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第16話 デート当日(後編)

着いた場所はハンバーガーショップ『PuruPuru』…初めて聞く名前だな。


「わー!凄い!このお店、原宿にしかなかったんだけど最近できたって聞いて来たかったんだ!ハンバーガーショップなのにタピオカも飲めるんだよ☆」


「そうなんだ。それは楽しみだね!俺もワクワクしてきた。」


通りで混んでいるわけだ。他にもお店はたくさんあるのに、ここだけかなり行列ができている。


「ちょっと待ちそうだけど大丈夫?」


「俺は平気だよ。」


思いのほか列はスムーズに進み、15分ぐらいでお店に入れた。


「ご注文お伺いします!」


「えーと、私はPuruPuruバーガーセットで飲み物は黒糖きな粉タピオカで!悠真はどーする?」


「あ、えっと、俺は同じセットで飲み物は普通のタピオカミルクティーで。」


「はい、かしこまりましたー。お会計は2,110円になります!」


俺はここぞとばかりに声を張り上げた。


「や、山岸さん!ここは俺に出させて!」


「え!そんなの悪いよー。」


山岸さんは少し申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「その、ほら、今日は服を選んでもらったしさ!」


「うーん、悠真がそう言うならご馳走になろうかな!ありがとう☆」


その後、注文したハンバーガーを受け取り、席に向かった。


店内は混んでいて、カウンター席しか空いていなかったが、むしろ向き合ってたら直視できなかっただろうし、内心助かった…とその時は思った。


カウンター席に座ると、山岸さんは椅子を寄せてきた。ゼロ距離どころか、むしろ肩がぶつかってるし、俺は思考が停止した。


「あ、あの…ちょっと、距離、ち、近すぎない?」


「えー、そう?だって、この方が話しやすいじゃん!嫌…?」


なんだこれ。可愛すぎる!他意はないのは分かっているけど、自分の気持ちに気付いてしまった俺にとっては、嬉しい気持ちと少し辛い気持ちが混ざったような複雑な気持ちだった。


「あ、あの、嫌じゃないけど、緊張しちゃって…」


「あははw悠真らしいね!でも嫌じゃないなら、良かった!食べよっか!」


山岸さんは、ハンバーガーの包みを取って、幸せそうに食べ始めた。


「んーーーー!超おいしい!!悠真も食べてみて!」


俺も自分のハンバーガーを一口頬張った。


「うん!美味しい!!」


本当に美味しかった。いつも食べてるハンバーガーとは全然違う!よく見ると、間にパイナップルが挟まってるし、お洒落すぎだろ。そんな俺を見て、山岸さんは隣で笑っていた。


