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第11話 デート前々日(後編)

俺は、ファミレスに居た女子が芹沢だと確認し、少しだけ安心した。相手が誰か分かれば対処のしようもある。


帰り道、俺は携帯でお洒落について調べながら歩いていた。服を買いに行くための服選びって、本末転倒だよな。


その時だった。


「黒瀬君!」


俺は後ろから誰かに呼び止められた。聞き覚えのある声に振り向くと、そこには芹沢さんがいた。


「あ、芹沢さん…こんにち」


俺が挨拶をしかけると、芹沢さんは被せるように謝ってきた。


「ごめんなさい!!」


「あ、えっと…」


俺が言葉を詰まらせていると、芹沢さんが重たい口を開いた。


「もう気付いてると思うけど、昨日はごめんなさい!」


「いや、あの、謝罪は良いんだけど…その、理由を聞かせてもらえるかな?」


芹沢は気まずそうな表情を浮かべながら話し始めた。


「本当にごめんなさい。黒瀬君は知らないかもしれないけど、私、昔はもっと派手な格好をしてたというか、どちらかと言えば、ギャルみたいな感じだったんだ。」


「あ、ごめん。俺、その時の芹沢さんの印象あまりないんだけど、今日、池田に聞いた。」


俺の言葉で芹沢さんは少しだけ肩の力が抜けた気がした。


「なーんだ、そっか!それなら隠す必要もないね。実はね、私の両親が離婚してさ、原因は些細なことだったと思うけど、子どもからすると結構きつかったんだよね。」


池田の言ってた通りだ。


「でさ、学校も休みがちになって、でも高校だけはってお母さんに言われちゃって、仕方なく三年の冬から通うようになった。でも一年以上も行ってないとお互いに気まずいというか、だったら誰とも関わらない方が楽かなって思って、思い切ったイメチェンをしたんだ。どうせ残り数ヶ月だったし…」


「そうだったんだ。でも、それと今回の件はどう関係してるの?」


事情は理解したが、どうしても今回の件との繋がりが見えなかった。


「で、高校に入ってみたら、同じ中学だった男子が二人もいるじゃん?流石にないとは思ったけど、なんだかんだ私も今のキャラで落ち着いてるから、過去をバラされたくなくてさ!」


なるほど。俺の中で点と点が線に繋がった。つまり、芹沢さんは今の学校生活に満足しているから、波風を立てたくないということだろう。


「いや、もちろん他言するつもりはないけど…何でこのタイミングだったのか聞いてもいい?」


「え、だって…山岸さんと仲良さそうだし、なんとなく昔の私と重ねちゃって、別に山岸さんのことが嫌いとかじゃなくて、昔ギャルだったって知ったら絶対に仲良くしようとしてくれるじゃん?今の私はまだ、それを受け止められる自信がない…」


俺は芹沢さんが思った以上に悩んで、辛い思いをして、頑張ってきたんだなと感じた。


「大丈夫!絶対に言わないよ。状況は違うかもしれないけど、俺もここ数日で学校での生活が一気に変わって混乱してるんだ。陰キャだった俺が山岸さんや長谷と関わるなんて思ってなかったし…」


「何それ!ウケる!」


始めて芹沢さんの笑った顔を見た気がする。


「だから絶対に言わない!環境が変わることって想像以上に大変だし不安だと思う。芹沢さんが自分で決めて選んだなら、俺はその邪魔をしないよ。だから安心して。」


「ありがとう。黒瀬君って優しいんだね!」


なんだろう、芹沢さんと話してる時はあまり緊張しないな。俺は噛まずに話せていることに気付いた。


「じゃ、あまり長く話してると目立つから、俺は行くね。」


「うん、ありがとう!もう付きまとわないから安心して!」


芹沢さんは、そう言うと今日一の笑顔を見せた。その後、別々に帰った。


「ただいまー。」


家に帰り、俺は手洗いうがいを済ませ、自分の部屋に行った。今日はそんなに疲れなかったが、寝不足がたたったのか体が怠い。


明日は土曜日で学校はないが、服を買って、美容室にも行って…やることは山積みだ。ってか、美容室って高いんだな。いつもは1,500円で切ってる髪も倍以上する。


お洒落って、金がかかるんだな…俺はベッドの上で携帯を触っていると、そのまま寝落ちしてしまった。


目を覚ましたのは19時頃。自分で起きたのか、親に起こされたのか記憶にないが、ちょうど夕食の時間だった。


リビングに向かうと、親父も帰ってきていた。今日の晩御飯は唐揚げとコブサラダ、みそ汁にお米だ。


「いただきます。」


最近は父親の仕事が忙しく、家族揃っての晩御飯は久々だった。


「悠真、学校生活はどうだ?」


「うん、楽しいよ。最近、友達も増えたし。」


「そっか、それなら良かった。」


口数の少ない親父だが、何だかんだ俺を気にかけてくれる。


その頃、芹沢さんの心境に変化があったなんて俺は気付くはずもなかった。


「はぁ、、黒瀬君、か…弱ってる女の子にあんなに優しくしたら駄目だよ。ばか…」

初投稿の作品になります。

社会人をやりながらの投稿なので不定期になりますが、最後まで書き上げられるように頑張ります。


いつかは書籍化やアニメ化なんて夢も見ていますが、素人なので温かいご意見だけでなく、厳しい意見もいただけると嬉しいです!


オリジナル作品ではありますが、その時に見ている漫画やアニメに影響されてしまうこともあると思います。すみません…


これから一生懸命書いていくので、読んでみて少しでも続きが気になったらブックマークや評価をお願いします!

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