レベル4 遠い島国パラダイス(アキレウス視点)
「よおよお、そこのお二人さん! 何か買ってーッ!」
我が名はアキレウス。
アーメリカ王国の勇者だ。
今、我は我が友アレルとともにアーメリカの中心にあるアーメリカ城にむかっている。
ミモたん特製オリジナルストラップを………
あ、いやいや、魔王討伐の勇者に志願するために。
しかしここは世界規模で商売がさかんな国。
いたるところで露天商に声をかけられる。
こういう輩は無視するのが一番だ。
「お、兄さん、いい面構えしてるねえ。勇者って感じだな!」
「我 の こ と か ?」
いかん、思わず返事をしてしまった。
やはり勇者たるもの、呼ばれれば無視するわけにもいくまい。
「う、うん、そうそう。立派な鎧、立派な兜、立派な盾、いやあ、ほれぼれするねえ」
「はっはっはっ、そうであろう」
照れるではないか、ご主人よ。
「おいおい、アキレウス。油売ってないで早く行こうぜ!」
「まあ、待ちなお若いの。こんなのがあるんだけど、どうだい?」
「なんだこれは」
真っ白いズボンのような……下着のような……。
「これはな。遠い島国で“ももひき”って呼ばれてるもんさ」
「ほお、ももひき……」
…………。
「いらないからな、アキレウス」
「か、買うかバカモノ! ただ見ていただけだ!」
こんな暖かそうなはきやすそうなオシャレな下着など、興味ないわ!
「そうかい。なら、これはどうだい? 遠い島国で“はらまき”って呼ばれてるもんさ」
「ほおおぉ」
ゴムバンドが中に入った、おなかを保護して暖めるものか。
ふむう……………。
………………。
「やめとけって、アキレウス」
「ばっ! だから、誰が買うか、たわけ!」
我々は今から魔王討伐に向かうのだ。
そんな暖かそうで使いやすそうで便利そうでオシャレなものなど、買ってる余裕はないのだ。
「ちょいと待ちなって、旦那。遠い島国で“ハゲヅラ”と呼ばれてるカツラもありますぜ」
「はうっ!?」
……な、なんてことだ。遠い島国はパラダイスか。
「素晴らしい国だ! なあ、アレル!」
「そうだね。でも、いらないからね」
「まあ待て、我が友よ。見たところ、おぬしの防具はやや不安がある。どうだろう、この『ももひき』と『はらまき』と『ハゲヅラ』をつけてみては?」
「嫌だよ! なんか罰ゲームっぽいよ!」
そんなわけあるか。
「ならば、このオシャレなタンクトップという白い肌着も買ってやろう。どうだ?」
「どうだじゃないよ! いらないし、着ないよ!」
「タンクトップに、ももひきに、はらまきに、ハゲヅラ……。うほう、究極のオシャレさんだな!」
「究極のおっさんだよ!」
アレルは本気で嫌なのか走って逃げて行った。
…………
ふん、ファッションセンスのないやつめ。
つづく




