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電車登校、最高

「凛華〜、起きなさ〜い」

 階段下からママの声がする。

「……」

 でもあえて返事はしない。


 スマホで時間を確認すると、セットしているアラームが鳴りスヌードが2回なった頃。

「凛華〜、遅れるわよ〜。ママ、ちゃんと起こしたからね〜」

 また声がした。

 そこではじめて「は〜い」と弱々しい返事をする。 

 『今起きて、急いで用意してます』みたいに、バタバタ音を立てて階段を降りた。


 洗面所に向かう前に、キッチンを覗く。

「また二度寝したでしょ。アラームずっと鳴ってたわよ」

 テーブルに朝食を並べながらママは呆れ顔。

「だって眠いんだもん」

 唇をとんがらせる。

「でも雪乃ちゃんを待たせることになったら、ダメじゃないの。待ち合わせ時間はきちんと守りなさい」

「は〜い」

 面倒くさそうに返事をしたけれど……。


 私、本当はアラーム前から起きてます!

 ママに起こされる前に、もう顔を洗って、歯磨きも終わってました。

 なんなら二度寝したには綺麗に整いすぎた髪に、色付きリップを塗って、まつ毛はカールさせてます。


 今日から春人君達と登校するが楽しみなのと緊張で、早くに目が覚めた。

 お弁当と朝食を作ってくれているママに気付かれないように、そ〜っと顔を洗い歯磨きを済ませるフリをする。

 そして『気合い入れてませんよ〜』みたいな感じになるように身支度するフリをした。


 自室の姿鏡の前で後ろ姿もおかしくないかクルクル回りながら確認しすぎて、少し酔ったぐらい。

 ドキドキで朝食の味がよくわからないまま、また歯磨きを今日はいつもより念入りにする。

 もし満員電車で春人君との距離が近かった時のため、マウスウォッシュで口内もサッパリさせた。


 これで大丈夫。

 鏡の前で、ずっと練習していた笑顔の最終確認する。

「いってきま〜す」

 気合いを入れすぎた姿をパパやママに見られたくなくて、急いで玄関に向かい磨いたローファーを履き、いつもより早くに家を出た。



 バス停に着いた時、バスの時間までまだ余裕がある。

 だってバス停まで走りたくなかったから、家を早くに出て、バスに乗り遅れたくなかったから、一本前のバスが来る前にバス停に到着した。

 走ったりしたら、せっかく可愛くした髪型や制作が台無しになっちゃう。

 素が可愛いとかじゃないから、最大限可愛くしたのが今の姿だし……。


 走ってもないのに、胸のドキドキが止まらない。

 絶対口角あがってニヤニヤしてる。


 決して不審者じゃないです。

 春人君と登校するのが楽しみなだけなんです!

 叫んで自慢したくなる。


 今日の春人君の寝癖はどうなのかな?

 私みたいに綺麗にセットされてたら、どうしよう〜。

 バス停で両手で顔を隠す。

 だってにやけ顔を隠すためですから。

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