第20.5話 変わる季節の中で 《番外編》
今回は第二十話の投稿を記念して、芹沢さん視点のストーリーを投稿させていただきます。
本編はまだまだ序章ですが、引き続き皆さんに興味を持ってもらえるような内容にしていきたいと思っています!
今後とも「陰キャの俺が成り行きでギャルに告られたので報告します!」をよろしくお願いします!
私の名前は芹沢茜。旧姓、白鳥。
元々はギャルでいつも学校では騒がしかったと思う。
髪の毛を染めてネイルも派手、スカートの丈もギリギリまで短くしたりして好き放題やってた。
そんな私の楽しかった学校生活は親の離婚で変わってしまった。
中学二年生の夏休み前、両親の離婚で私はお母さんに引き取られることになった。
離婚の原因は何となく察しはついたけど、直接は教えてもらえなかった。
中学生の私はすぐなら受け止めることができず、夏休みを境に学校に行くのを辞めてしまった。
私は部屋に篭ることが増え、一日のほとんどを自分の部屋で過ごすようになった。
そのまま時は過ぎて、気が付けば三年生の冬になっていた。
私はお母さんに話があると言われ、久々に長い会話をした。
「茜、辛い思いをさせてしまって本当にごめんなさい。」
「いいよ。お母さんが悪いわけじゃないし。」
久々の会話はこんな感じから始まった。
30分ほど会話をした後、今後について聞かれた。
「茜はこれからどうしていきたい?母さんとしてはせめて高校へは進学してほしいと思ってる。」
私は正直、イラっとした。
誰のせいで学校に行けなくなったのか口では謝っていても結局、理解してくれてないんだなと思った。
でも、ここまで育ててくれたお母さんに感謝もしてる。
「わかった。高校には行く。中学にも通えるように頑張ってみるから少し時間ちょうだい。」
そう伝えると私は部屋に戻った。
私は学校に戻る為にどうすればいいか悩んだ。
色々と考えたけど、辿り着いたのは過去の自分と決別することだった。
翌日、私は美容室に行き伸び切った髪を短くし、色も黒く染めた。今まではコンタクトを入れてたが、それもやめて眼鏡にした。
見た目を変えたところで過去を変えられないのは分かっていたけど、今までのように接してくる人は減ると思った。
とにかく今はあまり人と関わりたくない。
翌週、私は1年半ぶりに登校した。
思った通り、私だと気が付いても声をかけてくる人はほとんど居なかった。
そこから私の中学生活は再開し何事もなく卒業式を迎えた。
…はずだったのに、高校に入学するとクラスに同じ中学の男子生徒が2人も居た。
池田君と黒瀬君だった。
直接、話したことはなかったけど私にとって都合が悪かった。
最初は様子を見ていた。
何もなければ必要以上に関わる必要がないと思っていたから。
でも、7月に入って状況は一変した。
黒瀬君が山岸さんと交流を持ち始めた。
私が体調を崩して保健室で寝ていた時に黒瀬君と山岸さんが入ってきて楽しそうに話していた。
私はかなり焦った。
もし、黒瀬君が私の過去を知っていたとして、それを山岸さんに伝えてしまったら…と。
その日の帰り道、たまたま黒瀬君と池田君が寄り道するところを目撃して、後をつけた。
二人は学校の近くにあるファミレスに入って行った。
私は二人の死角になる席に座った。
今思えば不審だったと思う。
二人がお店を出たタイミングを見計らって、私も店を出て帰宅した。
翌日、学校に行くと黒瀬君が私の方をじっと見てきた。
この時、私は昨日のことがバレていると悟った。
下校時間、私は自分から黒瀬君に接触した。
「黒瀬君!」
私は黒瀬君が振り返り話し始める前に謝った。
「ごめんなさい!!」
黒瀬君は少し戸惑っている様子だった。
私は気まずい気持ちを押し潰して、今まで自分にあったことや過去のことを口外しないで欲しいと伝えた。
すると黒瀬君から意外な返事が返ってきた。
「大丈夫!絶対に言わないよ。状況は違うかもしれないけど、俺もここ数日で学校での生活が一気に変わって混乱してるんだ。陰キャだった俺が山岸さんや長谷と関わるなんて思ってなかったし…」
私は黒瀬君の言葉に思わず笑ってしまった。
「だから絶対に言わない!環境が変わることって想像以上に大変だし不安だと思う。芹沢さんが自分で決めて選んだなら、俺はその邪魔をしないよ。だから安心して。」
私は久々に人の優しさに触れた気がした。
もっと早く黒瀬君と知り合ってたら私の人生、少しは違ってたのかな…そんなことを考えながら私は家に帰った。
夜ごはんを食べてお風呂から出た後、私はベッドの上でぼーっとしていた。
「はぁ、、黒瀬君、か…弱ってる女の子にあんなに優しくしたら駄目だよ。ばか…」
この時、私は黒瀬君を好きになっていると気が付いた。
日曜日、気分転換に天宮駅のショッピングモールへ行った。
目的がある訳でもなく、色んな店をなんとなく見て歩いた。
その時、偶然にも黒瀬君を見かけた。
私は咄嗟に声を掛けた。
「黒瀬君…だよね?」
私の声に気付いて黒瀬君が振り返った。
私はこんな偶然あるんだと思って嬉しくなった。
でも、そんなのは一瞬だった。
だって、黒瀬君の隣には山岸さんが居たから…
そっか、この二人は付き合ってるんだ。
そう思うと辛くなり、私は走ってその場から立ち去るしかなかった。
気分転換どころか最悪な気分だった。
家に帰っても、二人のことが頭から離れずにいた。
どうして、隣が私じゃないんだろう。
翌朝は学校に行く気になれず、目は覚めていたがベッドから出ずに携帯を触っていた。
「茜ー!学校遅れるわよ!」
お母さんの声でようやく私は起き上がり支度を始めた。
結局学校に着いたのは二時間目が終わる頃だった。
私は誰からも心配されないし、遅刻について声をかけてきたのも先生だけだった。
授業が終わり帰る途中、黒瀬君を見かけた。
どうせ付き合えないなら気持ちだけ伝えよっかな。
そう思って私は黒瀬君に声をかけた。
「あの、黒瀬君ちょっといい?」
黒瀬君は少し警戒しているようにも見えた。
「あのさ、黒瀬君は山岸さんと付き合ってるの?」
否定はしてたけど明らかに動揺しているように感じた。
「そっか。じゃあ、質問変えるね。黒瀬君は山岸さんが好きなの?」
黒瀬君は困っている様子だった。
そっか、それは否定しないんだ。
私は黒瀬君は山岸さんが好きなんだと確信した。
「ごめん。やっぱり答えなくていい。ただ、私の気持ちだけ伝えさせて。」
「私、黒瀬君が好きなの。返事も要らないし迷惑はかけない!ただ、気持ちだけはどうしても言いたくて。」
私は一方的に気持ちを伝えて、その場を立ち去った。
こんなんじゃ、余計に嫌われちゃうよね。
分かっていても気持ちだけは伝えたかった。
こうして私の高校生活、初めての恋は終わりを告げた。
そして、私は一晩中、泣いた。
初投稿の作品になります。
社会人をやりながらの投稿なので不定期になりますが、最後まで書き上げられるように頑張ります。
いつかは書籍化やアニメ化なんて夢も見ていますが、素人なので温かいご意見だけでなく、厳しい意見もいただけると嬉しいです!
オリジナル作品ではありますが、その時に見ている漫画やアニメに影響されてしまうこともあると思います。すみません…
これから一生懸命書いていくので、読んでみて少しでも続きが気になったらブックマークや評価をお願いします!