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日緋色の叛逆者  作者: 高藤湯谷
六章 生命神編
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3話 ちゃんとした人間のハンター

 リベルが飛び降りた後、リナたちもすぐにその後を追った。

 だが下手に転移やワイヤーで人前に出ることはできないし、いきなり空から落ちてくるわけにもいかない。

 よって、ルイナの転移で彼らの後ろへ飛ばしてもらい、木陰に隠れて少し様子を見ることにした。

 あの太陽や、リベルがたった一人でかつては苦戦した木の根を退けてしまったことなど、驚いたりリベルを褒めたりしてあげたいことはあったが、それよりも今は状況把握が先である。

 そして、リベルが助けたと言うのに助けられた側が何やら声を荒げていた。


「男にはやらなきゃならねえ時だってあるんだよ!」

「いや、だから、お前には無理だって」

「坊主がある程度強いってのはわかるけど、だからって一人に任せることはできねえ!」

「……」


 何やら言い争いになっている。いや、言い争い、という表現は間違いか。

 どうやらリベルの知り合いではあるようなのだが、その知り合いの方が熱くなっているようだ。

 そしてそのリナは知らない男の後ろにも何人か仲間がいて、そっちの人たちもどうにか宥めているようだった。


『リベル、どういう状況?』

『えーっと、どうやらこいつの仲間が生命神に捕まったらしい。前の俺みたいだな』

『……そんなこともあったわね』


 森に足を踏み入れた途端、リベルは木の根に絡め取られて地中へ引き摺られていった。

 またあんな風になったとは思いたくないが、被害は既に出てしまっている。


「……仕方ない。私も出るか」

「私はまだ様子を見ますよ。あまり、私たちのことを知る人は増やしたくないですから」

「別にいいわよ。あんた、他人相手は逆に容赦ないから」


 それだけ言うと、まるで今追いついたかのような調子で声をかけながら前に出る。


「リベルー、大丈夫だったー?」

「あ、リナ。さっきも」

『この会話のことは言わないで。私がどうにかするから話合わせて』

「……ああ、大丈夫だったよ」


 理解が早くて助かる。

 既に変換器で見た目は変えているので、今はれっきとしたS級ハンターのリナである。


「それで?そっちの人たちは?」

「前にギルドでリナを待ってた時に話しかけてきたA級ハンターのパーズ。あとその仲間?」

「ふうん?」


 少し引っ掛かりはあったが、そこは一旦置いて、リナが目を向ければ、彼はこっちのことも知っているのか、軽く会釈をしてきた。

 まあリナからすれば全員他人なのだが、疑問符が出た時点でリベルが知っているのはこのパーズという男だけなのだろう。

 だから、リナは目だけで誰?と言ってみる。


「俺が紹介しますよ。そこの坊主にも説明された通り俺がパーズです。A級ハンターです。こっちの老け顔がペルドで」

「おい」

「その隣にいるのがアリートです。二人はB級ハンターですが、B級の中では上位クラスの実力だと俺は思ってます」

「それでもパーズに勝てないからB級なんだけどねぇ?まあよろしく〜」


 紹介された二人もリナにとりあえず会釈をする。

 全員同じような歳に見えるし、老け顔なんて紹介されているなら仲もいいのだろう。パーズと同じ歳なのだとしたら、確かにペルドは少し老けて見えるかもしれない。

 そしてここには三人しかいないが、本来はもう何人かいるはずだ。何人攫われたかは知らないが。

 だがそこに触れるとまた収拾がつかなくなりそうなので、それも一旦置いておいて。


「私はリナ。こっちはリベル。リベルはなりたてでC級ハンターだけど、私とそう変わらない力はあるわ」

「なりたてでC級……?」

「坊主は俺より強いかもしれねえ」

「パーズより……?」


 なんかリベルの評価が上がっている。まあ助けたんだから当然ではあるが、今はこっちの話だろう


「……で、私は一応S級なんて称号を持ってるわ。ま、よろしく」


 そう言うと、パーズはやっぱりか、みたいな顔をして、その後ろの二人は唖然としている。

 こんな子が、とか、S級……?とか言われているので、やっぱり見た目の年齢は重要なのだろう。


「信じなくてもいいけど、さっきの大魔法は私のだから」

「「「!!」」」

『……それでいいのか?』

『じゃないともっと大変なことになるわよ』


 擬似太陽、とでも呼べばいいのだろうか。

 あんなもの、たとえA級ハンターだろうとできるわけがないのだ。

 だから、たとえ神の力でリベルが起こしたものだとしても、リナの手柄にせざるを得ない。

 わかったなら輝きを消しましょうか?極天の剣さん。


「あの太陽か……」

「あれはすごかったわよねぇ……」

「な、なら!力を貸してくれませんか!?俺の仲間がさっきの魔物に攫われちまったんです!」


 ちょっとした攻防をしていれば、パーズがまた声に力を入れてきた。

 気持ちはわからなくないが、それにしても熱くなりすぎでは?


「……何人?それと、役職は?」

「一人です。ルパシアって言う女の子で、二年前に入ってきてくれた魔法使いです。俺らより若いですけど、A級になった実力はあるんです!」

「……協力することはやぶさかではないわ」

「本当ですか!?」

「ええ。でも、ここは私たちに任せてちょうだい。酷なことを言うようだけどね、はっきり言ってA級でも足手纏いよ」

「そ、そんな……」


 あと見知らぬ人がいると手札が制限される。

 それはリベルにとってもリナにとっても死活問題なので、なるべくなら近づいてほしくなかった。


「ほらパーズ、冷静になれって。あれを退けたのは目の前で見せられたんだし、任せた方がいいって」

「そうよぉ、下手に手を出して、もっと被害を大きくする必要はないでしょぉ?」

「…………わかった。リナさん、金なら後でいくらでも払います。だから、どうかルパシアを助けてください!」


 礼節としてはむしろ減点されそうなくらい頭を下げて、パーズはリナに請願していた。

 流石にここまでされるとこっちも困ってしまうが、熱意はすごく伝わってくる。


「ええ。任せてちょうだい。行くわよリベル」

「ああ」


 尊大に頷いておいて、リナはリベルを率いて森の奥へと進んでいく。

 生命神討伐くらい、今のリベルと自分ならどうにでもなると思っていた。

 そう。生命神討伐くらいなら。

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