第2章 街到着
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新たな仲間、ただのスライムじゃないサクラ、謎のドラゴン、メラが加わった勇者一行は旅支度のため、近くの街“タイフン”に向かっていた。
「クロムー、森を抜けそうだぞー」
上からメラが進行状況を報告してくる。
いやー、空飛べる仲間がいるのは実に良いね。それはそうと、街に着いたらメラとサクラを隠さなきゃだな… どうやって隠そうか… あっ、そうだ! サクラには“融合合体”があるんだった! このスキルを使えば…
「サクラ、ちょっとこっち来て」
僕はサクラをチョイチョイと招き寄せる。
「ん? どしたの?」
僕はサクラに状況を説明して、今からしてほしいことを伝える。
「…ってことだから、サクラの“融合合体”で僕の髪の毛を食べて、人間に変身できようにしてほしいんだ」
サクラはちょっと嫌そうだったが、了承してくれた。
僕は髪の毛を剣で切り、サクラに渡した。
「じゃ、じゃあ、いくよ? いただきます…」
サクラが髪の毛を食べると同時に、サクラの体が光り輝き、変形していった。
まぶしっ… ん…、お? おー! すごー! 人間になってる! あっ、やばっ、見ちゃだめだ! 早く、服! 服を着させないと!
光が収まり目を開けると、そこには金色の髪と、空のように澄んだ碧色の瞳を持つ美少女が立っていたのでありました! しかも真っ裸でありました! まぁ、スライムは無性だから何にもないツルツルなんだけどね。
「おー! 懐かしい人の感じ! やっほーい!」
と、サクラは嬉しさのあまり、飛び跳ねたり走ったりしている。
いやいや、やっほーい、じゃないから! 早くなんか着せないと! これだ!
「サクラ! 取り敢えず僕のマントを!」
僕はサクラに羽織っていたマントを渡し、服代わりにしてもらった。
よし、これで大丈夫。街に着いたらちゃんとした服を買おう。ん? 待てよ、僕らお金もってるっけ? 持ってないね…
「おー! すっげぇ! サクラが人間になってる!」
上空から周囲を観察していたメラが戻ってきた。
お金、ね… んー、街で稼げる仕事とか見つけないとな。
「おい! お前ら! 死にたくなかったら、持ってるものを全部よこしな!!」
僕が考え事をしていると、後ろから罵声が飛んできた。
なんだ…? 山賊? めんどくさいなー… あっ、良いこと考えたぞ〜! 数は、3人…、いや、もっと隠れてるな…
「死にたくないけど、渡せるものは生憎ないんでね! 行くよ、メラ、サクラ!」
僕は、剣を空間から呼び出し、構える。“電光石火”、このスキルは、電光のように素早く移動し、ながら相手を斬る、まさに早業である。
クロムは、“電光石火”を放ち、次々と盗賊達を切り倒していく。
「がぁ、く、そ…」
最後の一人をサクラとメラが倒したところで終わった。
さぁ〜って、山賊なんだから金ぐらい持ってるでしょ! いただき〜!
「お、やっぱりこいつらお金をたんまりと持ってたな! これで、軍資金も集まったことだし、街に行きますか!」
クロムたちは“タイフン”に向かって進みだした。
街が見える頃にはもうすっかり夜だった。
「はい、到着ー! おつかれ、サクラ、メラ!」
「腹が、死ぬ〜! 早く飯をー!!」
メラが今にも死にそうな勢いで迫ってくる。
「分かった、分かったから落ち着いて! まずは僕とサクラで買い出しに行ってくるから、メラは空とか飛んで待っててね。美味しい料理買ってきてあげるから」
早くしてくれよー!、というメラの声が後ろから聞こえるが、分かっていることなのでスルーした。
門をくぐり中を見ると、そこには活気に溢れた小さな街があった。
さぁて、早く買うもの買わないとな。まずはサクラの服を…
「クロム! あの服がほしいよ!」
サクラが言う服は、軽い装飾の付いた、白色の長袖シャツ?に、動きやすそうな深緑色の半ズボンの後ろから半分スカート?みたいな感じになっているものだった。
結論、異世界の服は表現がうまくできん。なんか、よくわかんないけど、よくわかんないから、異世界に来たんだなって実感できる。これがよく分かるようになって、上手く説明できるように頑張んないとな。
サクラが欲しがっていた服を買い、試着室で着替えてもらい、次は食べ物を買うことにした。
「わぁ、これ美味しそうだよ! 見たことないものがたーくさんあるね! あ、でも知ってるのもあるね。クロム、どれにする?」
食品店“チョビヒゲ亭”には、見ただけでヨダレが垂れるものがたくさんあり、どれも表現が難しいものだった。
んー、あれは何かの肉を焼いてそれに蜂蜜?のようなとろとろしたものをかけてある。あれは、スパゲッティ?とはまた違うようだけど… んー…、こういうのは店の人に聞いたほうが早いな!
