第24話 続・勉強会(前編)
俺は今、自分の部屋に居る。
そして、テーブルを挟んで正面には山岸さんが座っている。
なんだ、ただのデジャヴュか…
って、そんなことある訳がない。
そう、これは紛れもなく二日連続で同じ状況が起こっている。
「えっと…悠真、、今日もよろしくね!」
遡ること数時間前
「池田君、彼女さんの体調大丈夫?」
「あー、山岸さん、おはよう!えーっと…彼女、、、ね!うん大丈夫だよ!もう元気になって今日も学校に来てるよ!」
池田は俺の方を睨みつけた。
そうだ、咄嗟についた嘘を池田に伝えてなかった。
俺はジェスチャーでごめんと謝った。
「そっか!それなら良かった☆」
山岸さんって誰に対してもあんな感じで話すんだな。
わかってはいても少しだけ嫉妬してしまう。
「でも、まだ安静にしなきゃだよね?」
「うーん、まあそうだね。」
「りょ!また元気になったら勉強会しようね☆」
山岸さんは池田との会話を終えると俺のところに近寄ってきた。
「今の会話聞こえてたー?」
「うん、聞いてたよ。」
あんだけ大きい声で話してたら、たぶん俺だけじゃなくて全員聞こえてると思う。
「なら話早いね!今日も学校終わったら、悠真の家に行ってもいい?」
「え!あー、うん…大丈夫だけど。」
山岸さんは俺との勉強会を隠す気がないようだった。
「りょ!じゃあ、今日は一緒に帰ろ!」
と言うわけで、今日も俺の部屋に山岸さんが居る。
「美羽ちゃん、いらっしゃい!」
「お邪魔してます!昨日はありがとうございました。」
「いいのよー、今日も食べてく?」
なんだか、山岸さんと母親の距離が近くなっている。
「ありがとうございます。でも、今日は夜用事があって。」
「あら、そうなのね!じゃあ、また次の機会にでも。」
そう言うと、母親はお茶とお菓子を置いて部屋から出て行った。
「じゃあ、始めようか。今日は英語だね。」
「はい!先生よろしくお願いします!」
と山岸さんは冗談っぽく返事をした。
「とりあえず英単語は暗記科目同様に覚えるのが一番早いから頑張って覚えよう。」
「うーん。やっぱり英語は苦手だなー。」
そういうと、山岸さんは立ち上がり俺の部屋を物色し始めた。
「悠真って綺麗好きだよねー。男子の部屋ってなんとなくもっと散らかってるイメージだったけど、なんて言うんだろう…すごくいい匂いがする!」
「そうかな。普通だと思うけど。他の男子の部屋ってもっと散らかってるの?」
俺は純粋に気になって山岸さんに尋ねた。
「どうなんだろう。私、男子の部屋に入ったのって悠真が初めてだからよく分かんないや☆」
え?今何て…俺の部屋が初めてって言ったか?
俺は自分の耳を疑った。
「意外だった?私さー、こんな感じだから彼氏はすぐできる方だし、友達も多いけど男子の家に行く機会がないというか避けてたから!」
「そうなの?」
「うん、悠真に話すのも変だけど年頃の男子って、やっぱりそういう事求めてくるじゃん?なんていうか私的にはそういうのって、ちゃんとしたいというか…ごめん!私、何言ってるんだろうねw」
俺は山岸さんの突然のカミングアウトで顔が真っ赤になってしまった。
「あの、じゃあ、俺の部屋に来るのも駄目なんじゃ…」
「え?だって、悠真ってそういう事しなさそうだし☆今だって話してるだけで顔真っ赤じゃんwあとは安全というか信頼してるから!」
山岸さんは俺のことそういう風に見てるのか。
確かにそんな度胸はないし、言ってることも間違ってないけど男して見られてないと思うと少しだけ切なくなった。
「信頼されてるなら良かったよ。ほら、勉強するから座って!」
俺は自分の感情を抑え、山岸さんを呼び戻した。
よほど英語が苦手なのか昨日の数学ほど捗らずかなり苦戦をしているようだった。
それでも必死に勉強している山岸さんを見て、山岸さんのためにもっと力ななりたいと思った。
楽しい時間が経つのは早く気が付けば18時になっていた。
「今日、用事あるんだよね?そろそろ解散しよっか!」
「あー、もうこんな時間なんだ。今日もありがとね☆」
そう言いながら山岸さんは、きりの良いところまでノートをまとめ帰り支度を始めた。
「この後はどこか出かけるの?」
俺はなんとなく気になって無意識に聞いてしまった。
「ん?家に帰るよ☆あー、用事のこと?今日、留守番頼まれててさー。でも帰ってもちゃんと勉強するから大丈夫!!」
それを聞いて、心の靄が取れた気がした。
「あ、そうなんだ。今日も暗くなっちゃったし駅まで送るよ。」
「うん!ありがとう!」
こうして、俺は今日も山岸さんを送ることになった。
初投稿の作品になります。
社会人をやりながらの投稿なので不定期になりますが、最後まで書き上げられるように頑張ります。
いつかは書籍化やアニメ化なんて夢も見ていますが、素人なので温かいご意見だけでなく、厳しい意見もいただけると嬉しいです!
オリジナル作品ではありますが、その時に見ている漫画やアニメに影響されてしまうこともあると思います。すみません…
これから一生懸命書いていくので、読んでみて少しでも続きが気になったらブックマークや評価をお願いします!