第4章 人間の魂
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クロムとアルフォの戦闘が始まる少し前、メラはサクラを抱えウィンディア王国に向かっていた。
ふー、急げ急げ…! 早く安全な場所に…! ん? この音…、やばいぜ! 近くに魔王軍がいやがる…
「o,pxmeifwx.o-^3918]\[:[:;-0^-¥¥1^1¥0¥! opqi2931.zp`O?p@-.p-[1AP?PQ¥!」
さっき出くわした隊より更にでかい! しかも王国に近づいてるぞ?! クロムに伝えたいけど…、今戻ったらあの魔人に殺されちゃうしな…
「ん…、はっ! ここは…? あっ、メラ! 今どーゆー状況?」
おっ、やったぜ! サクラがいればこいつらを倒せそうだ!
メラはサクラに今の状況を説明した。
「なるほどねー。じゃあ、やっちゃう? 私達、さっき結構調子良かったもんね! とっておきの能力もあるし!」
サクラとメラはやる気満々で魔王軍の目的地であるウィンディア王国に先回りするべく、猛ダッシュした。そして数分後、魔王軍の部隊が到着した。そしてメラとサクラは驚愕する。
「おや? どうやらお待ちかねだったようだね。ん? ていうかさっき逃げたドラゴンとスライムじゃ〜ん! まさか俺等を止めようとしてんの? 無理無理! だってさっきの俺は分身体だも〜ん! 分身体には4分の1にも満たない魔力しか与えてないんだ。驚いた?」
これにはもう驚きすぎて言葉が出ない。
私がやられたあの一撃は序の口だったってこと?! じゃあ今クロムが戦ってるのは足止め用の分身体!
は、早くクロムに知らせないと!
「貴様らが魔王軍か! お前たちの好きにはさせないぞぉ! 王国親衛騎団行くぞぉ!」
異変に気づいた王国側が、軍を動かしてきた。
おっ、いいタイミング! この人たちには悪いけど囮になってもらおう…
「メラ! こっち!」
王国軍と魔王軍がぶつかる一瞬の隙をついてサクラとメラはクロムのところへ走り出した。が、それを見逃すアルフォではなかった。
「待て、ここから先は行かせないよ」
殺気立った目で私達を見つめてくる。
ううっ、ここで怖気付いちゃだめ! あいつを殺す気で戦わないと私達がやられちゃう!
メラと目配せし、同時にかかる。
「やっ!!」
“腐食酸液弾”!!!
どんなものでも腐食させ、溶かす散弾がアルフォを襲う。アルフォはそれを軽々と避け、サクラに接近する。
おわっ! よけれんの?! ま、まずい…! “負荷軽減”!!!
「まず一人…!」
“滅光破拳”
光と音を置き去りにし、超高速の破壊の拳がサクラの腹に直撃する。
ドパァン!!!! ベチャッ!
「サクラッ!」
サクラはスライム状に変身しており、壁にぺったんこにへばりついていた。そしてサクラは、何事もなかったかのように体をまとめ、メラの近くに戻った。
説明しよう! サクラは、拳がぶつかる前に負荷軽減を使い、更に、飛ばされている間にスライムの形に戻り、ぶつかっても衝撃が吸収されるようにしたのだった。
「へぇ~! やるじゃ~ん! ほら、俺に本気を出させてよ!」
そう、アルフォが煽り散らかしてくる。
こいつと私との実力差はわかりきっている… だけど、今自分にできることをやるんだ! 前世でできなかった分もやりたいように…!
「言ってくれるわね! メラ、行くよ!」
メラは思う。
やっぱサクラはすげーな… あんなに強くて怖い相手にもビビらずに果敢に立ち向かってやがる… それに比べて俺は、ドラゴンのくせにこんなにチビで使える能力も少なくて… 俺も強くなってみんなの役に立ちたい!!!! こんなんで終わりたくないんだよ!!!!!
メラの強い思いに、龍の血が共鳴する。メラが赤く光だし、炎が漏れ、体の大きさも増してくる。
「グォオオオアァァァアッ!」
光が収まり、見るとそこには悠然と立つ、炎を纏いしドラゴンがいたのだった!
こ、これが俺? すっげー力が湧いてくる! これで役に立てるぜ!
