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レベル4 大天使ミカエルとラッパ天使キュービッド

間違えて1話飛ばしてしまいました。申し訳ございません。(修正済)

 天界──。


 人間界のはるか上空に存在する神のおわす場所。

 この聖域には、悪魔はおろか人ですら入ってこれない領域。

 そのため、この天界から地上へと降り立つには特定の天使の手助けが必要です。


「あれー? ミカエルたまー。どうしたんでしゅかー?」


 今、私の目の前にはその水先案内人キューピッドがラッパを鳴らしながら浮かんでおりました。

 裸の赤ん坊のような姿ですが、れっきとした天使です。


「キューピッド、頼みがあるのですが私を地上へ送ってくださいませんか」


 私の言葉にキューピッドはラッパを鳴らして驚きました。


「うっひょー! マジでしゅか!? ミカエルたま、地上に行かれるのでしゅか!? うひょー!!」


 叫ぶ度に、ラッパの音が耳に障ります。うるさすぎてムカつくんですけど。


「地上へ……地上いって……ゴフゴフ……何する……ゴフン」


 興奮しすぎです。


「地上に魔界の入り口が開いたみたいなので、それを閉じに行こうかと」

「まかいでしゅか!? うっひょーーーー!!」

「喜ばないでください。大変なことなんですよ?」

「あ、すいましぇん、コーフンしすぎちゃって」


 テヘぺロ、と舌を出すキューピッド。

 申し訳ありませんが、かわいくもなんともありません。


「それと、その言葉づかい、なんとかなりませんか? 仮にも天使なんですから」

「だってー、ぼく、天使だし」

「天使なら天使らしい言葉を使ってください」

「OK、ベイビー」


 ベイビーはあなたです。

 

「とりあえず、ミカエルたま。これをどうぞ」


 そう言ってキューピッドが渡してきたのは大きめのリュックサックでした。


「なんですか、これは」

「地上に降りるときに必要な道具です」


 過去に何度か降り立ったときには、こんなものなかった気がするのですが……。


「最近、天界の経理部がうるさくて……。地上降下エレベーターの使用を禁じられているんですよ」

「そうなのですか?」

「ほら、地上降下エレベーターって、空から光を差してその光に乗って降りるじゃないですか? それを目撃した地上の老人たちが『おむかえがきた』と言ってバタバタと倒れていくもんだから、凍結されちゃったんですよ」


 なんて不憫な……。


「で、代わりのこれはなんなのです?」

「パラシュートです」

「パラシュート!?」


 パラシュートで降りろと!?

 天界からパラシュートで地上へ降りろと!?


「他に方法ないですから」

「あの、もっとこう、魔法のようなものでふわふわといけませんか? 天使なんだし」

「ミカエルたまがフライの魔法を使えばいいじゃないでしゅか」


 使いたくても使えないんです。ルシファーは使えますけど。


「……わかりました、これでいきましょう」

「それでこそミカエルたま! どこまでもお供いたしましゅ」

「いえ、けっこうです。独自に動きますから」

「あ、そうでしゅか」


 ぶっちゃけ、このキューピッドが一緒だとラッパがうるさすぎて目立ちます。


「じゃあ、とりあえず地上への穴を開きます」


 パッパラーとラッパを吹くと、地面にぽっかりと大きな穴が開きました。はるか下方に森が見えます。


「行先はどこでしゅか?」

「えーと、とりあえず港町ルーズベルトへ。そこからゴリアテ島へ行ける船を探して海路から侵入しましょう」

「ゴリアテ島に言ってくれる船なんてあるんでしゅか?」

「私の身分を言えば協力してくれるでしょう。きっと」

「天使だって信じてくれましゅかね?」

「信じてもらうしかありませんね。人間界は、まさに危険な状況なのですから」


 まあ、その状況を作ったのも神様なんですけどね。とは、おくびにも出さない。


「わかりました。行先、港町ルーズベルト」


 キューピッドがラッパを吹くと、眼下の森の景色が人々がごった返す街並みに変わりました。


「さ、ミカエルたま。どうぞ。パーッと」


 高い。

 思った以上に高い。

 本当に、大丈夫でしょうか。パラシュートが壊れていたら、命がありません。


「あの、予備のパラシュートもくれませんか?」

「やだなあミカエルたま。疑ってるんでしゅか?」

「疑っているというか……」

「大丈夫でしゅよ。その時は、ぼくがおむかえに行きましゅから」


 どっちの意味でしょう。


「天国へのサポートは万全でしゅ」

「やっぱりそっちですか!!」


 このキューピッド、意外と腹黒かも……。


「えい」


 どん、と押されて私は真っ逆さまに地上へと落ちて行きました。


「ぎゃああああああーーーっっ!!」


 悲鳴をあげながら、必死に祈りました。

 どうかパラシュートがちゃんと開きますように、と。



つづく

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