない。
まるで一つのリズムを共有しているかのように動いていた。
次に相手が何をすべきか、すでに理解しているかのように。
「チッ……」
奥歯を噛み締める。
レベルが上がっている。
それでも……。
俺は二人のリズムについていけた。
辛うじて、だが。
力ではない。
魔法でもない。
「別の何か」によるものだ。
呼吸する。
ゆっくりと。
深く。
空気を感じる。
地面の振動。
二人が動く時の、圧力の変化。
視覚で捉えているのではない……。
「知覚」しているのだ。
野生動物のように。
包囲された獲物が……逃げるのをやめた時のように。
誰もがマナに依存するこの世界で……。
俺にはそんなものは欠片もない。
だからこそ、俺の肉体は……。
適応したのだ。
感覚が研ぎ澄まされていく。
通常を越えて。
「人間」の枠を越えて。
強さゆえに生き残るのではない。
先に感じ取り。
先に聞き届け。
先に反応する。
そうして生き延びる獣たちのように。
シズカが再び攻撃を仕掛けてきた。
姿は見えない。
だが、移動の「気配」を感じた。
衝撃が届く前に、俺は動いていた。
危なかった。
エリガクが再び介入してきた。
今度は顔面に真っ向から――。
俺は首を傾けた。
奴の爪が数センチ横を通り過ぎる。
「……なるほどな」俺は呟いた。
反応し続けるだけでは足りない。
「先読み」が必要だ。
前へ。
真っ直ぐに。
だが、肉体を狙うのではない。
「点」を狙う。
思い出した。
古い記憶。
極めて古い、前世の記憶だ。
人間の身体は、単なる筋肉と骨の塊ではない……一つの「システム」だ。
経路。
流れ。
リズム。
血液は特定のルートを循環し、かつての達人たちの中にはそれを操作できる者がいた。流れを加速させ、強制し、限界まで引き上げる……それによって、肉体の速度と剛力を一時的に増大させるのだ。
俺もそれを修練した。
だが、それだけではない。
その逆もまた、存在した。
「遮断」だ。
適切な精度で、最小限の衝撃――わずかな接触――を与えれば、その流れを乱し、不安定にさせ……あるいは一瞬だけ封鎖することさえできると言われていた。
力ではない。
「正確さ」だ。
俺は脳内に、シズカの肉体を記憶した。
敵としてではない。
一つの「地図」としてだ。
足の先から頭のてっぺんまで、急所を視覚化していく……均衡、機動力、そして肉体の反応が一定の流れに依存している場所を。
マナが相手でも同じように機能するかはわからない。
だが……。
もし肉体の構造が同じなら……。
試す価値はある。
「……実験といこうか」俺は囁いた。
彼女の間合いに入る。
シズカが反応した。
速い。
いつものように。
だが今度の俺は……強く打つ気はなかった。
「正確」に打つ。
彼女の防御の隙間に、手を滑り込ませる。
触れるような、一撃。
鋭く。
精密に。
軸足へと真っ直ぐ。
ダメージを与えるためではない。
「遮断」するためだ。
彼女の次の動きが……。
途切れた。
エリガクが身を固くする。
俺もだ。
その同じ瞬間、シズカの均衡がわずかに崩れるのが見えた。まるで一瞬の間だけ、足が反応を拒んだかのように。
ほんの刹那。
だが、それで十分だ。
「……成功だ」
俺は即座に間を置いた。
心臓の鼓動が早まる。
疲労ではない。
この「着想」ゆえだ。
「流れを……遮断した」
完全ではない。
だが、十分だ。
シズカが俺を見た。
眼差しが変わる。
より真剣に。
より、注視するように。
もはや、ただの訓練の目ではなかった。
「……面白いわね」彼女は呟いた。
エリガクが肩から降りた。
今度は攻撃するためではない。
観察するためだ。
奴もまた、その変化に気づいたかのように。
俺は微かに微笑んだ。
「……どうやら、この世界でも通用するらしいな」
再び、構えを調整する。
だが今は……。
単なる適応ではない。
それは「進化」だった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
シズカの動きを一瞬止めたアリスの一撃……これこそが前世の知識と、この世界の肉体が融合した瞬間です。
さて、**『シャドウ・コマンド (Shadow Commandos)』**の皆様に質問です。
魔力ゼロのアリスが、魔法使いを翻弄するこのスタイル……どう思いましたか?
「もっとこういう技が見たい!」などのリクエストがあれば、ぜひ感想欄へ!
もし今回の「進化」が面白いと思ったら、ぜひ【☆☆☆☆☆】の評価とブックマークで、アリスの任務を援護してください!
次回の作戦開始まで、状況を注視せよ!




