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第10話 デート前々日(前編)

「黒瀬、おはよー」


教室に入ると最初に声をかけてきたのは池田だった。


おはよう、と一言だけ返し、俺は一番窓際の後ろから2番目に座っている女子の方に視線を向けた。


彼女の名前は芹沢茜。


俺が怪我をして保健室に行ったときに、たまたま体調を崩しベッドで寝ていた子だ。


普段は物静かで、誰かと話をしているところも見たことがない。どちらかと言えば俺と似ているのかもしれない。


そんな彼女が何故、俺のことを…まだ確定したわけではないが、可能性としては一番高い。


しばらく彼女の方を見ていると、一瞬目が合い、彼女はすぐに視線を外した。ますます怪しい。


「おう!黒瀬!昨日は悪かったな!もう怪我は大丈夫か?」


声をかけてきたのは長谷だった。朝から声が大きくて頭に響く。


「あ、うん。もう大丈夫だよ。心配かけてごめん。」


「おー、なら良かったぜ!」


そう言うと、長谷は教室を出て、どこかに行ってしまった。もうすぐホームルームが始まるのに、大丈夫かな?


次に声をかけて来たのは山岸さんだった。


「悠真おはよーっ!」


今日も変わりなくなにより。山岸さんはいつも明るくて元気だ。


「あ、おはよう!」


と返事を返す俺。


じーーーーっ


山岸さんが俺の顔を見つめて言った。


「ちゃんと寝てないでしょ?疲れてる!」


「え!あー、ちょっと夜更かしを…」


実はお洒落について携帯で調べていたら、気が付けば朝方の4時を回っていた。


そんなこと、山岸さんに言えるわけもなく…


「駄目だよー!ちゃんと寝ないと!」


「は、はい。」


「よろしい!w」


こんなやりとりも慣れてくると楽しく感じるものだ。今までに経験しなかった感覚、悪くないな。


「あ、芹沢さんおはよー!」


山岸さんが芹沢さんに声をかける。


「あ、おはようございます。」


「もう、具合は大丈夫?」


「はい。もう大丈夫です。」


あの二人が話しているのは、ってか、芹沢さんが誰かと話してるの初めて見た気がする。


「昨日、寝てたの知らなくて保健室で騒がしくしちゃってごめんね!」


「いえ、私の方こそ盗み聞きみたいになってしまって、ごめんなさい。」


なんか、思ってた感じと違うな。芹沢さん…別に嫌な感じしないし、もしかしたらファミレスの子は別人なのか?


「いいよいいよ!別に大した話はしてなかったし、悠真もそういうの気にしないと思うしさ!」


その瞬間、俺は嫌な予感がした。


気のせいかもしれないが、山岸さんが俺の名前を呼んだとき、芹沢さんの表情が少し曇った気がした。


会話はしばらく続いていたが、芹沢さんが笑うことはなかった。


俺は休み時間、池田に相談することにした。


「あのさ、昨日のファミレスに居た女子なんだけど、同じクラスの芹沢じゃないかと思うんだ。」


「芹沢?」


「ああ、うまく言えないけど、態度が変というか、ちょっと怪しいなと思って。」


流石に山岸さんが俺の名前を呼んだときっていうのは烏滸がましいと思い伏せた。


「まー、あいつの場合、中学の時から変な奴だったけど、流石にストーカーみたいなことすると思えないけどな。」


ん?中学の時って、どういうことだ。俺は混乱しつつも池田に聞いた。


「え、中学の時の芹沢さんを知ってんの?」


「は?何言ってんだよ。クラスは被ってないけど、お前もよく知ってんだろ!」


俺は余計に混乱した。地味とはいえ、同じ中学だったなら流石に覚えている。


「白鳥茜だよ。まあ、昔はもっと垢抜けてたし、中二の途中から学校来なくなって、中三の冬に戻ってきたら見た目も苗字も変わってたから、少し話題にもなったけど、結局誰も触れずにって感じだったよ…」


思い出した!白鳥茜。


それこそ、見た目は山岸さんみたいなギャルで、友達も多くて、誰からも慕われてるって感じだった。


クラスが違ったから、直接的な関わりはなかったけど、苗字が変わってるってことは、多分そういうことだよな。


それが原因で性格や見た目まで…深入りするつもりはないが、少し可哀想に感じてしまった。


「一応、咲には伝えておくから、分かったら連絡する。」


「うん、頼むよ。」


こうして、休み時間も終わり、授業が始まった。俺は不覚にも授業中に居眠りをしてしまい、恥をかいた。


今までこんなことなかったけど、それにすら笑ってくれる友達が増え始め、徐々に学校生活が楽しく感じるようになった。


放課後


「黒瀬、確認取れたぞ。お前の予想的中だ。」


「やっぱり…」


しかし、理由がわからない。中学時代に遡っても接点はなかったし、恨まれるようなことは絶対にしていない。


唯一、考えられることとしては保健室での会話?いやでも、別に聞かれて困るような話は何もなかったはずだし…


「まあ、ひとまず犯人が分かっただけでも前進だろ!」


「そうだな。ありがとう!」


真相は分からないけど、一旦様子を見ることにしよう。それよりも今は服装を考えないと…

初投稿の作品になります。

社会人をやりながらの投稿なので不定期になりますが、最後まで書き上げられるように頑張ります。


いつかは書籍化やアニメ化なんて夢も見ていますが、素人なので温かいご意見だけでなく、厳しい意見もいただけると嬉しいです!


オリジナル作品ではありますが、その時に見ている漫画やアニメに影響されてしまうこともあると思います。すみません…


これから一生懸命書いていくので、読んでみて少しでも続きが気になったらブックマークや評価をお願いします!

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