「うえぇ?! メラ?! 何その変身、かっこよ!!」
「へへっ! じゃ、いっちょ行くぜ!」
そしてここから、メラとサクラの猛攻撃が始まる。互いに技がぶつからないよう注意し、戦いを進める。
――なかなかいいコンビネーションだ。でも、ちょっと鬱陶しくなってきたね…
「“超新星爆炎波”!!」
アルフォを中心に半径100km以上の範囲で星が誕生するかのような爆発の被害を受けた。
メラとサクラは同時にアルフォに近づいたタイミングで、爆発に巻き込まれたが、メラには“火系属性無効化”があったため、なんとか立ち上がれた、サクラもなんとか耐えたように見えるが、今にも倒れそうだった。
今の爆発で、王国の城壁の大半が崩れ、ギリギリで耐えていた王国軍の努力虚しく、次々と王国内に魔物が侵入してしまった。
「いやー、楽しかったよー! 次はもっと強くなって、もっと俺を楽しませとくれ! じゃ、ちょっと眠っろよ…」
アルフォはそう言ってメラとサクラに近づき、“麻痺睡眠魔法”を唱え、戦闘不能にした。
〜その1時間後〜
や、やっと着いた…、けど、なんだよこれ…! どうして、王国内が魔物に占拠されているんだ?! これが、奴の言っていた目的なのか…? とにかく、まだ生きてる人を助けないと!
と、焦る気持ちを抑え、冷静に事を対処するのが勇者!
「“電光石火・連”!!!」
電光石火・連はその名の通り、光速で相手を断ち切る能力、電光石火を連続で放つシンプルかつ、強力な技だ。
この技が実に便利で、全く疲労が出ないんだ。いや、まぁ魔力は消費するよ? 体力面の話ね。
そんなこんなで王国内の敵を殲滅することに成功。だが、住民たちの大半は僕が駆けつける前に亡くなっていた。
くっそ! 魔力消費のでかい超極能力なんか使わなければ! ん? この妖気は、メラとサクラ! だけど、かなり小さくなってる…!
妖気が小さくなっている、すなわち、生命の危機に瀕しているか、わざと小さくしているかの2択だ。僕は前者である可能性が高いとみて、“風足”で急ぐ。
妖気の発生場所に着き、見るとそこには、メラとサクラが倒れ伏していた。
「メラ! サクラ!」
僕は駆け寄り、回復薬をかけ治癒に当たる。回復薬の効き目は絶大で、メラとサクラはすぐに回復し、起き上がってきた。
「ふぁっ! ん? クロム!」
サクラが何があったかを説明してくれた。
魔王軍は多数の隊を引き連れて、ここウィンディア王国を攻めてきたらしい。そして、そこを指揮していたのがなんとアルフォで、最初は僕が負けたと思ったらしい。でも本当は、奴自身が分身したのと僕が戦っていて、今そこにいるアルフォが本物であることが明らかになり、メラとサクラは僕に伝えようと、抜け出そうとしたところ、アルフォに足止めされたしまい、今に至るという。
「なるほど、状況は掴めた。畜生! 僕がもっと早く気付いていれば!」
「あんまり自分を責めるなよな。クロム一人のせいじゃないし、悔しい気持ちはみんな一緒だ。だけど、今は冷静になろうぜ」
自分に対する怒りが止まらないが、メラの言う通り、ここは一度冷静になって次どうするかを考えなければならない。
今回の事の原因は、アルフォとの実戦経験の差だ。奴の方が一枚上をいく考え方をしている。これに関しては、脳内シュミレーションや、実戦で鍛えるしか方法は無い。
あと、魔王軍の目的は魔王復活のはず…、王国を攻めて人間を殺すことがなぜ必要なのか。これは憶測だけど、“人間の魂”がひつようだからだと思う。
よくあるじゃん、漫画やアニメでさ。魂で人間復活とか、契約とか。魂っていうものは使い勝手がいい代物なんだと思う。
この考えをメラとサクラに伝える。
「うん。確かに一理あるね。あいつらの目的が“人間の魂”を集めることなら、次はもっと大きな国に向かうはずよ!」
「俺もそう思うんだけど、なんか罠っぽくないか? 次はもっと大軍引き連れて俺たちもろとも殺すつもりかもだぜ…」
と、メラは言うがそれはあまり可能性は高くないと思う。
だって現に、メラとサクラは殺されていない。まぁ、あいつが戦闘狂なだけかもしれないけど。
「メラの言いたいこともわかる。が、結局のところ疑ってばかりじゃ先には進めない。罠だったら罠だったで無理やり突破してやるだけさ」
二人は僕の考えに賛成してくれた。さて、ここから近い国はっと…
能力、世界地図を使い、近くの国を調べる。
あった、カーゼ二アム…、自由国? 自由国ってことは、王様とかいないってことかな。ま、なんにせよ行きますか。
「次の目的地は“カーゼニアム自由国”!」
この先にどんな試練があろうとも、それを乗り越えていくのが勇者ってもんだ。違う?
いかがだったでしょうか?
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