「タピオカも美味しいから飲んでみて!」


実は俺はこれが初めてのタピオカだった。一口飲むと、口の中にタピオカが飛び込んできた。


「美味しい!」


濃い目のミルクティーと一緒にもちもちしたタピオカが口に入ってきて、不思議な触感だ。ハンバーガーとの相性も良くて、これがハマる理由がよくわかった。


「でしょ!気に入ってくれて良かった。あ!悠真のタピオカ飲んでもいい?」


そう言うと、山岸さんは俺のタピオカを手に取った。そして、山岸さんはタピオカを飲んだ。


「こっちも美味しいー!マジ幸せ!」


俺の手元に戻ってきたタピオカのストローには山岸さんのリップが残っていた。俺はそれをじっと見つめていた。


「ん?悠真どうかしたの?あ!ごめん。リップついちゃったね。」


「あ、えっと、その大丈夫だよ!」


俺は恥ずかしさを隠すためにタピオカを飲んだ。その瞬間…


「間接キスだね!w」


なんて山岸さんが言うもんだから、俺は咳きこんでしまった。あまりにも不意打ち過ぎる。


「あ、その、えっと…」


「そ、そんなに照れないでよ!私まで恥ずかしいじゃん!!」


山岸さんは下を向き、頬を赤く染めていた。


そして、俺たちは食事を終えて店を後にした。


「悠真はどこか行きたいところある?」


「え、あの、そうしたら、ゲームセンターとか…かな。」


「いいね!ゲーセン☆行こうよ!」


山岸さんが乗り気になってくれて良かった。


「ってか、悠真がゲーセンって超意外なんだけど!普段から行くの?」


「いや、そんなだけど、昔からUFOキャッチャーが得意で、暇な時に行くぐらいで…」


「えー!じゃあ、景品取ってもらおうかな☆」


山岸さんの楽しそうな顔を見るだけで元気がもらえる気がした。なんとしても、山岸さんに景品を取ってあげたい!


ゲームセンターに到着すると、山岸さんは目をキラキラさせていた!


「悠真、見て!わらびっとのぬいぐるみがある!超可愛いんだけどー☆…これ取れる?」


「あ、うん、頑張ってみる!」


俺は大きく深呼吸をして、お金を入れた。山岸さんの期待する視線で緊張が高まる中、俺は集中した。


前後左右を1ミリ単位で調整し位置を決めると、俺は手元のボタンを押した。するとクレーンが下がり、見事にぬいぐるみを掴んだ!


「やったぁ!!」


思わず声が出てしまった。目の前で笑顔を浮かべる山岸さんの姿にドキドキが止まらなかった。


そして、アームは持ち上がりぬいぐるみを降下口へと運んだ。


「わーすごい☆超嬉しいー!ありがとう!!」


「取れて良かった!はい、これどうぞ!」


俺は山岸さんにわらびっとのぬいぐるみを渡した。

その時、何か感じるものがあったが、それが何かまでは分からなかった。


「本当にありがとう、悠真!」と言いながら、ハグを求めるように近づく山岸さん。俺は何も考えられず、ただ受け入れた。


山岸さんの香りがして、まるで夢の中にいるようだった。

心臓が高鳴って、さっきまでの気持ちが一気に押し寄せた。


その後、目的もなく話をしながらショッピングモールを見て回った。


「そろそろ行こっか!」


「うん、そうだね。」


俺たちは駅まで一緒に歩いた。楽しかった分、余計に虚しさと切なさが込み上げてくる。これは俺にとって最後になるかもしれないイベントだと思うと、余計に辛かった。


そんなことを考えながら歩いていると、あっという間に駅に着いてしまった。


「今日はありがとう!」


「う、うん。こちらこそありがとう。」


「すごく楽しかったね☆」


駄目だ、泣きそうになる。


「う、うん…」


「なんか元気ない?」


山岸さんに悟られちゃダメだ。楽しかった思い出で終わらせないと。


「そ、そんなこと…元気だよ!」


もう本当に無理だ。何て言うか、告白してないのに振られた気持ちだ。


「そっか!ならまた行こうね☆」


「へ?」


俺は思わず変な声を出してしまった。


「何、その反応wウケるんだけどw」


「いや、まさか次があるとは思ってなくて。」


「何それw楽しかったなら行けばよくない?」


山岸さんからの思わぬ誘いで、俺は違う意味で泣きそうになった。情緒が不安定過ぎる。


「とにかく今日は超楽しかったよ!ぬいぐるみもありがとう☆大切にするね!」


「俺も楽しかった。ありがとう!」


そして、名残惜しさを感じながら、俺たちは解散した。

初投稿の作品になります。

社会人をやりながらの投稿なので不定期になりますが、最後まで書き上げられるように頑張ります。


いつかは書籍化やアニメ化なんて夢も見ていますが、素人なので温かいご意見だけでなく、厳しい意見もいただけると嬉しいです!


オリジナル作品ではありますが、その時に見ている漫画やアニメに影響されてしまうこともあると思います。すみません…


これから一生懸命書いていくので、読んでみて少しでも続きが気になったらブックマークや評価をお願いします!

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