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レベル3 武器もおもちゃも神一重(アレル視点)

 今、オレたちは旅立ちの準備に追われている。

 というか、なぜかオレがアキレウスの準備を整えている。


「寝袋だろ? 水筒だろ? あと、何が必要かな。あ、コンパスだな。方向がわからなくなるとまずいしな」

「我が友アレルよ、こっちのてつのよろいとこっちのはがねのよろい、どっちがいいか意見を聞かせてくれ」


 アキレウスが重そうな鎧を2体、持ってきた。

 ぶっちゃけ、どうでもいい。

 っていうかこの人、手伝わないんだ……。


「どっちでもいいんじゃない?」

「やはり、はがねのよろいのほうが良いだろうか。なんとなく、強そうだ」

「それよりもさ、アキレウス。水筒とか歯ブラシとかタオルとかはいいの?」

「いくさに不要なものなどいらん! 我は剣と鎧と盾と兜があればじゅうぶんだ!」


 ………いや、ぜんぜんじゅうぶんじゃないでしょ。

 君は旅をなめてるのか。


「それよりも、アレルよ。おぬしのほうが心配だ。武器は何を持っていくつもりなのだ?」


 うん、そこだよ。

 ぶっちゃけ、今、武器と呼べるものはピコピコハンマーぐらいしかない。

 まあ、これを武器と呼ぶのもおこがましいけど。


「オレ、これしか持ってないんだよね……」

「なんだ、これは?」

「ピコピコハンマー」

「なんだ、それは」


 天然記念物だな、こいつは。

 ピコピコハンマーを知らないとは。

 叩くと「ピコッ」と音が出る素晴らしすぎるおもちゃだ。


 これを知らないアキレウスにちょっといじわるしてみたくなってオレは言った。


「これはね、神様が作った伝説の武器なんだよ」


 するとアキレウスは家が吹っ飛びそうなほどの大声で叫んだ。


「マ ジ で か!!??」


 ……ヤバい、信じちゃった。


「……………じーーー」


 うっわ、ハンパない…。

 ものすっごく欲しそうな目で見てる……。


「よ、よかったら、あげようか? アキレウス」

「いいのか!!??」

「うん、君の剣と交換だ」

「よかろう! 背に腹は変えられぬ」


 いや、そこまで切羽詰ってないでしょ……。


 とにもかくにも、オレはピコピコハンマーをアキレウスに渡し、代わりに鉄の剣をもらった。

 なんか騙してしまったようで心が痛む。

 でもアキレウスの驚き方からして「ウソです」とは言いづらくなってしまった。


「……ほぉ。これが……これが……神の手で作り上げられたハンマーか……。すばらしい。この柔らかさ、叩いても痛くなさそうな優しさ……。さすがは、神!!」


 ピコピコハンマーを発明した人は神に匹敵するようです。


「我が友アレルよ。このハンマーはどこで売っているものなのだ? 武器屋で売ってるところなど見たこともないが」

「そりゃ、おもちゃ屋で……」


 言い出して慌てて口を閉じる。

 本当のこと言ったら、なんか怒りそうだ。


「ネ、ネットだよ、ネット」

「ネットか……。今では神の武器までネットで手に入るのだな」


 ネットは知っててなんでピコピコハンマーは知らないんだよ。

 そんな疑問をよそに、アキレウスは真剣な眼差しでピコピコと床を叩いている。


「すごいぞ、アレル! 少し叩くだけで“ピコピコ”と魔法のような音が出るぞ!」


 身長2メートルの大男がピコピコハンマーでおおはしゃぎ。

 ぶっちゃけ、ちょっとキモい……。


「ハッ! そうか、この音でモンスターが消滅するのだな!」


 それはない。

 そんな機能があったらオレはあげない。


「ふふふ、覚悟するがよい、魔王よ! この勇者アキレウス。伝説の武器ピコピコハンマーで必ずやうち滅ぼしてくれよう!」


 アキレウスは、ピコピコハンマーを掲げ、高々と宣言した。

 気に入ってくれてなによりだ。




つづく




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