「すみませーん、どれがおすすめですか?」
「この、リニオーギが当店のおすすめですよ!」
筋肉ムキムキのちょび髭スキンヘッドおじさん店長曰く、この、おにぎりのようなものが一番人気らしい。
おにぎり?の中に、色んな具材が入っている… うまそー! これにしよっと!
「すみませーん、これ10個ください」
「あいよ! 300レア頂戴するよ!」
レアとは、この7つの世界の共通通貨である。
リニオーギを10個買い、メラのいるところまで戻った。
ふぅ、いい買い物したね。まだお金はたくさんあるからしばらく困りそうにないな!
「おーい、メラ! 買ってきたからご飯にしよ!」
遅いぜ〜、と文句を言いながらも、食べると機嫌を良くしておかわりをしている。
そういえば、魔物ってご飯食べなくても世界には魔素が満ちているから生きていけるって女神様が言ってたな… じゃあなんでこいつらは腹が減ってるんだ?
そう思って聞いてみると、
「そんなのいちいち気にすんなよな。食いたいときにたらふく食うのが俺の生きがいだからだ!」
「んー、そうだね… スライムの体のときは味覚とか全然ないけど、人間に変身してから食べると味覚が戻るんだよね! やっぱ、味があるものを口に入れないと食べてるって感じがしないからね! それに私、食べるの好きだもん!」
と、まぁこんな感じの答えが返ってきた。
食べなくてもいいってだけで、食べたいっていう欲求はあるんだな…
「って、僕の食べる物無いじゃん!!」
「「てへっ!」」
サクラとメラが同じことを同じ口調で言う。
「いや、てへっ、じゃないから!! まぁ、別にいいよ… 後でまた買うしー」
おい、サクラ。クロムが拗ねちゃったぞ! な、何か、買ってあげようよ!と言う会話が聞こえてくる。
全く、掃除機みたいに食べやがって。 次からは自分の分を先に取っておこう…
「じゃ、宿屋に行こうか。野宿するのもあれだしね」
こうして騒がしく、勇者一行の一日は終わったのであった。
〜翌日〜
勇者一行は旅の準備をしに、商店街を歩いていた。
よし、食料と生活用品は買った。あとは…、異世界でおなじみの、“回復薬”!
ふふん♪ 回復薬、回復薬〜!
「いらっしゃいませー」
薬品屋に入り、“回復薬”を見る。
“下級回復薬”とは、定番中の定番の回復薬であり、大抵の切り傷等は治せる。
“中級回復薬”とは、下級回復薬より性能が高く、大きな切り傷等は治せるが、切断されたものは治らない。
“上級回復薬”とは、市販の回復薬の中で特に優れているもので、どんな傷でも治らないことはほぼ無い。
“上級回復薬”は高性能さ故に高すぎるので、民の財布の優しい“中級回復薬”を50個買っておいた。
「合計5000レアです。今ならこちらの“状態異常回復薬”をお付けしますが、いかがですか?」
もらえるものはもらっとく主義なんで、もらわないって選択肢はなんです。
僕は“回復薬”を買い、サクラとメラに合流した。
んー…、新生魔王軍の状況を把握したいし、この世界のことをもっと知りたいから。行くなら…
「よし、じゃあ次は王国に行こうか!」
魔王軍の情報を集めるべく、ここから一番近いウィンディア王国に勇者一行は向かったのであった。
今後とも宜しくおねがいします