表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/44

【小話】洗い物中にて

 いわてさんは泣きながら「すまない」と謝り続けた。それは娘に対する謝罪なのか、私達に対するものなのか分からなかった。

 その後、私達は食事を続けた。気まずい雰囲気ではあったものの、次第に会話が弾み、空気が明るくなった。そして食事会を無事終えた。

 その後、いわてさんは帰る支度をした。

「有難う、美味しかったよ」

 いわてさんは私にそう言うと戸に手をかけた。私は帰宅しようとするいわてさんを呼び止めた。

「あの……また、一緒に料理をしてくれますか?」

 私はいわてさんの顔色を伺いながら訊いた。いわてさんは無言のままだったが、やがて「そうだね……そうだね」と曖昧な返事をした。

 その後、私は鬼神様、五色鬼と一緒に食器を洗った。私が洗って鬼神様が水気を拭いて、五色鬼が食器を片づける。そう役割分担をした。

「鬼神様、やっぱり私は余計なことをしてしまったんでしょうか?」

 鬼神様は一瞬手を止めた。がすぐに手を動かした。

「どうだろな。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないな」

「うーん、そうですか……」

 沈黙。

 鬼神様はちらりと私を見て、「手を動かさないなら水を止めてくれ」と注意した。

「ただ、いわてはいずれああなっていたと思うぞ。がたがた言い訳して過去から逃げ回っていた、そのツケが今回って来たんだ。だから……要はあれだ。いわてに何があろうとお前のせいじゃない」

 鬼神様は拭きあげた皿を五色鬼に渡した。

「ええっと……有難う、ございます?」

「どうした? 含みのあるような言い方だな」

「別に深い意味はないですよ。ただ、生贄の私にも対等に付き合ってくれるんだなあと」

「俺はな、村の住民と身内は何が何でも守ると決めている」

 鬼神様は真面目な顔をしてそう言った。いつになく真剣だから私は黙って話を聞いた。

「あららぎ村の住民には飢えがなく、幸せに暮らしてもらう……そのために働くのが地主の責務だと俺は考えている。あららぎ村の住民とはあららぎ村に住んでいる者を指す。つまりお前もその中に含まれる。お前が俺の料理人である限り、お前はあららぎ村の住民だ。だからお前を蔑ろにするわけにはいかない。そうしないと俺の生き方に反する」

 鬼神様はそう言って皿を拭いた。

「鬼神様は真面目ですね」

「真面目じゃねえよ。地主として当然のことだ」

「それを真面目というのです」

 私は笑ってそう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