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第37話 ひみつ

夏休みも終盤。


まだまだ暑い日は続いていた。


今日は8月19日。


山岸さんが秘密と言って予定を教えてくれなかった日。


昨晩、山岸さんから連絡があり、明日の15時になったら家に来て欲しいと言われ、俺は今山岸さんの家に向かっている。


何だかんだで山岸さんを送ることが増えていたので家までの道のりは完全に把握していた。


5分前だったが山岸さんの家に到着し、俺はチャイムを鳴らした。


ピーンポーン…


「はーい!」


と家の中から山岸さんの声と階段を駆け降りる音が聞こえてきた。玄関のドアが開き、そこにいたのは淡いピンク色の浴衣を身に纏った山岸さんの姿だった。


「ど、どうかな…?」


山岸さんの透き通る白い肌とサラサラな金色の髪は浴衣に負けないくらい美しく華やかだった。


「すごい似合ってるよ!」


「ありがとう☆とりあえず入って!」


俺は山岸さんに言われるがままに家に入り、そのまま山岸さんの部屋に向かった。


部屋に入ると山岸さんは何かを用意し始めた。


「はい!これ悠真の!」


渡されたのは甚平だった。


俺はようやく理解した。今日の予定は夏祭りだと。


「これ、どうしたの?」


明らかに新品の甚平だったので、少し気になってしまった。


「えーっと…買ってきたw」


「それはさすがに悪いよ!いくらだった?」


「あー!あー!聞こえなーい!」


山岸さんは両手で耳を塞いで聞く耳を持たなかった。


仕方ない、お祭りで好きなものをたくさん食べてもらおう。


用意してもらった甚平に袖を通すと、サイズはちょうどだった。


「悠真めっちゃ似合う!やっぱり日本人は黒髪が一番だね!」


俺は思わず山岸さんの髪の毛を凝視してしまった…


「あ、私はーほら…ね!金髪がデフォというか…」


「別に俺、何も言ってないよ!」


と、そんなくだらないことで笑い合っていた。


時計を見ると16時半を回っていた。


「そろそろ行ってみよっか!」


「そうだね。」


俺たちはお祭りがやっている天宮神社に向かった。


神社は想像以上の人だかりだった。


歩くのもやっとで全然前に進まない。


これは知り合いがいても気が付けないだろうな。


少し進み開けたところに出ると、多少スペースに余裕ができた。


「すごい人混みだね!」


「うん☆でも超楽しいー!」


楽しそうで良かった。


辺りを見回すと色々なお店が並んでいた。


たこ焼き、焼きそば、じゃがバター


それから、わたあめにフランクフルトもある。


「山岸さん、何か食べたいものある?」


「たこ焼き!あと、りんご飴も食べたい☆」


りんご飴あるのかな?


俺は背伸びをして遠く方の屋台に目を向けた。


奥の方にりんご飴の看板を見つけた。


「あった!そうしたら買ってくるから、あそこのベンチで待っててくれる?」


「ありがとう☆気を付けてね!」


俺はりんご飴の屋台を目指した。


意外とあっさり辿り着き、りんご飴が買えた。


あとはたこ焼きか。


たこ焼きはメジャーなだけあって、複数の屋台が出ている。


一番人気の屋台はかなり行列ができていて、しばらく買えそうにもなかったので、二番人気の屋台でたこ焼きを購入した。


急いで戻ると山岸さんはベンチに座って待っていたが、知らない男の人、2人に囲まれているようだった。


よく見ると山岸さんは困った表情をしていた。


俺は急いで山岸さんのところに駆け寄った。


「山岸さん!大丈夫?」


「あ、悠真!何か知らない人に声かけられちゃって…」


明らかにナンパだった。


「あれー?彼氏登場?」


「ちげーだろ!山岸さんって呼んでたしw」


見た感じ大学生ってところだろうか。


「ってか、山岸ちゃんって言うんだー!俺らと一緒に遊ぼうよ!」


そう言いながら山岸さんの手を掴んだ。


「やめてください!!私、今日は彼と来てるんで!」


山岸さんはすかさず掴まれた手を振り解いた。


「怒った顔も可愛いじゃーん!」


まるで子どもを相手にするような態度だった。


「あ、あの、彼女が嫌がってるんでやめてもらえますか?」


「は?お友達君は黙ってろよw」


ですよね。俺が何言ったって大学生相手に敵うわけないなんて分かってるんですけど、それでもここは引けない。


「嫌です!彼女は俺と来たいって言ってくれたんです。だから、何があっても譲るわけにはいかないんです!」


「うわー、マジかよ。引くわー」


「何か、そういうの怠いしもういいわ…」


思ってた感じとだいぶ違ったけど結果的に大学生はその場から離れていった。


「悠真、ありがとう…」


「いや、なんか最後、気持ち悪がられた気がするし…」


「そんな事ない!必死に守ってくれた悠真、カッコよかったよ!」


山岸さんがそう思ってくれるなら、それで良いと思った。


正直、めちゃくちゃ怖かったけど勇気出して良かった。


「あ!りんご飴とたこ焼き買ってきたから食べよ!」


「うん☆ありがとう!」


俺たちは夏祭りの賑やかな雰囲気と香ばしい鉄板の香りを堪能しながら、そのひと時を楽しんだ。


「山岸さん、他に見たいものある?」


「うーん…そうだ!金魚掬い勝負しない?」


「いいね!やろう!」


俺たちは食べたゴミを捨てて、金魚掬いのお店を探し並んだ。


「負けないぞー☆」


山岸さんは何故か気合十分だった。


そんなに自信あるのかな…


俺はあまり得意じゃないから気迫だけで圧倒された。


結果は俺が6匹で山岸さんは1匹だった。


さっきの気迫は何だったんだろう。


「悠真うますぎ!ずるい!!」


掬った金魚は買う場所もないので店のおじさんに説明して、返し、その後も二人で屋台を見て回った。


その時、アナウンスが流れた。


(間もなく、天宮神社夏祭りのフィナーレを飾る、花火が打ち上がります。)


「山岸さん!花火だって!」


「うん☆楽しみだね!」


10カウントが始まった。


10・9・8・7…


お祭りに来ている人も屋台を出してる人も全員が空を見上げている。


6・5・4


今日、山岸さんに誘ってもらえて本当に良かった。


3・2・1…


0カウントの瞬間、空を埋め尽くす無数の花火が鮮やかに咲き誇った。


花火は盛大な盛り上がりを見せ、その場にいた全ての人を魅了していた。


花火に照らされた山岸さんの横顔はキラキラと輝いていて花火に負けないぐらい綺麗だった。


花火によるフィナーレは20分ほど続いた。


全てが打ち上がると真っ暗な空には花火の煙だけが残り、何だか切ない気持ちになった。


「山岸さん、今日は誘ってくれてありがとう!すごく楽しかったよ。」


「私も!来年も一緒に来よ☆」


「もちろん!」


俺は山岸さんを送るために、もう一度手を繋いで山岸さんの家まで歩き出した。


真夏の夜の夢はこうして終わりを迎えた。

初投稿の作品になります。

社会人をやりながらの投稿なので不定期になりますが、最後まで書き上げられるように頑張ります。


いつかは書籍化やアニメ化なんて夢も見ていますが、素人なので温かいご意見だけでなく、厳しい意見もいただけると嬉しいです!


オリジナル作品ではありますが、その時に見ている漫画やアニメに影響されてしまうこともあると思います。すみません…


これから一生懸命書いていくので、読んでみて少しでも続きが気になったらブックマークや評価をお願いします!

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