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第7話 ドリンクバー

「黒瀬ー、一緒に帰ろうぜ。」


声をかけてきたのは、中学からの同級生で、今も同じクラスの池田だった。池田はどちらかと言えば陰キャ寄りだが、意外にも誰とでも抵抗なく話せるハイスペック陰キャだ。


「黒瀬、お前、今日すごい注目浴びてたよなー。」


「ああ。実は昨日、山岸さんと下校時間が被って、気が付いたらお茶しようみたいな話になってて、でLINE交換して…」と、俺は山岸さんに迷惑がかからない範囲で事情を説明した。


「ふーん、なるほどね。で、寝坊して遅刻したお前を山岸さんが庇ってくれた…ってことか。なあ、それってお前のこと好きなんじゃね?」


俺は自分でも認識できるぐらい、じわじわと顔が赤くなっていくのが分かった。「ば…馬鹿言うなよ!俺みたいな陰キャが山岸さんに好かれるわけないだろ!!!」


「うん、100%ないだろうな。冗談で言った。」


池田の冷静さが余計に恥ずかしさを加速させる。「でもさ、実際に陰キャのお前が山岸さんきっかけにクラスに馴染めたのは良かったよなー。」


「それは、確かにそうなんだよな。別に高校デビューとかは狙ってないけど、友達少ない俺としてはありがたい。」


その時、携帯が鳴った。


ピロリン(通知音)


「お!噂をすれば山岸さんか?」


「茶化すなよ!」


そう言いながらも俺は少し期待していた。携帯のロックを解除し、内心ワクワクしながらLINEを開いた。手が震える。


「誰だった?山岸さんか!?」


…俺は大きく深呼吸をし、気持ちを落ち着かせた。「いや、母親だったわ…」


「おかーんwww」


流石にこのタイミングで母親からのLINEは笑うしかなかった。「で、何だって?」


「いや、なんか今日は友達と外で夜ご飯食べることになったのと、親父も帰り遅いから適当に夜ご飯済ませてくれって。」


「お!じゃあ、帰りに何か食べて帰ろうぜ!」


歩くこと20分、俺たちは学校近くのファミレスに移動した。時間は16時前、少し早めの晩御飯だ。


俺はミートドリアと香味チキン、池田はとんかつ御膳、あとはドリンクバー2つを注文した。


「でも、何でお前だったんだろ?」


「ん?」


「いや、さっきの話だと下校時間が被って一緒に帰ったんだろ?極端に遅い時間じゃない限り、他にも帰ってるやついただろうし、山岸さんぐらい人気があれば、帰る人なんていくらでもいたと思わないか?」


確かにその通りだ。ただ、今回の経緯を伝えるにあたって俺は手紙の話や体育館裏に呼び出されたことは池田に話していない。それは山岸さんとの約束でもあるし、言えない。


「確かにそうだけど…なんて言うか、その場の雰囲気?ノリ的な感じじゃないかな。そうじゃなければ、俺が声をかけられる理由が見当たらない。」


「お前、それ自分で言ってて悲しくない?」


「うるせえ!」


そんなくだらないやり取りをしていると、注文した料理が運ばれてきた。


「ご注文の商品はこちらでお揃いでしょうか?」


「はい。」


「それではごゆっくりどうぞ!」


心なしかファミレスのバイトの子が頬を赤らめ照れている気がした。


「池田ー、なんか今のバイトの子、照れてなかった?」


「あー、そのあれだ…あいつ、俺の彼女。」


「えーーーーっ!」


俺は耳を疑った。ハイスペックとは言え、陰キャの池田に彼女…中学時代からの親友に彼女がいたことすら気が付かなかったなんて。


「ってか、どこで知り合ったの?」


「いやいや、どこって隣のクラスの同級生だよ。」


俺が池田の彼女の方に目を向けると、彼女は池田に小さく手を振っていた。この幸せ者め!!


「羨ましい奴め…」


俺はテーブルに突っ伏せ、冷たい眼差しを池田に向けた。


「怒んなって!w別に隠すつもりなかったんだって!」


「ふーん、別にいいけどさー。ってか、あの子ちっちゃくね?」


「150cmないって言ってたな。俺もそんなに背高くない方だから、むしろ助かってる!」


あー、駄目だ。池田の笑顔が俺には眩しすぎる。こいつは陰キャを脱出したに違いない。


その後も池田と話は続き、気が付けば時間は18時を回っていた。


「そろそろ行くか!」


「だな。」


俺たちはファミレスを出て、その場で解散した。


帰っている途中、後ろからこちらに向かって走ってくる足音が聞こえた。


「すみませーん!」


俺は立ち止まり、声のする方を振り返った。すると、そこには池田の彼女がいた。


「あ、君はさっきの、えっと、池田の彼女…だよね?」


「あ、はい。そうです。突然すみません!」


彼女は息を切らしていた。かなり急いで追いかけてきたのだろう。


「で、俺に何か?」


「あの、さっきお店にいた時、黒瀬さんのことをずーっと睨んでいる女の人が居たんです。余計なことかとは思ったんですが、彼氏の友達ですし、心配だったのでお伝えしておいたほうがいいと思いまして。」


俺はこの話を聞いて背筋が凍った。もちろん思い当たる人物なんかいるわけもなく、見当も付かない。


「ちなみにどんな人だった?」


「はい、黒髪でセミロングの眼鏡をかけた方でした。同じ制服だったので、おそらく同じ学校の方だとは思いますが私は面識ない方でした。」


黒髪セミロングで眼鏡…か、もしかしたら山岸さんかなとも思ったけど、似ても似つかないな。


「教えてくれてありがとう!警戒しておくよ!」


「いえ…彼氏の大事なお友達なので。。」


いい子だなー。池田が好きになるのも納得だ。


「もう暗くなってきたから帰り気を付けて、もし心配なら池田に連絡して迎えに来てもらうといいよ。」


「はい、ありがとうございます!」


俺は彼女が戻るのを見届け、帰宅した。睨んでた女…一体、誰なんだろう。

初投稿の作品になります。

社会人をやりながらの投稿なので不定期になりますが、最後まで書き上げられるように頑張ります。


いつかは書籍化やアニメ化なんて夢も見ていますが、素人なので温かいご意見だけでなく、厳しい意見もいただけると嬉しいです!


オリジナル作品ではありますが、その時に見ている漫画やアニメに影響されてしまうこともあると思います。すみません…


これから一生懸命書いていくので、読んでみて少しでも続きが気になったらブックマークや評価をお願いします!

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