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レベル5 キング・オブ・王様・キング(アレル視点)

 ももひきとはらまきとハゲヅラを買わされそうになって慌てて逃げてきたオレたちは、アーメリカ王の待つお城に来ていた。


 謁見の間に通されて待つこと数分。

 アーメリカ国王がオレたちの前に現れた。

 慌てて片膝をついてかしこまる。


「そなたたちが、このたび魔王討伐に参加してくれる勇者たちか!」



「ははっ!!!!!!!」



 隣のアキレウスが大きな声で返事をする。

 気合入れすぎだよ……。

 衛兵さんなんて耳をおさえてるじゃんか。


「よくぞ、魔王討伐に志願してくれた! 名を聞こう!」

「ははっ! 我が名は勇者アキレウス、アーメリカいちの勇者でありますッ!」

「ほう、アーメリカいちか。それは頼もしいな」

「光栄であります! 最近では“筋肉がすごすぎてキモい”と近所で大評判であります!」


 ……いや、それ、誉められてないから。

 そうやってなんでも前向きに考えるんだから、この人は。


「そうか、それはますますもって頼もしい!!」


 ……この王様、すげー。


「そして、こっちは我が友アレルであります! 我の一番の親友であり、アーメリカで一番の…………えーと、もやし!!」


 おい!


「あ、間違えた! “もやし”ではなく“ひよわ”!」


 一緒だよ!


「アキレウス……、もうちょっとマシな紹介してくれない?(ヒソヒソ)」


 オレは小声でアキレウスに注意してみた。


「ん? なにかまずいか?」


 ……真顔で聞き返されてしまった。

 お前はオレをそんな目で見ていたのか……。


「なるほど、アレルと申すか。あだ名はどうであれ、アキレウス同様、強そうで立派な名前だな」


 うーん、この王様はやっぱり偉大だ。

 アキレウスの言葉を完璧にスルーしてくれてる。


「いや、それほどでもないです」


 そして、アキレウス。なんでお前が否定するんだい?


「では、勇者アキレウスとアレルよ! そなたらに旅立ちの餞別を授けよう!」


 キターーーーーッッ!!!!


 ミモたん特製オリジナルストラップ。

 今回、最大のレアアイテムだね。

 うっわ、アキレウスのやつ、今まで見せたことのないものすごい真剣な表情してる。


 目なんか、ギラギラ光らせちゃって。

 なんだかんだ言って、やっぱ欲しかったんだな。



 しかし、次の瞬間、王様から衝撃の言葉が飛び出した。



「……と、思ったんじゃが、餞別で用意していたミモザのオリジナルストラップ、残念じゃが、すでにないのじゃ」


 ………


 …………


 …………な、なんですと?



「先着100名じゃったからな。昨夜から泊まり込みで勇者たちが並んでおって、朝一でなくなってしまったんじゃ」


 ………それは、もはや勇者じゃなくてオタクだ。


「そういうわけで、まあ、代わりといってはなんだが、この毛玉取りでも……」


 そう言って毛玉取りを手渡すこのじじぃ。魔王の前に貴様を血祭りにあげてやろうか。


「王よ、勘違いしないでいただきたい」


 その時、アキレウスがピシっと言い放った。


「我らは魔王討伐という崇高な使命を果たすべくはせ参じておるのです。決して、餞別を受け取るためではありません」

「ほお、そうか」


 アキレウスが顔に似合わずまともなことを言っている。

 そうか、君は根っからの勇者だったんだな。


 ミモたん特製オリジナルストラップ目当てだった自分が恥ずかしいよ。


「そうですよ、王様! オレ……あ、いや、わたしたちは餞別が欲しくてきたんじゃありません! 餞別なんかなくても、魔王を倒してご覧にいれますよ。なあ、アキレウス!」

「ああ、我が友アレルよ。行こうではないか。我らを敵に回すとどんなに恐ろしいか、教えてやろう」


 王様は感動したのか、目に涙を浮かべていた。


「勇者アキレウスとアレルよ。感動したぞ! そなたらの健闘、心から祈っておる!」

「ははっ! お任せください、王よ。このアキレウス、必ずや不届きな勇者をこらしめ、ミモたん特製オリジナルストラップを取り返してみせましょう!」

「……………」


 そっちかーい!

 やっぱりミモたん特製オリジナルストラップ目当てだったのかーい!


 アキレウス、少しでも君を偉いと思った自分が恥ずかしいよ……。





つづく






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